「誕生日に何がほしい?」と夫に尋ねたとき、「離婚してほしい」と言われたら……。実際にそう言われた女性はいったいどうしたのだろうか。
最初は唖然としたけれど
そう言われたのは、カナコさん(40歳)だ。結婚して8年、子どもがほしくて不妊治療もしたが40歳の誕生日を迎えて断念した。
「仕事と不妊治療の両立が苦しくなったんです。夫は前から『ふたりで楽しく暮らせばいいじゃん』と言っていたので、私ももう諦めようと。その半年後、同い年の夫が誕生日を迎えたので、『何がほしい?』と聞いたら、『離婚してほしい』って。最初は夫が何を言っているのかわからず呆然としているだけでした」
私と離婚したいの? もう一度そう尋ねると、夫は「うん」とこともなげに言ったという。明日の夕飯は外で食べようか、というくらいの軽さで。
「ちょ、ちょっと待ってよ、どういうことなのと聞くと、夫はひとりになりたいと言うんです。子どもができなかったこととは無関係。ただ、以前からひとりになりたいと思っていたって。そんなのおかしいじゃないですか。絶対に女がいると思いました」
カナコさんは、夫の"女"探しに奔走する。
探偵事務所にも依頼
共通の友人たちに「夫に好きな人がいると思う?」と聞き回った。夫が寝ているときに携帯や手帳、財布なども点検した。それでもわからない。ついにカナコさんは探偵事務所に依頼する。1カ月半にわたって調査してもらったが、夫はときどき同僚や学生時代の仲間と居酒屋に寄ったりひとりで書店に行ったりしているものの、女性の気配はない。
「それでも私のセンサーが、女はいるはずだと点滅している。探偵さんに頼んで、昼間も会社付近で張ってもらったんです。そうしたら、夫はなんと昼休みに浮気していた」
夫はときどき早朝から会社に行く。そんなときは昼休みを2時間近くとり、会社近くからタクシーを飛ばしてラブホに直行、ラブホからまたタクシーで会社に戻っていた。
「相手は夫の同期の妻です。彼と夫は仲がよくてよく一緒に飲みに行っていたし、夫婦でうちに来たこともあるんですよ。そのときから関係を持っていたのかと思ったら悔しくてたまらなかった」
夫に報告書を突きつけた。すると夫はしどろもどろしながらも、離婚のことと彼女のことは別だ、彼女は離婚するつもりはないからと言い訳にならないことを言った。
「やろうと思えば帰宅が遅くならなくても外泊しなくても浮気はできるということですよね。発覚から3カ月、今、うちは冷戦状態です。離婚するしかないんでしょうけど、どのタイミングでしたらいいのか考えているところ」
誕生日のプレゼントから、ことはどんどん大きくなった。夫は浮気が見つからないまま離婚できると踏んでいたのだろうか。