浮気、借金、暴力が離婚の三大理由と言われて久しい。今も変わりはないのかもしれないが、それ以外の理由で別れる女性たちも少なくない。では三大理由以外で女性が離婚を決意する理由は何なのか。それを探っていくと、「今どきの夫婦のありよう」や「妻が夫に求めること」などが見えてくるかもしれない。

6年の交際、2年に満たなかった結婚生活……33歳、サオリの場合

「結婚して2年くらいで別れちゃったんですよね」

明るくそう言うのはサオリさん(33歳)だ。30歳直前で、6年つきあっていた2歳年上の男性と結婚したものの、2年もたなかったという。

「大学を出て就職した会社の先輩だったんです。会社もわりとオープンだったから、彼と私がつきあっているのはみんな知ってて。だからやっと結婚するとなったとき、周りのほうが盛り上がっていたかもしれない(笑)」

6年のつきあいとは長いが、この間、2度ほどケンカして数ヶ月離れていた時期もあったらしい。

「もう2度と合わないと思っても、会社で顔を見ちゃいますからね。またどちらからともなく連絡して戻って、の繰り返し。結婚を決めたのは特に理由がないんです。彼のほうから『30歳までに結婚したいって言ってたよね』と言ってくれたのがうれしくて。結婚するならこの人だろうとお互いに思っていたんでしょうね」

それほど理解しあっていたつもりだった……。
 

一緒に住んでみると違和感ばかり

それなのに結婚して一緒に住んでみると、サオリさんの心の中には違和感ばかりが募っていった。

「私は彼のことを何も知らなかったんだと愕然としました。共働きだから家事も緩く分担していたけど、彼は何もしてくれない。洗濯物がたまったり部屋が汚かったりしてギブアップするのはいつも私。結局、自分でやったほうが早いし精神衛生上もいいわと思っちゃうんですよね。これじゃいけないと思って、何度か話し合おうとしたんです。そのたびに『ごめん、ちゃんとやるよ』と妙にしおらしく答えるんだけど、結果は変わらない。だんだん疲れてきちゃったんですよね」

どうして自分だけが損しているのだろう、ひとり暮らしの独身時代のほうがずっと精神的に穏やかでいられたのに。そんな思いがサオリさんの中にふつふつとわき起こっていった。

週末の過ごし方もサオリさんには信じられなかった。つきあっているときは週末のどちらかは一緒に映画を観に行ったり遊びに行ったりしていたのに、結婚後は「週末のどちらかは彼の実家を訪れる」ことが習慣となりつつあった。

「彼の実家、私たちの新居から2時間以上かかるんですよ。往復5時間近い。どうしてそうまでして毎週行かなければならないのかわからない。私がそう言ったら、彼は『だってオレ、週末のどちらか1日はいつも実家に帰っていたから』と。それはあなたの習慣であって、私は違う過ごし方がしたいと言ったら、オレは長男なんだよと逆ギレされて。両親も弟さんもみんな元気で、別にわざわざ毎週行かなければならない理由はないのに」

あとから知ったのだが、彼の一家、実は非常に仲がよかったそうだ。
 

家族観が違う

数ヶ月たつうちにサオリさんは気づいた。

「彼とは家族観が違うんです。彼はそうやって仲良し家族で育った人。私は父子家庭で育って、高校を出ると家を離れて大学もほぼ自力で通いきった。頼るより自立しなければという思いが強かった。そのあたりの違和感がありましたね。彼は私がどういう家庭で育ったか知っているから、つきあっているときは私の前で自分の家族の話はほとんどしなかった。だから私は彼があれほど家族べったりだと知らなかったんです」

もちろん、サオリさんは頑なに拒否したわけではない。彼の実家に行くのも月に1度くらいなら我慢できた。だが彼は毎週来いと言い、「みんなサオリがくるのを待っているんだよ」と言った。

「向こうの両親は私をかわいがってはくれました。娘がいないからうれしいとお母さんも言ってくれて。だけどそういう問題じゃないんです。いつも家族と一緒にいないといけないというプレッシャーがきつかった。友だち夫婦とどこかに行ったり、夫婦でのんびり過ごしたりする時間も大事だと思ったし」

がんばって彼の実家に毎週行っていたサオリさんだが、半年足らずで我慢の限界が来た。もうイヤだ、私はあなたの実家と結婚したわけではないとキレた。

「嫁に来たんだから、オレの実家に入ったようなものだろと彼が言ったんです。嫁?なにそれって感じでした。この人はそういうつもりで結婚したのか、と愕然としました。婚姻届を書いたくせに、彼は私が彼の家の戸籍に入ったと思ってるし。どこまで時代錯誤なんだか」

それを聞いたサオリさんは、身の回りのものをまとめて家を飛び出し、そのままウィークリーマンションに避難した。

その後、一度は夫の説得に根負けして自宅に戻ったが、やはり家族観の違いは埋めようがなかった。結婚して1年後に別居、そのまま離婚へと突き進んだという。

「従来の"家族"というものに縛られたくない私と、仲良し家族の彼。どちらが悪いという問題ではなくて、やはり合わなかったんだろうなと思います。長くつきあってお互いによくわかっているからと思っていたけど、家族観なんていうものはなかなかすりあわせられない。でももう少し家族というものについて話し合っておけばよかったとは思います」

離婚後、彼女は自ら望んで関西支社に転勤、今では関西の生活を楽しんでいるという。どこにいても暮らしていけるけど、それはどこにも根を生やそうとしないことかもしれない、と最後に彼女は少しだけ寂しそうな笑みを浮かべた。