W杯を知らない選手の経験値は上がった

2019 AFC アジアカップで、日本はカタールに敗れ準優勝となった(写真:AFP/アフロ)

2大会ぶり5度目の優勝は逃したが、チームの経験値は上がった。とりわけ、センターバックの冨安健洋(20歳)、2列目と呼ばれる攻撃的なポジションの南野拓実(24歳)と堂安律(20歳)がレギュラーとして稼働したのは今後につながる。
 

3人ともヨーロッパのクラブでプレーしており、南野は23歳以下の選手に出場資格のある(※)サッカーの五輪競技を16年に、冨安と堂安はU-20(20歳以下)W杯を17年に経験しているものの、日本代表で国際大会を戦うのは今回が初めてだった。3カ国による総当たりのグループリーグを首位で突破し、負けたら終わりのノックアウトステージで決勝まで勝ち残ったのは、これからの日本代表を背負っていくべき彼らの糧となる。
 

ロシアW杯に出場した右サイドバック酒井宏樹(28歳)、2列目左サイドの原口元気(27歳)、同大会でメンバー入りしたボランチの遠藤航(2月9日で26歳)も、アジアカップ出場は初めてである。2度目のメンバー入りだった権田修一(29歳)も、一度目の11年大会は控えGKだった。
 

詳細は決まっていないものの、今秋から22年のカタールW杯アジア予選がスタートする。メンバーを固定して戦ったことで、コンビネーションも深まっていった。様々なタイプのチームと対戦できた意味でも、アジアカップはチームの未来につながっていくはずだ。
 

大迫に寄りかからない攻撃を

一方で、課題も明らかになった。
 

攻撃が大迫勇也(28歳)頼みなのである。
 

ロシアW杯でも得点を決めた彼は、最前線でボールを収めながら攻撃の組み立てから崩しに加わり、ゴール前では決定力を見せていく。
 

優勝候補の評判が高かったイランとの準決勝では、PKを含む2得点でチームを勝利へと導いた。一方でカタールとの決勝戦では、1本もシュートを記録していない。その結果が1対3の敗退である。大迫を封じられると、攻撃がスケールダウンしてしまうのだ。
 

ドイツのヴェルダー・ブレーメンでも活躍する大迫の代わりは、簡単には見つけられない。しかし、彼への依存度がこれ以上高まるのは危険だ。
 

新たな組合せの模索も

アジアカップにはスピード豊かなFWの浅野拓磨(24歳)、パンチ力のあるシュートとドリブルで局面を打開できるMF中島翔哉(24歳)がケガで出場できなかったが、FW陣の底上げは最優先事項になる。アジアカップで大迫に次ぐFWとしてプレーした武藤嘉紀(26歳)と北川航也(22歳)に加え、森保監督に招集されたことのある小林悠(31歳)、川又堅碁(29歳)、杉本健勇(26歳)、さらにはロシアW杯アジア最終予選で結果を残した久保裕也(25歳)らを含めて、FWの選択肢を増やしていかなければならない。
 

冨安と遠藤が所属するベルギー1部のシントトロイデンVV(ベルギー)で、すでに2ケタ得点をマークしている鎌田大地(22歳)も面白い。また、トルコとのベシクタシュへ期限付き移籍した香川真司(29歳)も、コンディションさえ整えば日本代表に招集したい選手だ。
 

こうした選手を組み合わせると、大迫の代わりを無理に探すのではなく、違ったシステムで戦うアイディアも浮上する。たとえば、森保監督がここまで重用してきた中島、南野、堂安の3人と香川を同時起用することもできるはずだ。移籍後すぐにリーグ戦に途中出場し、いきなり2得点をあげた香川自身も、日本代表復帰への意欲は示している。
 

アジアカップは終わり、ここから先は競争が再スタートとする。いまはまだ注目をされていない選手にも、代表入りのチャンスはある。海外リーグやJリーグの所属クラブでアピールする選手が続々と登場することが、日本代表のレベルアップを促していくのだ。
 

(※)サッカーの男子五輪は23歳以下の選手に出場資格があり、24歳以上の選手をオーバーエイジとして3人まで含めることができる。