今年のJ1残留争いは大混戦!

残留争いが混沌としている今年のJ1リーグ(写真:田村翔/アフロスポーツ)


例年になく残留争いが混沌としているサッカーJ1リーグ。各チームのサポーターに冷や汗をかかせる最大の要因は降格圏から勝ち点差6以内に9チームがひしめく大混戦模様だ。(2018年9月16日現在)

特に昨シーズン2位で昇格を決めたものの他チームよりも戦力的に乏しい現在最下位のV・ファーレン長崎。ハードワークを軸とした粘り強い試合運びでしぶとく勝ち点を重ねてきたが、今後さらに厳しい闘いが続きそうだ。

中断期間開けに、まるで別のチームになったかのように調子を上げ、8月以降7連勝を記録した前半戦最下位の名古屋グランパス、元スペイン代表のF・トーレスらを夏に獲得したサガン鳥栖、本来なら優勝争いに絡んでいてもおかしくない強豪ガンバ大阪や柏レイソルなど、個の力で言えば上位にいるはずのチームが残留争いをしているということも下位チームの悩みの種だろう。
 

J1降格チームはJ2の町田ゼルビアが決める!?

J1残留争いのキーとなる町田ゼルビア(写真:西村尚己/アフロスポーツ)


そんな中、J1下位チームが残留争いのキーになるのが、現在J2で2位を走る町田ゼルビア。J1の自動降格圏の1つ上、16位にあたるチームが、J2の3位から6位チームが戦う昇格プレーオフ勝者との入れ替え戦で町田と対戦する可能性があるから、というわけではない。むしろ、どういう状況でもどのチームも町田と対戦しないのだ。

それは、「J1ライセンス」を町田が所有していないからである。この「J1ライセンス」とは、J1に所属するチームに必要とされる施設や経営面での条件を満たしたチームに与えられる免許のようなもののことだ。このライセンスを持たない町田は、入れ替え戦はおろか例えJ2で優勝しようともJ1昇格の権利を持たない。
 

町田の他にも現在J2に所属するチームでJ1ライセンスを持たないのは水戸ホーリーホック、カマタマーレ讃岐で計3チーム。これらのチームが2位以内でフィニッシュしたとするとJ1からの自動降格の枠が1つ減ることになり、本来なら自動降格の17位チームが入れ替え戦に回り、入れ替え戦出場となるはずの16位チームが自動残留となるのだ。だから、J1下位チームは神頼みのような気持ちで町田の試合に注目するのだ。
 

町田セルビアがJ1に昇格するには?

そもそも、このJ1ライセンス取得の審査基準は、競技(アカデミーなどと呼ばれる下部組織の有無など)、施設、人事組織、法務、財務に分類される全56項目。すべての項目はライセンス取得の必須条件のA等級、満たさないと無観客試合や罰則が課されるB等級、必須ではあるが推奨されるC等級に分けられる。

町田はその中でA等級の審査基準、『15000人以上の収容が可能なスタジアムや天然芝の練習場』という施設面での条件を満たせていない。早急に問題の解決を目指しているが、経営規模も小さく、施設面の問題をクラブの力だけでクリアーするのは難しいものがあり、地域の協力が必要不可欠になっている。

幸い町田という街は都内でもサッカーが盛んな地域で、ゼルビアの試合後には多くの子供がスタジアム前の公園でゼルビアのユニフォームを着てボールを蹴っている姿も見られる。そして今シーズンの戦いぶりで昇格にふさわしい力を持つことを証明し、近い将来のライセンス取得に向け、スタジアム整備構想が練られているそうだ。

J1クラブのサポーターも町田の熱く激しいサッカーが地域を動かし、昇格圏にいるチームが順当にJ1昇格できるようになることを願ってやまないことだろう。そして今シーズンに限っては自分本位な気持ちで町田が昇格圏に留まってくれることを願ってやまないJ1クラブのサポーターもいるかもしれない。