森保監督就任以降、2列目に並んだ中島翔哉(ポルティモネンセ)南野拓実(ザルツブルグ)堂安律(フローニンへン)の3人の新生の活躍などでポジティブな話題が多いサッカー日本代表。

ここまでの四試合でそのスタイルの大枠が見えてきたといえる。相手に合わせて試合の中で細かい部分は変化しているとはいえ、確立しつつある攻撃方法は、奪ったボールをワントップの大迫勇也(ブレーメン)が全線で確実にキープする所から攻撃がスタートすることだろう。
 

日本代表に欠かせない存在になっている大迫勇也(写真:JFA/アフロ)



攻撃の基点の役割を担う大迫がキープしている間に全体のラインを押し上げ、伴って2列目の3人が相手ゴールに近い位置でボールを受けることができるようになり、多くのチャンスを構築している。
 

大迫が不在になる場合も考えられる

ワールドカップや先日のウルグアイ戦でのゴディンとのマッチアップを見るに、世界のどのディフェンダーとマッチアップしたとしても、大迫が個の力で敗れて前述の基点としての仕事を全うできないとは考えづらい。

しかし、90分を通じて肉弾戦が求められるポジションだけに怪我による離脱などの可能性も大いに考えられる。
 

今の日本代表はあの頃のチェコ代表に似ている?

今の日本代表と重なって見えるチームがある。2002年のワールドカップ出場を逃した後に就任したブリュックナー監督の下で覚醒したチェコ代表だ。

果敢なプレスでボールを奪い、ワントップの202㎝の巨人コラーに預け、そこを攻撃の基点にして2列目の選手が次々と追い越す戦術は今の日本と似ており、なにより強豪国にも一歩も引かないギラギラとしたモチベーションがあった。

ユーロ2004ではドイツ、オランダと同居した死のグループを3連勝で通過するとベスト4まで駆け上がり、その2年後のドイツワールドカップでは優勝候補に数えられるまでに。しかし、結果はあっけなくグループリーグで敗退。原因は初戦のアメリカ戦で、基点だったコラーを負傷で失ったことである。

代わりに起用されたのは同じく巨漢、196㎝のロクベンツ。しかし、ロクベンツの下に集まったボールはことごとく相手に奪われた。そして突き詰めてきた攻撃パターンの基準点を失ったチェコは何もできず、大会を去ることになったのだ。

日本が国際大会でこのチェコと同じ道を歩む可能性は大いにあるだろう。それほどまでに大迫は替えが効かない存在になっているのだ。このような、起こりうる問題を未然に塞ぐため考えられる方法は二つ。大迫の代わりを担えるポストプレーヤーを見出すか、大迫不在時用のプランBを用意するかである。
 

代わりを担えるプレイヤーは?

可能性を感じるのは11月の代表戦で初召集されるも怪我で辞退することになった鈴木優磨(鹿島)だろうか。

J屈指の名門、鹿島アントラーズでルーキー時代から年々出場機会を伸ばし続け、今シーズンついにエースとなった鈴木。このFWの本来の武器は負けん気の強さと得点感覚だった。しかし肉体的な成長に伴ってポストプレーという新たな武器を手に入れ、今ではJ屈指の万能FWとなっている。

今回は怪我で招集を見送られたが一度見てみたい選手の一人だろう。
 

プランBの影が見えたベネズエラ戦

では、今の攻撃パターンではないやり方は考えられるのだろうか。森保監督はベネズエラ戦で、短時間であったがプランBを試そうとしているように見えた。

68分、大迫に代わって投入されたのは同じセンターフォワードタイプの杉本健勇(セレッソ大阪)ではなく、どちらかというと1列下の南野と同じエリアでのプレーを得意とする北川航也だった。

その後、南野に代わって投入された杉本がワントップの位置に入るまでの数分だったが、南野と北川という足元の技術と俊敏性に優れた二人が最前線に並ぶ形になったのだ。数分であったため、その全貌は見えなかったが森保監督の何らかのトライがあったことは確かである。

この形がまだ見えてない以上何とも言えないが、アンリとベルカンプ(当時アーセナル)のように1.5列目で生きるタイプの選手が並ぶツートップは相性次第では爆発力と美しさを兼ね備えたコンビになる。さらに、技術と俊敏性に優れた日本人アタッカーは豊富にいるため、あらゆる人材を試すことができるので今後に期待である。
 

森保監督の構想中のプランに期待

好調を維持する現状に満足せず貪欲に引き出しを増やそうとする意図が見える森保監督。そのプランBがどんな形で見えてくるのか、また、大迫のプランAを押しのけるほどのプランになるのか、今後に期待していきたい。