アジアナンバー1の代表チームを決めるアジアカップが、中東のUAEで開催されている。日本は連勝スタートを切ったが、試合内容はいまひとつピリッとしない。2011年大会以来5度目の優勝を狙うチームは、果たしてアジアの頂点へ辿り着けるのか?
グループリーグの2試合は試運転?
日本はここまでグループステージの2試合を消化し、1月9日のトルクメニスタン戦に3対2、13日のオマーン戦に1対0で勝利している。グループステージは各グループ4カ国の総当たりで、上位2カ国はノックアウトステージ(決勝トーナメント)へ進出できる。2連勝の日本は、17日の第3戦(ウズベキスタン戦)を前に、ベスト16入りを確定させている。
試合内容はどうだろうか。少しずつ良くなっている、という段階だ。それも驚きではない。
2試合終了時点で優勝候補の本命と言われているイランのカルロス・ケイロス監督は、11年4月からチームを率いている。出場メンバーも、昨夏のロシアW杯の選手でほぼ固められている。大会直前にはテストマッチも消化している。イランだけでなくカタール、サウジアラビア、韓国、中国なども、昨年末にテストマッチを戦っている。
ひるがえって日本は、昨年11月のキルギス戦以降はテストマッチを組んでいない。さらに言えば、23人のメンバー全員が揃ったのは、トルクメニスタン戦の3日前だった。そのなかには、森保一監督のもとで初招集となる選手も含まれている。
キャプテンの吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)、32歳の長友佑都(ガラタサライ/トルコ)らロシアW杯の経験者は多いものの、日本代表として初めての国際大会を戦う選手も少なくない。チームとしての完成度でも、事前の準備でも、日本はライバルの先を往く存在ではないのだ。トルクメニスタンもオマーンも格下の相手だが、力の差を見せつけるのは難しかったと言うことができる。
アジア杯、優勝に向けたキーマンは大迫、南野、権田
ともあれ、日本チームの目標は優勝だ。2011年以来となるアジアの頂点へ返り咲くためには、チームの状態をさらに上げていかなければならない。
キーマンは大迫勇也(ブレーメン/ドイツ)だ。4-2-3-1のシステムで1トップを務める彼は、最前線で攻撃の起点となりながら高い決定力を見せる。トルクメニスタン戦でも2ゴールをあげ、3対2の逆転勝利の立役者となった。
しかし、大会前から臀部に痛みを抱えており、オマーンとの第2戦は欠場した。1トップの候補には北川航也(清水エスパルス)や武藤嘉紀(ニューカッスル/イングランド)がいるものの、ロシアW杯でもゴールを決めた大迫の存在は別格だ。彼がどこまでコンディションを回復させられるかが、チームの浮沈に直結する。
もうひとりのキーマンには、南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)を指名したい。1トップの後方に並ぶ2列目の3人では、堂安律(フローニンゲン/オランダ)がトルクメニスタン戦で、原口元気(ハノーファー/ドイツ)がオマーン戦で、それぞれ得点をマークした。南野もオマーン戦で再々チャンスを得たが、ゴールネット揺らすことはできなかった。
逆説的に言えば、チャンスに絡むことはできている。トルクメニスタン戦に比べれば、オマーン戦は周囲との連携や彼自身の動き出しが鋭くなっていた。あとはゴールをあげるだけだ。2列目の選手が脅威度を増すことで、大迫の負担も軽減される。南野、堂安、原口の活躍もまた、上位進出には不可欠だ。
守備陣ではGK権田修一(サガン鳥栖)の存在がクローズアップされる。日本代表のゴールマウスに長く君臨してきた川島永嗣の後継者として、この29歳はグループステージに2試合連続で先発した。
最終ラインを構成する吉田、長友、酒井宏樹(マルセイユ/フランス)らが、攻守に安定感をもたらすのは大前提となる。それに加えて権田が安定感を示すことで、守備はもちろん攻撃にも好影響が及んでいく。攻撃陣に注目が集まりがちだが、背番号12を着けたGKもチームの成績を左右するだろう。
メイン写真=徳原隆元/アフロ