結婚して15年たったころ、新婚当時、夫が浮気していたことがわかった。今さら怒るに怒れない気持ちもあるが、この15年が何だったのだろうと虚しい思いもある。そんなとき、どう考えたらいいのだろうか。
 

今さらなぜ知らせるのか

カホリさん(46歳)が、初めて大学の同窓会に出席したのは3カ月前。夫も同じ大学の出身だが、出張のため参加できなかった。

「子どもたちも大きくなったし、初めて参加してみようかなと思って。近くに住む実母も行っておいでと言ってくれたので、子どもたちは母に任せて参加してみました」

大学を出てから仕事三昧、結婚してからは家庭に仕事にと常に忙しかったので、同窓会に出る時間もなかったのだ。実際、40代後半になると、自分の時間をもてるようになるせいか、同窓会の回数が増えていくものだ。

「昔の仲間たちに会って本当に楽しかったんです。会も終わりに近づいたころ、ある女性に話しかけられました。『〇〇さんの奥さんですか』って夫のフルネームを出して。夫と私は学部が違うんですが、彼女は夫と同じ学部だったそう。いろいろ話していたら、『最後に〇〇さんに会ったのは、結婚されてすぐのころかしら。懐かしいわ』と遠い目をするんですよね。聞いてもいないのに、『あの人ったら酔っちゃって』と含み笑い。なんだか薄気味が悪くて離れたんですが、その後、私と夫の共通の友人が『あいつ、カホリちゃんに何か言ったの?』って。その言い方も意味深だったから、私は帰りに彼を拉致して、どういうことか聞き出したんです。そうしたら、どうやら結婚後、彼女が夫にやけに近づいていた時期がある、と。それは近づいたんじゃなくて誘ったんじゃないの?それに夫が乗ったんじゃないの?と問いつめると、『昔の話だよ、忘れた』と友人が言うんです」

夫とあの女は何かあったに違いないと、カホリさんは確信した。そんな話は嘘でも知りたくはなかったが、聞いてしまったからには真実を突きとめるしかなかった。
 

夫は忘れたと言い張ったが

出張から帰ってきた夫を問いつめた。女性の名前を出した瞬間、夫の目が妙に泳いだ。そしてきっぱりと、「覚えてない」と言い張った。

「彼女の名前さえ覚えていないというのが逆にアヤシいと思いました。だって共通の友人だって、彼女のことは鮮明に覚えているわけだし、彼女が私に何かアブナイことを言ったのではないかと気にしていたくらいですから」

新婚当時、おそらく彼女と夫は何かあったのだろう。それを夫はその友人に相談したのかもしれない。もしかしたら、彼女のほうに心がいきかけていた可能性もある。

「今さら責めるつもりはない。ただ、本当のことが知りたいのと夫には何度も言いました。だけど夫はとにかく忘れた、覚えていないの一点張り。その後、共通の友人に真実を教えてとメールしたのですが、『15年も前のことは記憶違いということもあるから』って。そもそもなぜ15年という歳月を彼がしっかり認識しているのかも不思議。おそらく夫が彼に口止めしたんでしょう。そのときふたりで15年前のことだと言い合ったのかもしれません」

限りなく黒いグレーを抱えたまま、数カ月が過ぎた。今もカホリさんは、夫の顔を見ると叫び出したくなるような衝動にかられるという。

「嫉妬とか怒りとかではないんですよね。何も知らなければそれですんだ。だけど確率の高いヒントを与えられながら、答えが見つからない。それがいちばん気持ちが悪いんです」

家庭を壊したくはない。だが、どうしても「知る権利」を満たしたい。カホリさんは日々、悶々と暮らしている。