夫婦の距離感……離れてみたらうまくいった

新婚当初は、どんな夫婦でもいつも一緒にいたいと思うもの。だが、関係が落ち着き、日常生活がうまく回っていくようになったら、夫婦の距離感をどうすればいいのだろうか。

夫婦の距離感――いつも一緒にいたい人、離れたほうがうまくいく人

新婚当初は、どんな夫婦でもいつも一緒にいたいと思うもの。だが、関係が落ち着き、日常生活がうまく回っていくようになったら、夫婦の距離感をどうすればいいのだろうか。
 

「いつも一緒がいい」派の言い分

「うちは、仲良しだねと言われるんですが、仲がいいとか悪いとかいう以前の問題なんです。ふたり一緒でなければ仕事が回らないから」

そう言うのはトシエさん(40歳)だ。夫とともに飲食業を営んでいるので、1日中、ほとんど一緒なのである。

「子どもが小さいころは、保育園のお迎えは私が行っていましたが、店の裏が住居なので行ったり来たり。店が終わってから、夫がお客さんと一緒に飲みに行くこともありましたが、私もよくついていきましたね。子連れで行ったこともあります」

ふたりは高校時代の同級生。卒業して3年後に再会、そこからつきあったものの彼の浮気で何度か別れを繰り返している。

「やっと結婚したのは30歳になるとき。だから私、どこか夫を信用していないんでしょうね(笑)。今さら浮気なんかしないと夫は言うけど、常に見張っていないと何をするかアヤシいんですもん」

一緒にいるのは監視のため。そんな夫婦もいる。


 

お互い完璧な『放し飼い状態』という夫婦は

夫が単身赴任になったことで、「夫婦としてお互いに思いやりをもてるようになった」と言うのは、アリサさん(44歳)だ。結婚して15年、中学生と小学生の子がいる。

「夫が単身赴任をするようになったのは7年ほど前のこと。転勤族なので、最初は私も子どもたちも一緒に行っていたんですが、上の子が小学校に上がってからは夫婦で話し合って、単身赴任にしてもらいました」

リサさんも働きながらのワンオペ状態は大変ではあったが、近所の人たちが助けてくれたという。

「同じマンションに元保育士のママがいて、彼女がマンション内で子どもを預けるシステムを作ってくれたんですよ。間違いが起こらないよう、子どもふたりに必ず大人がひとりつくということにして、安全面にも気を配ってくれた。私も勤務先に時短システムを取り入れてもらって、あちこちに協力してもらいながら子育てと仕事をしてきました」

夫にもその様子は逐一報告していた。単身赴任前は会話もあまりなく、この人と一生やっていけるのだろうかと悩んだこともあったが、離れてみたら気持ちが通い合うようになったという。

「不思議ですよね。ふだんはいないけど毎日メッセージのやりとりをして、以前より意思疎通がうまくいっている。月に1度くらいしか帰ってきませんが、会うと子どもたち以上に私がはしゃいだりしています。夫も気を遣ってくれて、掃除の代行くらい頼んでもいいんじゃないかなんて言っています。夫もひとりで暮らしてみて、家事は大変だとわかったんでしょう。『アリサは本当にスーパーウーマンだね』とよく言っています。お互いに思いやりをもてるようになったのは離れたからでしょう」

今後あと数年は、単身赴任状態は続くが、かえってそのほうがやりやすいと彼女は言う。

「離れて住んだことによって、家族である実感は強くなりました。この適度な距離感が、私たちにとってはよかったんだと思います」

いちばん近い他人である配偶者。だからこそ、お互いに心地よい距離感を見きわめたほうがいいのかもしれない。

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