2019年のJ1リーグが、2月22日に開幕する。積極的に補強をしたチームがある一方、現有戦力の底上げでタイトルを目ざすチームもある。ここでは、観戦の手引きとなるポイントを3つに絞って紹介しよう。
ポイント1:川崎Fの3連覇はなるか?
1993年の開幕から2018年までの26年のシーズンで、優勝経験のあるクラブは「10」である。連覇をしたことのあるクラブは5つを数えるが、3連覇は07年から09年にかけての鹿島アントラーズだけだ。
史上2チーム目の3連覇に、川崎フロンターレ(以下、川崎F)が挑む。リーグ最多得点と最少失点で連覇を達成した昨シーズンのチームに、ブラジル代表歴のあるストライカーのレアンドロ・ダミアンが加わった。
2月16日に行なわれた浦和レッズとのスーパーカップで、レアンドロはいきなり結果を残した。1対0の勝利につながる決勝弾を叩きこんだのだ。
16年の中村憲剛、17年の小林悠、18年の家長昭博と、3人のJリーグMVPを擁する川崎Fには、ブラジル人右サイドバックのマギーニョ、複数のポジションをこなせる山村和也らも加わっている。就任3年目の鬼木達監督のもとで完成度を高めている川崎フロンターレに、現時点で死角は見当たらない。
ポイント2:ストップ・ザ・川崎Fの候補は?
もちろん、他チームも戦力を充実させている。
オフの補強に積極的だったのは、昨季5位の浦和レッズだ。センターバックの鈴木大輔、左サイドバックの山中亮輔、ストライカーの杉本健勇と、日本代表経験のある選手を獲得した。さらに、ブラジル人ミッドフィールダーのエヴェルトンを迎えている。
昨年4月からチームを指揮するオズワルド・オリヴェイラは、鹿島アントラーズが3連覇を達成した当時の指揮官だ。Jリーグでの経験豊富なブラジル人監督のもとで、浦和は06年以来のリーグ制覇を目ざす。
ビッグネームを獲得したのはヴィッセル神戸だ。
スペイン代表で歴代最多得点を記録したダビド・ビジャが加わったのだ。10年W杯でともに優勝を飾った同胞アンドレス・イニエスタ、ドイツ代表として14年W杯優勝のルーカス・ポドルスキとのトライアングルは、Jリーグの歴史でも最高と言っていい。彼らを見るだけでも、神戸の試合に足を運ぶ価値がある。
3人のワールドクラスを支える日本人選手として、中盤で守備を引き締める山口蛍もチームの一員となった。日本代表として14年と18年のW杯に出場した28歳も、浮沈のカギを握る1人だ。
歴代最多8度のリーグ優勝を誇る鹿島は、オフの補強はやや控えめな印象だ。それでも、クラブに息づく勝者のメンタリティに揺らぎはない。引退した小笠原満男に代わってキャプテンに就任した内田篤人を中心として、伝統の勝負強さを強みにタイトルへ前進していく。
ポイント3:日本代表に食い込むのは誰だ?
1月に行なわれたアジアカップで、日本代表のチームの中心を担ったのは海外クラブ所属選手だった。決勝戦のスタメンのうち、JリーグでプレーするのはGK権田修一ひとりだけ。その権田も、大会後にポルトガルのクラブへ移籍している。
19年の日本代表は、6月に南米選手権に招待参加する。9月からは22年のカタールW杯予選がスタートする予定だ。アジアカップに出場したセンターバックの槙野智章(浦和レッズ)と三浦弦太(ガンバ大阪)、右サイドバックの室屋成(FC東京)、ストライカーの北川航也(清水エスパルス)らは、さらなるアピールを期しているだろう。
アジアカップに出場していない選手のなかにも、日本代表定着が期待される選手は多い。ゴールキーパー中村航輔(柏レイソル)やボランチの大島僚太と守田英正(いずれも川崎フロンターレ)らには、日本代表の森保一監督も注目しているはずだ。このところ日本代表から遠ざかっている清武弘嗣や柿谷曜一朗(いずれもセレッソ大阪)らも、年齢的にはまだまだ代表入りを狙える選手たちだ。
所属クラブを勝利へ導き、日本代表として国際舞台で活躍する選手は誰なのか。Jリーグをチェックすることで、日本代表の未来図も見えてくるだろう。