35歳の彼女が「運命の相手」と思えた彼と別れたワケ

誰でも人に認められたい、大事だと思われたいという承認欲求はもっている。ただ、それがお互いに強すぎると、恋愛はうまくいかないのかもしれない。

承認欲求が強すぎる彼、どこまで受け入れることができるか

誰でも人に認められたい、大事だと思われたいという承認欲求はもっている。ただ、それがお互いに強すぎると、恋愛はうまくいかないのかもしれない。

 

彼の依存度が高い背景は

3年前に出会ったときから、まるで前から知っていた人のように気があい、そのまま恋愛が始まったというのはカエさん(35歳)。

「生年月日がまったく一緒だったんです。もうこれは運命だろうと盛り上がって。お互いがいないと生きていけないような気持ちになって、つきあってすぐ半同棲、そしてそのまま同棲するようになりました。ふたりとも会社員だけど、仕事が終わるとすぐ待ち合わせして一緒に帰って。友だちからはつきあいが悪くなったと非難されたけど、彼さえいればいいと思っていた」

お互いへの依存度が高まっていくばかりだったと今振り返れば思う、と彼女は言った。ふたりの情熱は続いたが、現実は情熱だけでは乗り切れない。

「半年ほどたったころ私が職場で昇進して、仕事が忙しくなっていったんです。これからは仕事もがんばろうと思うと彼に言ったら、『一緒にいる時間が減るのはイヤだ』とダダをこねて。『僕がいないとカエちゃんもイヤでしょ』ってやたらしつこく聞くんですよ。そんなの当然でしょと答えても、彼はなかなか納得しない」

あなたの存在そのものが必要なんだと言ったものの、彼の不安がカエさんには伝わってきた。そのころ、彼女は彼の両親が幼いころに離婚し、彼は親戚の家をたらい回しにされて育ったことを知る。


 

不安はわかるけれど

彼の不安は手にとるようにわかった。だが、自分にも仕事上での責任がある。

「私はあなたを裏切らない。だから自由に仕事をさせてほしいと何度も言いました。彼は『わかった。がんばって』ということもあれば疑惑の目で見ることもあった。彼は定時で上がれる仕事なので、よく夕食を作ってくれたんですが、私は仕事で会食も増えて。今日は夕飯はいらないというと、『誰か男と会うの?』というメッセージが返ってくることもあって、だんだん彼の存在が重くなってきたんですよね」

決定的だったのは、残業を終えて彼女が会社を出たら、真冬の空のもと、彼が通用口付近に佇んでいたこと。カエさんはぎょっとしたという。

「どうしたのと言ったら、本当に残業なのかなと思って来ちゃった、と。私はあなたが大好きだよと1日に何度言ったか。だから信じて、と」

だがつきあって2年半がたったころ、今日は重要なプレゼンがあるからと言って出かけた彼女のもとに、彼から会社に緊急連絡が入った。

「自転車で事故って病院に運ばれた、と。ただ電話できるくらいですから命に別状はない。仕事が一段落したら行くからと言ったら、それじゃダメだと。仕事と僕とどっちが大事なのと言われて、ブチ切れました。だけど言葉は選びましたね。『大事なのはあなただけど、今やらなくちゃいけないのは仕事なの』と電話を切りました」

大事なプレゼンを終えて病院に駆けつけると、彼はすでに自宅に帰ったという。そこで自宅に行ってみると彼はいなかった。

「その足で不動産屋に寄って部屋を借りました。もう彼に振り回されたくなかった。彼の生い立ちがどうであれ、私の愛情を信じないのは彼自身、私に対してまっすぐな愛情をもっていないからだと思ったので」

好きなら愛されたい、必要とされたい。好きな人に愛されることで自分を認めることができる。誰でもそうだ。だがその思いが強すぎると、愛情はこうやって壊れていく。

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