夫の死後に不倫が発覚……そのとき妻は
夫の死後に不倫が発覚したとき、妻はどう思い、どうするのだろうか。阿部哲子アナウンサー(39歳)が9月で担当していた全テレビ番組を降板、その背景にダブル不倫があったという。しかもその相手は亡くなり、遺品整理をしていた妻が夫の不倫に気づき、相手が阿部アナだとわかったらしい。
「私が苦しんだように苦しむべきだし、懺悔するべきだと思いました」
妻のこの発言は怖いが重い。
夫の急死から不倫が発覚
夫が海外駐在中に突然、事故死。そのとき女性と一緒だったことを妻が知ったというケースがある。
「夫の海外赴任が決まったとき、一緒に行こうと思っていたんです。夫もそれを望んでいた。だけど当時、4歳と2歳の子がいて、しかも下の子が病弱で年に何度か入院するような状態だった。言葉もわからない国にいって生活できるとは思えなかったんです」
マリさん(41歳)は、6年前のことを振り返る。大学で同級生だった夫と結婚したのは25歳のとき。常にふたりで協力しあって話し合いながら暮らしてきた。夫への信頼は絶大だったという。そのときもいろいろな状況を鑑みて、夫はまずはひとりで赴任した。
半年後、マリさんは子どもたちを連れて夫のもとを訪ねてみた。とりあえず様子を見ようと思ったのだ。夫が住んでいるところは環境もよく、あと半年ほどたったらマリさんと子どもたちも一緒に越してこようと夫と話し合った。
「その1カ月後です。会社から突然連絡があって、夫が運転中に交通事故で亡くなった、と。あまりにも急で何がなんだかわからなかった。夫の両親が子どもを見ていてくれることになり、私は会社の人と夫がいた国へ。飛行機の中でも何も考えられなかった」
夫の遺体を見ても実感がわかなかった。
「どうして寝てるの、どうして起きないの。そればかり思っていました」
現地で荼毘に付すことになった。周りの人たちはマリさんを気遣ってくれるが、どこか様子がおかしいと、しばらくたってから彼女は感じた。
「夫の上司が、ここで伝えるべきことではないかもしれないが、と言いながら、夫が女性と一緒に車に乗っていたことを教えてくれました。彼女は重傷だが命は助かった、と。それでも私、夫とその女性の関係にまで頭が回らなかったんです」
夫が住んでいた部屋の整理をしているとき、その女性の痕跡をたくさん見つけた。ほぼ同居していたのではないかと思えるほどだった。携帯電話からも夫に恋する女性のメールがあった。夫も彼女を大切に思っていたらしい。
「そこで初めて、上司の言ったことに気づいて。そのまま気を失ったらしくて」
気づくと病院のベッドだった。
自分の何がいけなかったのか
その後、彼女は「生きている」実感を味わえないままだった。あんなに愛し合っていたはずの夫が裏切るなんて。私は彼の何だったのか。悩みに悩んで心身の状態が悪化していく。心配した夫の両親が一緒に住んでくれたため、彼女は「自分の人生を放棄しないですんだ」という。
「一年ほどたったとき、相手の女性から会社を通じて謝罪の手紙が来ました。彼女も迷ったようですが、そこには本音が書かれていました。いけないとわかっていたけど、本当に彼を愛してしまったのだ、と。そのとき私、思ったんです。夫は私を裏切ったわけではなくて、家庭を愛しながら、彼女のことも愛してしまったんだろうなって。いずれにしても夫はもういない。誰かを恨んでもどうしようもないんですよね」
相手の女性は、夫の会社と取引がある別の会社に勤めている30代後半の独身だったそうだ。夫より1年以上前に、同地に赴任した日本人女性だった。現地での生活などいろいろ彼女が教えているうちに互いを必要とするようになったのだろう。
「あれから6年たっていますが、今も私は夫を身近に感じています。彼女への恨みはありませんし、彼女が幸せであればいいなと思っています。最近、ようやく気持ちが晴れやかになってきて、今は夫の両親に子どもたちを見てもらいながら、バリバリ働いています」
マリさんは穏やかな、包み込むような笑顔を見せた。