湘南のタイトル獲得は24年ぶり

ルヴァンカップでの初優勝を喜ぶ湘南ベルマーレ・曺貴裁監督とサポーターたち(写真:松岡健三郎/アフロ)

J1全18チームとJ2の2チームが参加した18年シーズンのルヴァンカップは、Jリーグカップとも呼ばれる。アマチュアチームも出場できる天皇杯と異なり、こちらはJリーグのクラブだけが出場できる大会だ。
 

日本サッカーではJ1リーグ、リーグカップ、天皇杯を「3大タイトル」と位置づけられている。湘南のタイトル獲得は1994年元旦開催の天皇杯以来、実に24年ぶりのことだった。それこそが、今回の優勝が大きく取り上げられた最大の理由である。
 

もうひとつの理由は、このチームの生い立ちにある。
 

J1平均より20億円も少ない予算で…

今回のルヴァンカップ決勝で対戦した横浜F・マリノスは、日産自動車が筆頭株主だ。名古屋グランパスはトヨタ自動車、浦和レッズは三菱自動車工業と三菱重工業、鹿島アントラーズは新日鐵住金、川崎フロンターレは富士通、ガンバ大阪はパナソニック、FC東京は東京ガス、ヴィッセル神戸は楽天といったように、J1の多くのクラブは誰もが知る大企業のバックアップを受けている。
 

それに対して湘南は、大企業の支援を受けていない。99年に親会社が撤退し、市民クラブとして再生を図ってからこれまで、低予算で運営されてきた。
 

Jリーグから開示されている各クラブの決算によれば、2016年度の営業収益がもっとも多いのは浦和の約66億円だった。J1の平均はおよそ36億円だったが、湘南は約16億円である。
 

予算の差は戦力に現われる。
 

予算に限りのある湘南は、国内外で実績のある外国人選手、現役の日本代表選手などを揃えることが難しい。18年4月からダイエット事業で有名なライザップグループが運営に参画しているが、初期投資として公表されているのは18年からの3年間で10億円だ。20歳以下や21歳以下の日本代表に選ばれている選手こそいるものの、森保一監督の日本代表に招集されている選手はひとりもいない。
 

エネルギッシュな“湘南スタイル”が証明したこと

その代わりに、12年に就任した曺貴裁監督のもとでチームは鍛えられていった。フィールドプレーヤーが足を止めずに走り続けるサッカーは、エネルギッシュでひたむきだ。エンタテインメントとしての魅力にも溢れ、“湘南スタイル”と呼ばれるようになった。
 

すでに出来上がった選手を集めたチームではなく、開発されていない才能を曺貴裁監督に掘り起こされたベルマーレは、予算の壁を越えてタイトルをつかめることを証明した。実はそれこそが、今回の優勝でもっとも価値のあることなのである。