シーズン終盤&CSを盛り上げる!? 広島&西武キラーリスト

2018年のプロ野球ペナントレースもいよいよ終盤。両リーグの優勝チームが見えてきましたが、昨季のように意外な伏兵が活躍し、下剋上を果たすことがあるのもプロ野球の面白いところ。そこで、首位チームをカモにする選手たちを調べてみました。

下剋上には欠かせない“首位キラー”の存在

昨年のCSを盛り上げた筒香嘉智(写真:AP/アフロ)

いよいよプロ野球ペナントレースも佳境。セ・リーグでは巨人以外では史上初となるペナント3連覇を狙う広島が首位を独走し、パ・リーグでは強力打線を武器にした西武が10年ぶりの日本一に向けて、前年日本一チームのソフトバンクを抑えて首位に立っています。

残り20試合前後となったこの時期、ペナントの優勝チームはほぼこの2チームで決まった感はありますが、このまますんなりと日本シリーズに出場できるかは別問題。事実、昨季のセ・リーグCSでは圧倒的な戦力差で他チームを圧倒した広島が14.5ゲーム差もつけていたペナント3位のDeNAの大胆な選手起用の前になすすべなく敗れ、日本シリーズ出場を逃しました。

このDeNAの下克上に大きく貢献したのが筒香嘉智やウィーランドといった首位・広島を苦にしなかった選手たちです。対広島戦での打率.323を誇った筒香はCS4戦目で値千金の先制弾を打てば、投手でも広島の本拠地であるマツダスタジアムで防御率0.75とほぼ完璧に抑え込んでいたウィーランドが好投してCS制覇に王手をかけると、続く5戦目でも筒香は2本塁打を放ってDeNAは勝利。チームをセ・リーグでは史上初となる3位からの日本シリーズ出場へと導きました。

こうした“首位キラー”の選手たちが今季もシーズン終盤、そしてCSで牙をむくことでしょう。そこで今回はCS争いを演じるチームに潜むキラーな選手たちを調べてみました。
 

西武キラーの投手たちの意外な共通点が判明!?

まずはパ・リーグ。強打をウリした打線と絶対的なエース・菊池雄星を擁する西武を苦しめているのはどんな選手でしょうか?
 

選手名 球団 シーズン成績 対西武成績
柳田悠岐 ソフトバンク 打率.352(415-146)32本塁打91打点 打率.390(59-23)8本塁打17打点
近藤健介 日本ハム 打率.328(390-128)9本塁打62打点 打率.338(77-26)2本塁打18打点
西川遥輝 日本ハム 打率.275(461-127)10本塁打45打点 打率.315(73-23)0本塁打7打点
デスパイネ ソフトバンク 打率.238(344-82)25本塁打62打点 打率.296(54-16)3本塁打5打点
中田翔 日本ハム 打率.276(468-129)25本塁打99打点 打率.284(74-21)7本塁打17打点

▲表1 西武キラーの打者TOP5(対西武戦50打数以上)
 

3位日本ハムと4位オリックスとの差が9.5ゲームと離されているため、ソフトバンクと日本ハムの選手に絞りましたが、打者でダントツの戦績を残しているのがソフトバンクの主砲・柳田悠岐。本塁打のおよそ4分の1を西武戦で放ち、打率も4割近い成績をキープしています。

ちなみに柳田はCS争いのライバルである3位の日本ハム相手でも打率.392を誇り、CS争いが白熱する中で頼れる存在と言えそうです。また右膝の炎症で戦線を離脱しているため自宅療養を続けているデスパイネも、西武相手では打率が通常よりも6分近くも上昇。柳田と、出場できればデスパイネの2人を西武投手陣が抑えられるかがカギになるでしょう。
 

選手名 球団 シーズン成績 対西武成績
マルティネス  日本ハム 10勝8敗 防御率3.36  2勝2敗 防御率2.63 
石川柊太 ソフトバンク  11勝6敗 防御率3.80 3勝2敗 防御率3.13
上沢直之 日本ハム 10勝5敗 防御率3.33 1勝1敗 防御率3.68
千賀滉大 ソフトバンク 11勝5敗 防御率3.02 3勝1敗 防御率4.05

▲表2 西武キラーの投手TOP5(対西武戦20投球回以上)


一方、投手陣を見ると、日本ハムの新外国人マルティネスとソフトバンクのホープ、石川柊太が好調。マルティネスも石川も奪三振率は決して高くなく、カーブを軸にした変化球で打たせて取る投球術に特徴があります。

また、防御率こそ冴えませんが、西武相手に3勝を挙げている千賀滉大もフォークが武器の投手。西武の強力打線相手ではストレート主体の真っ向勝負ではなく、変化球で交わすピッチングがあっているのかもしれません。
 

ヤクルトには広島キラーが不在!?

続いて、セ・リーグペナント3連覇の偉業がかかる広島。丸佳浩、大瀬良大地らの中心選手がしっかりとしている強豪チームを苦にしない選手とはどんな存在でしょうか?

3位と4位の差が開いたパ・リーグとは異なり、セ・リーグは3位巨人と最下位中日との差が4.5ゲーム差。そのため、広島以外のセ・リーグ5球団を対象としました。

すると、投手&野手を含めてもCS当確圏内に入ったヤクルトの選手からは対広島に強い選手は不在!一方で最下位の中日からは明確にキラーというべき存在がいるのが面白いポイントです。
 

選手名 球団 シーズン成績 対西武成績
ビシエド  中日 打率.353(459-162)24本塁打92打点  打率.424(85-36)5本塁打17打点
ロペス DeNA 打率.303(356-108)20本塁打65打点 打率.353(68-24)2本塁打9打点
坂本勇人 巨人 打率.341(372-127)14本塁打61打点 打率.348(66-23)1本塁打10打点
糸原健斗 阪神 打率.286(426-122)1本塁打29打点 打率.338(74-25)1本塁打8打点
倉本寿彦 DeNA  打率.226(208-47)1本塁打13打点  打率.328(61-20)0本塁打5打点  

▲表3 広島キラーの打者TOP5(対広島戦50打数以上)


まずは打者をみてみますと、現在首位打者の座をひた走るビシエドが打率4割オーバーというハイアベレージをマーク。その他の選手を見てみると、比較的小技の効くタイプや下位打線を任される選手が多いのが印象的です。たとえランナーを溜めてもスラッガータイプの選手をしっかりと抑えることで、大量失点を防いでいるという広島の試合展開が目に浮かびます。
 

選手名 球団 シーズン成績 対西武成績
東克樹 DeNA 10勝5敗 防御率2.65  1勝0敗 防御率2.84
ガルシア 中日 12勝7敗 防御率2.82 3勝1敗 防御率2.88
笠原祥太郎  中日  4勝3敗 防御率4.18  2勝2敗 防御率3.09 
菅野智之 巨人 12勝7敗 防御率2.53 2勝2敗 防御率3.55
岩貞祐太 阪神 6勝7敗 防御率2.91 1勝1敗 防御率3.60

▲表4 広島キラーの投手TOP5(対広島戦20投球回以上)
 

そして投手は防御率ベストの東克樹ですらシーズン通算からは悪化しているようにほとんどの選手が広島打線の餌食になっています。この様子を見てもセ・リーグで唯一貯金を独占している広島の圧倒的な強さがわかります。

侍ジャパンとしても活躍した菅野智之(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

シーズン終盤&CSで輝く選手たちに期待!

いかがでしたか? 意外な選手の名前が出て興味深い結果になったと思われます。ペナントシーズンも佳境に差し掛かり、CS出場のためには負けられない試合が増えるこの時期、上位チームが得意な選手たちに注目してみるのも面白いかもしれません。

※成績データは9月9日終了時点のものです。

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