家庭内権力争いに敗れた夫、それでもけっこう幸せ

家庭内の権力争い、言い換えればどちらが主導権を握るかは結婚当初が重要だと女性たちはわかっている。ではその争いに敗れた夫たちは……。2歳年下の奥さんと子どもと3人で暮らすショウタさん(39歳)の話。

家庭内の権力争い、言い換えればどちらが主導権を握るかは結婚当初が重要だと女性たちはわかっている。ではその争いに敗れた夫たちは……。


 

最初に掃除をしてしまった

共働き、家事は分担でと話し合って5年前に、2歳年下の女性と結婚したショウタさん(39歳)。きちんとした結婚式は挙げず、土曜日に友人知人を招いてパーティーを開いた。

「月曜からはふたりとも、これまで通りに仕事。僕が帰ると、妻はまだ帰っていない。夕飯は食べてくると連絡があったので、僕は適当に自炊して。その日は洗濯をしましたね、もちろん妻の分も」

そこからすれ違いの数日が過ぎ、彼がふと気づくと部屋の掃除を誰もしていない。洗濯物もたまっている。ゴミ捨てもしていない。

「これ、誰がやるんだろうとふと思ったんですよね。僕は今週、風呂の掃除もしたし、朝食もほぼ作っている。彼女は何もしないのか、と」

そこからふたりの我慢大会が始まった。どちらが何をやるのか、お互いに待っているかのような数日。初めての週末は彼女が出張だという。

「もうしかたがないですよね。週末、僕は家の掃除と洗濯に明け暮れました。ついでに作り置きの総菜も少し作って。火曜日に帰ってきた彼女は,疲れたと言ってそのまま爆睡」
またまた彼は、出張帰りの彼女の下着や服の洗濯をしておいた。
 

家事をやらない彼女だけど

「最初にやったほうが負けなんです、結局。それから家事のほとんどは僕がやるようになり、妻は気が向いたときに夕食を作ったりする程度。その後、子どもが生まれると家事育児の負担がますます僕にかかってきた。さすがに疲れ果てて、一度、きちんと話し合おうということになりました」

産休と育休をとっている妻だが、もちろん大変なことはわかっている。ただ、もう少し家事をやってくれないか、とショウタさんはほぼ「泣きながら」訴えたという。彼の仕事も大事な時期で、ここが踏ん張りどころだと考えていたからだ。

「わかった、と彼女は言ったんですが、それからもあまり変わっていません。しかたがないので、今はもう電化製品を買いそろえて、お互いに負担を減らそうという方法でやりくりしています」

仕事に復帰した妻は、毎日が楽しそうだ。彼は保育園に子どもを迎えに行き、いったん帰宅して子どもに夕食を食べさせたあと、再度、出社することもあるという。

「どう考えても妻のほうがラクしているなと思うんです。ただ、妻は働くのが本当に好きみたいなので、抑えつけてはいけないだろうし。もうね、家が多少汚れていようが、洗濯物がたまっていようが、そんなことを気にしてはいけないんだと悟りました」

周りの女友だちからは、「妻に優しすぎる」と批判されることもあるらしいが、「妻から、あなたは優しいと言われたことがない」と彼は笑う。

「僕は子どもとの時間が楽しいし、心身ともにちょっとつらいけど、まあ、子どもが大きくなるまでの数年間だからと思っています」

家事もほとんどせず、好きなように生きている妻だが、それでも妻をイヤになることはないと彼は言う。

「妻が刺激的な生き方をしていること自体がおもしろい。彼女の自由を奪ったら、きっと彼女は自分らしく生きられなくなる。だから今は僕が譲っている状態。この先の人生、彼女が譲ってくれることもあると信じています」

彼女の資質を見抜いている彼だからこその生き方なのかもしれない。こんな夫婦もいるのだ。

Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

注目の連載

  • ここがヘンだよ、ニッポン企業

    親を就活に巻き込むオヤカク、オヤオリ…“学校化”が進む企業に忍び寄る「毒ハラ」とは?

  • 「港区女子」というビジネスキャリア

    「港区女子=事業資金集め」という選択肢。昼は不動産営業、夜は港区ラウンジ嬢だった30代女性の現在

  • ヒナタカの雑食系映画論

    草なぎ剛主演映画『碁盤斬り』が最高傑作になった7つの理由。『孤狼の血』白石和彌監督との好相性

  • 世界を知れば日本が見える

    もはや「素晴らしいニッポン」は建前か。インバウンド急拡大の今、外国人に聞いた「日本の嫌いなところ」