3月3日に行われた東京マラソン2019は、2020年の東京五輪の出場選手を決めるための大会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」(2019年9月15日開催)の出場権がかかるレースでもありました。
この東京マラソンでは新たに、堀尾謙介選手(中央大学4年)、今井正人選手(トヨタ自動車九州)、藤川拓也選手(中国電力)、神野大地選手(セルソース)の4人がMGCへの出場権を獲得しました。なお、現役の大学生がMGC出場権を獲得したのは初めてのことです。
今回MGCを獲得した4選手はどのような選手なのでしょうか。MGCを獲得した直後の記者会見での選手の声とあわせて、紹介します。
●堀尾謙介選手(中央大学4年)
2時間10分21秒(5位・日本人トップ)……初マラソン
箱根駅伝では中央大学のエースとして「華の2区」を3度走りました(2年時は関東学生連合チーム)。日本人トップの副賞としてBMWを獲得しましたが、4月から実業団の「トヨタ自動車」へ進むため、副賞の行方も気になります。
「MGCはワンチャンスあるかなと思っていました。(中央大学の藤原正和監督からは)マラソンのセンスはある、サブテン(2時間10分切り)は絶対いけるから、と言われていました。初マラソンなので、30km過ぎでもどんどんいこうと思っていました。(MGCについて)4月からトヨタ自動車に入社します。(MGCをすでに取得している)服部勇馬選手もいるので、MGCに向けて練習していきたいです」
●今井正人選手(トヨタ自動車九州)
2時間10分30秒(6位)……自己最高記録2時間7分39秒
福島県出身の選手が昨今、大活躍中ですが、多くの選手は今井選手を見て育ってきました。箱根駅伝で見せた強さを今回の東京マラソンでも見せてくれました。その走りからは執念のようなものを最も感じる選手の一人です。
「(五輪の選考レースとなるMGC出場権獲得について)高校で陸上を始めたころから、五輪のマラソンで勝負したいと思っていました。今日の気候条件は気持ちを保つのには良かったです。トップと5~6分差というのを現実として受け止めています。このコンディションでも上位の選手は動いていましたし、自分の結果も両手離しで喜べる結果でもないです」
●藤川拓也選手(中国電力)
2時間10分35秒(7位)……自己最高記録2時間11分59秒
青山学院大学4年時に主将として箱根駅伝初優勝を経験し、「強豪・青学」の礎を築いた選手と言えます。自身も9区で区間賞を獲得しました(歴代2位の好記録)。厳しいコンディションのなか、自己ベストを1分以上更新しました。本人は7分台がターゲットだったようです。
「(他の実業団の監督からの評価が高かったという声もあった)良い練習ができていました。マラソン練習の過程ながら10000mで27分台も出せました。貧血気味なので、昨年8月より管理栄養士と契約して、食事面も見直してもらっていました。今回は2時間7分台がターゲットだったのでタイムは納得いきませんが、MGC出場権が獲れて良かったです」
●神野大地選手(セルソース)
2時間11分05秒(8位)……自己最高記録2時間10分18秒
マラソンでは失敗を繰り返してきたが、何度でも挑んできた「三代目山の神」。今回は15kmで集団から離れたものの、そこから這い上がってきました。MGC出場権は、対象となる期間内の上位2大会の平均タイムを参考とする「ワイルドカード」で獲得しました。注目が集まる故の苦労もあったそうです。
「15kmで離れたが、絶対諦めないと決めていました。MGC出場権獲得できて、ホッとしています。大学卒業後、ありがたいことにたくさん注目してもらっていましたが、マラソンで失敗が続きました。プレッシャーは半端なかったですが、自分はやれるんだと信じてやっていきたいです」