「大人の結婚」、気をつければよかったこと

40代の初婚も珍しくないが、「結婚を焦るあまり、もう少し気をつけておけばよかったこと」があるようだ。この年代だからこそ、注意すべきこととは……。

子どもをどうするか

「ずっと結婚したいと思っていました。だから45歳のとき、知り合って半年足らずの3歳年下の男性からプロポーズされて有頂天になってしまったんです」

カズエさん(48歳)は、ようやく自分にも春が来たと舞い上がったという。

すぐに双方の親に紹介、婚姻届を出してふたりで暮らし始めた。ところが半年ほどたったとき、彼が突然、「子どもはできないの?」と尋ねてきた。

「45歳だもの、そう簡単にはできないし、できる可能性のほうが低いはずと答えると、彼は意気消沈。40代ならごく普通に妊娠するものと思っていたそうです。『できないならそう言ってくれればよかったのに』と。私はこの年齢での結婚だから、彼は子どもを望んでいないのだと思い込んでいた。そこは本当は話し合わなければいけませんでしたね」

不妊治療で助成金が出るのは、治療を始める段階で妻が42歳まででなければならない。特別養子縁組をして実子として育てることもできるが、カズエさんは自身のキャリアを考えると、ここで仕事を辞めるわけにもいかなかった。

「子どものいない仲良し夫婦はいくらでもいるけど、彼はどうしても子どもを諦めきれないようでした」
彼がそこまで望むなら、とカズエさんは不妊治療を始めてみることにした。

結局、よそに子どもができた彼

不妊治療は思ったよりつらかった。最初は積極的だった彼も、だんだんと熱意を失っていく。それでも彼は「やめよう、ふたりで楽しく暮らそう」とは言わなかった。

「結婚したら子どもがいるのが当たり前、そうでなければ家庭は完結しないと思っていたようです。それほど強固に子どもがほしいなんて、結婚前は言わなかったのに。彼は『きみのことが好きだから、僕たちの子がほしいんだ』の一辺倒」

カズエさん自身も、治療に割く時間がとれず、予約をキャンセルすることも多々あった。結局、夫婦は時間も心もすれ違っていく。

「結婚して1年半ほどたったとき、彼が『別れようか』と。それもしかたがない、もともとひとりで暮らしていたのだし、またひとりになるだけだわと思ったんです。でもその次に彼が漏らした言葉に唖然としました。『実は子どもができたんだ』。は? 何を言ってるの?と耳を疑いましたね」

妻との気持ちのすれ違いがストレスとなり、つい懐いてくれる会社の後輩と浮気してしまった。たった1回で彼女は妊娠したという。

「相手は30歳だそうです。本当に彼の子なのかしらと一瞬、意地悪く思ったけど、もう子どもができたのならしかたない。私はあっさり身を退きました」

彼からは引っ越し費用として100万円もらった。荷物を整理し、最後の最後に彼女は言った。「その子、本当にあなたの子なの?」

思った以上にこの言葉は彼の心を苦しめたようだった。実際、彼は生まれた子のDNAを鑑定、そして子どもは彼の子ではなかったという。事実は小説より奇なりである。

「それ以来、彼と私は友だちとしてときどき会っています。男と女の関係にはなりそうでならない。私が拒否していますから。彼だけが常に『逃げ込むところ』をもっているのはずるい。だから単なる友だちでいようと思っています」

彼女の瞳がキラリと光った。復讐のつもりなのか、縁があった人だからという温情なのか。今後も複雑な関係が続いていきそうである。