愛がないと結婚できない40男
40代までひとりでいると、女性への理想像が高くなってしまう傾向があるような気がする。実際、40代独身男性はどう考えているのだろうか。
早く愛する人に巡り会いたい
結婚しようと思ったことはあったと、タクミさん(43歳)は言う。30歳のときのことだ。2年間つきあっていた彼女にプロポーズした。だがそのとたん、彼女は会社から海外駐在を言い渡された。以前から彼女の夢だったし希望も出していた。
「もちろん帰ってきてから結婚するという選択肢もあったけど、彼女は『確約できないから、待つとは言わないで』って。今も友人として連絡はとりあっていますが、彼女はずっと海外勤務のままです」
それ以降、たまにつきあう人はいても、結婚を考えることはなかった。ただ、40歳を越えて少し考えが変わってきたという。
「周りがみんな子育て中で、時間を気にせず飲むこともなくなりました。土日も若い独身の友人たちとサッカーをしたり遊んだりしているけど、それもなんだか寂しくて。体力的な衰えも感じるようになっています。心から愛する人と家族になって、仕事から帰ったときに温かい家庭で疲れを癒やしたいと思うんですよね」
自分がこんなことを言うようになるとは思わなかったと、タクミさんは苦笑した。
愛がなければ結婚できない
家族になるためには、とにかく愛情が大事だと彼は言う。
「お互いに心から愛していないと。恋愛のような情熱に浮かされた感情ではなく、もっと深く静かな愛情ですよね。この人のためなら何でもできる、なんでもしてあげたい。そう思えるような女性と家庭を作りたい」
相手の収入だの容姿だの、まして料理ができるかどうかなんて、どうでもいいんですと彼は力をこめる。
「一緒にいてやさしい気持ちになれる人」
曖昧な言い方だが、そうとしか言えないのだそうだ。
「たとえば話をしているときに否定的な言葉を使わない、大声で怒らない、意味なく不機嫌にならない。いろいろありますね。僕自身も同じように相手に優しくなければならないのはわかっています。そう考えると、出会って結婚するなんて運命なのかもしれないと思うんです。僕には無理なんだろうかと少し恐怖感を覚えています」
考えれば考えるほど、理想は高くなり曖昧になっていく。実際、つきあっていく中で考えが固まってくることもあるだろう。「心温かい人」を求めるより、「ふたりの関係性の中で、お互いにやさしくできるかどうか」が問題なのではないだろうか。
「誰かを愛したい。誰かに愛されたい。そう思っているだけなんです」
タクミさん、最後は力なく首を垂れた。