病に屈しない! 難病を克服したプロ野球選手たち

頑強な身体を持つ選手がプレーしている印象が強いプロ野球の世界。しかし、実際には大病を患いながらも活躍している選手も多くいます。そこで病を克服して華やかなプロ野球の世界で活躍した選手たちを紹介します。

阪神の代打の神様を突然襲った病魔


1月24日、阪神の原口文仁が自らのtwitterアカウントから大腸がんを患っていることを公表。球界はもちろん、ファンの間でも大きな話題となりました。

原口と言えば、2016年に打てる捕手としてブレイク。昨シーズンは代打の切り札として活路を見出し、代打時の打率は.404という好成績で球団シーズン代打安打の最多記録を更新し、「新・代打の神様」としてファンから愛される存在になりました。そんな経歴を持つ選手だっただけに、多くの心配する声があがりました。

頑強な肉体を持つ選手ばかりというイメージが強いプロ野球の世界。それだけに病を患うとそれだけで大きなハンディを背負わされることになると思いがちですが、過去には原口と同様に大病を患ったり、大ケガをしたりした選手が不死鳥のごとく復活したというケースもあります。
 

1.盛田幸妃(大洋[横浜を経て現DeNA]→近鉄)


横浜、近鉄の2球団に渡って活躍した盛田幸妃。現役時代は右打者の内角へ切れ込む鋭いシュートが武器の投手で、1992年には最優秀防御率のタイトルも獲得しました。

横浜では佐々木主浩とともにダブルストッパーを務めた主力投手。近鉄へ移籍後もセットアッパーとして活躍していましたが、間もなく脳腫瘍が見つかり、シーズン中の9月に摘出手術を受けました。

手術後に医師からは「野球をするのは難しい」という通告を受けたにもかかわらず、懸命なリハビリで克服。手術から1年後の1999年には一軍のマウンドに戻り、2年後の2001年には34試合に投げて2勝をマークしました。近鉄のリーグ優勝に貢献し、シーズン終了後にはカムバック賞も受賞。病に負けずにマウンドに立つ姿はいつしか「奇跡のリリーバー」と呼ばれるようになり、多くの感動を呼びました。
 

2.大隣憲司(ソフトバンク→ロッテ)

2013年にWBC日本代表入りを果たした大隣憲司も病に打ち勝った選手の1人。打たせて取る投球を信条としたソフトバンクの左腕エースで、2度の2桁勝利を挙げて活躍していました。

しかし、WBC終了からわずか3ヵ月後に特定疾患である黄色靭帯骨化症が発覚。骨化した黄色靭帯が脊髄を圧迫することで下半身に力が入らなくなるという難病で、選手としての復帰が絶望視されました。

その後シーズン中の手術にリハビリを経て、翌2014年には一軍に復帰。同年の7月27日に行われたオリックス戦で勝利を挙げ、国指定の難病を乗り越えて勝利投手になった、初のプロ野球選手となりました。
 

3.小谷野栄一(日本ハム→オリックス)

呼吸困難や動悸、吐き気やめまいに突然襲われるというパニック障害。その病の経験を持つのが昨年まで16年間に渡りプレーしていた小谷野栄一です。

日本ハムに在籍していた2006年、突如として発作やめまい、吐き気に襲われたという小谷野。検査の結果パニック障害であることが判明し、二軍の寮で静養する日々を過ごしていました。

当時二軍のコーチを務めていた福良淳一は小谷野の素質を見抜き、徹底的にケア。翌2007年からはレギュラーに定着して3度のリーグ優勝に貢献、2010年には打点王に輝く活躍をみせるまでになりました。2014年オフには福良がヘッドコーチ(2015年途中から監督)を務めていたオリックスへFA移籍し、その師弟関係は長く続きました。
 

4.赤松真人(阪神→広島)

原口が胃がんを公表するおよそ3年前の2016年、同じように胃がんであることを明かしたのが広島の赤松真人。チームには欠かせない存在となっていましたが、シーズンオフに受けた人間ドックで初期段階の胃がんが見つかりました。検査の結果、一部がリンパ節へ転移していることもあり、翌2017年シーズンは全休となりました。

1日も早くグラウンドに戻ることを目指した赤松は、想像を絶するような苦しい治療、リハビリを経験。その甲斐あって2018年には二軍戦に復帰して、シーズンを通じて55試合に出場しました。自身が目標にしていた一軍復帰までもう目前のところまで迫っています。
 

5.横田慎太郎(阪神)

最後に紹介するのは原口のチームメイトである横田慎太郎。実はこの選手も現在、脳腫瘍と戦いながら一軍復帰を目指しています。

身体能力の高さはプロ入り当時からお墨付きで、プロ入り3年目の2016年にはオープン戦で打率.393という好成績を残して、開幕スタメンに。そんな阪神期待の若手だった横田ですが、翌2017年に原因不明の頭痛に悩まされるようになりました。検査の結果、言い渡された病名は脳腫瘍。

その後横田は治療に専念するため、支配下登録を外れて育成契約を結び、現在も懸命なリハビリを行っています。昨年は二軍の試合前の練習等に参加できるほどに回復。今季は二軍の試合出場、そして支配下登録を目指します。
 

病からの復活は、ファンの心を熱くする

脳腫瘍やがん、そして国指定の難病など、プロ野球選手の中には大病に悩まされる選手も少なくありません。しかし、誰一人として病気を理由に復帰をあきらめることなく、苦しいリハビリに耐えて、ファンの待つグラウンドへと復帰しています。今季から治療に専念する原口はもちろん、病に苦しむ選手たちがまたグラウンドでプレーするのを心待ちにしましょう。

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