40代婚活、親の介護が重なって……

40代の結婚というと、妊娠できるのか?など、「子供」のことばかりが話題にあがるが、問題はそれだけではなく……。決して他人事では済まされないマキさん、42歳の話。

40代婚活の現実!?

結婚に年齢制限はないけれど、若い頃にはなかった問題も……

40代婚活には、さまざまな困難が重なることがある。

「40代になるとそう簡単に妊娠が望めないので、子どもを希望する男性から見ると二の足を踏むんでしょうね。私の場合はそこに親の介護が重なったので、今、もっと早く結婚すればよかったという後悔でいっぱいです」

マキさん(42歳)は、疲れたような表情でそう言った。彼女が婚活を始めたのは38歳のとき。最初はまだ気持ちに余裕があった。

「30代ならまだ妊娠できそうな気がしたし、需要もあるのではないか、と。ところが世間は冷たかった」

結婚相談所に登録したが、お見合いを進められるのは「50代後半バツイチ子どもあり」ばかりだった。40代の男性は30代前半までの女性を求めることが多いと言われた。

「それでもふたりくらい会ってはみたんです。ひとりはごく普通のサラリーマン。バツイチでもう成人している子どもがいて、もう子どもは望まないと言われて。私はなんとか子どもをもつ希望を失いたくなかったので、二度目に会うことはありませんでした。ふたりめも同様の状況でしたが、子どもができれば喜んで育てるという人だったので会ってみたんです。そうしたら話の中で、『あなた、まだ妊娠できると思ってます?』という言葉が。そりゃあ確率的には低いでしょうけど、そういう言い方をされると傷つきますからね」

結婚を望んでいるのに、いくつであろうが相手に傷つけられる謂われはない。マキさんはお見合いを一時休止、より自由度の高いパーティー形式に出席するようになった。

「自由度が高いということは男性にとっても同じ。なるべく積極的に話しかけるようにしましたが、なかなかカップルにはなれなかった。それでも一度はカップル成立して、デートにまではこぎつけた。ただ、相手は同居している親のめんどうを見てほしいというのが見え見え。私自身も両親と同居ですから、とても人の親までめんどう見切れない」

40歳、親が倒れて

そうこうしているうちに40歳の誕生日を迎えてしまった。友人たちが集まって祝ってくれたが、とても喜べる心境ではなかったという。

「本当に結婚したいから、誰か紹介してと絶叫してしまいました。私の本気度が伝わったのか、後日、友人の知り合いで結婚したがっている独身男性がいるという話をもらったんです」

直に連絡をとりあって会うことになった。メッセージのやりとりを重ねたところ、彼の優しい人柄に好意を抱く。だが会う約束の前日、深夜に父親が倒れて救急車で運ばれる。脳出血だった。すぐに手術がおこなわれた。

「彼には状況を説明して会うのを延期してもらいました。だけどその日から、母は毎日のように病院に出かけ、私は仕事が終わるとすぐに帰って夕食の準備をするという生活に。しばらくたって父がリハビリを始めたんですが、なかなかよくならない。彼からはときどきメッセージが来ましたが、あまり明るい返事もできなくて」

なんとなく疎遠になってしまったとマキさんは言う。今、父親は家の中くらいならなんとか歩けるが、母はつきっきりで手助けしている。

「婚活どころではなくなりました。ただ、結婚したばかりでこの状況になっていたら、夫への罪悪感に苛まれたでしょうから、これでよかったのかなとも思っています。というか、これも運命なのかな、と」

40代の婚活、親の介護が微妙に絡み始めることも多い。だから早く結婚したほうがいいというわけではない。
「実は、発見したことがあるんです。自分の心理」
マキさんは笑いながら言った。

「親の介護があって結婚しそこなった、という言い訳ができたとどこかでほっとしている自分がいるということ。本当に結婚したくて婚活していたわけではなかったのかもしれません。世間体を気にしていたのが半分くらいありそう」
笑顔がチャーミングだった。

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