一途に女性を思う男心とは
ずっとひとりの女性を思い続ける男性なんているのだろうか?と思っていたが、実際、いるようだ。片思いというのとは少し違う。彼女のそばにいてサポートし続ける役割を、積極的に担っているアキラさん(39歳)に話を聞いた。
彼女のことを知りたいだけ
アキラさんが大学時代の後輩であるマサヨさん(37歳)と再会したのは、今から5年ほど前。アキラさんには10年前に結婚した妻とふたりの子がいる。
「偶然再会して、飲みに行こうやということになり、食事したり飲んだりするようになりました。その後、彼女が転職を考えているといったときも親身に相談に乗りましたよ。転職先で苦労していると聞き、彼女の同業他社の知り合いを交えて相談に乗ってもらったり。なんていうのかな、妹みたいな感じかなあ」
彼女の悲しむ顔は見たくない、いつも笑っていてほしいとアキラさんは願っている。もちろん、男女の関係はない。それどころか、彼女がDVカレシとつきあっているときは身体を張って守ったこともある。
「僕が独身だったらわかりませんが、既婚者ですからね。たとえ恋心を抱いたところで、お互いに不幸になるだけ。僕は彼女にとってのナイトでいたいんですよ」
彼女が欲したとき、いつでも駆けつけることのできるナイトでありたい。彼はマジメな顔をしてそう言った。
信頼されることが報酬
大人の関係において、一方的に愛情をかけたりかけられたりするのは、そうあることではない。人は何かしら「報酬」を求めるからだ。愛したからには愛されたい。それが普通であろう。なのに、なぜ彼は一方的に無償の愛を捧げるのだろうか。
「一方的にではないと思います。僕は彼女と接すること、それ自体が報酬なんです。彼女を助け、彼女の笑顔を見ること、彼女が幸せになること。それが報酬。だから愛情を注ぎたい」
女として見ているわけではないから、と照れていたアキラさんだが、彼女に嫌われるのは怖いと言う。
「今の関係は壊れようがないんですよね。友だちのような、きょうだいのような関係だから。男女関係はいつか終わるし、へたしたら憎み合ったりするでしょう。そうはなりたくない。ずっと彼女のそばにいたい。だからこそ今の距離感を大事にしたいんです」
そうまでするには、やはり彼女が魅力的だからなのだろう。
「魅力的でありながら、どこか抜けたところもあって放っておけないんですよ。たとえ彼女が結婚しても、今の関係は変わりないと思います」
ただ、彼女の存在を妻は知らない。アキラさんは「誤解されたくないから」だというが、彼自身の下心を疑われたくないということでもあるのかもしれない。
「妻であってもこの関係は理解できないんじゃないかと思うんです。だから言わないでおこうと。決してやましいわけではないんですが」
男女は、「夫婦」「恋人」「友だち」というように、名前をつけて確定できる関係ばかりではない。人には理解できなくても、本人たちが納得できる関係を構築することができれば、それはそれで素敵なことなのかもしれない。