西野朗監督は自らの責任をあげたが…?

西野朗氏(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

ロシアW杯の日本代表には、何が足りなかったのか。ベルギーに2対3で敗れた翌日、西野朗監督は自らの責任をあげた。


「2対0になって(得点を)取り返されたのは、私のベンチワークも影響すると思う。そういう意味では足りなかった部分のひとつ大きなもの」
帰国後の会見では、さらに踏み込んで話した。


「(2対0になったあとの)あの30分間で(選手交代などの)判断できる、そういうスピード感がまったく自分になかった。まさかああいう状況になることは、考えられなかった。でもやはり、紙一重なところで流れが変わってしまう」


ならば、ベルギーに敗れてベスト8入りを逃したのは、西野監督だけの責任なのか。


否、そうではない。
 

代表チームのスケジュールが過密

日本戦の残り30分でベルギーが見せた闘争本能は、テストマッチでは決して触れることのできないものだった。しかし、テストマッチであれ、強豪国と対戦する機会は重要なものだ。
 

ところが、国際サッカー連盟(FIFA/フィファ)によって代表チームのスケジュールが世界的に統一されており、各国とも公式戦を消化していくのに精いっぱいなところがある。


欧州では新たな大会がスタートする。この9月からネーションズリーグ(NL)という大会が、偶数年に開催されることになった。W杯本大会とその予選、欧州選手権とその予選にNLを加えると、欧州各国のスケジュールにはスキ間がない。日本のような国がテストマッチの相手に選ばれるのは、これまでよりもさらにハードルが高くなる。


日本代表は9月、10月、11月にそれぞれ2試合ずつ国内でテストマッチを行うが、対戦相手に欧州の国が入っていない(※1)。NLの影響が、すでに現われているのだ。


少しでもマッチメイクを実現しやすくするために、今後は国外でのテストマッチを増やすことを検討していくべきだろう。アジア予選突破後にW杯の準備を本格化させるのではなく、早い段階から強豪国と対戦する機会を増やしていきたい。テストマッチゆえの熱量の低さがあるとしても、相手側のホームなら真剣度は増す。相手チームが時差や疲労の影響を受けない環境で、より多くのテストマッチを重ねていくべきだろう。
 

Jリーグの「春冬制」を改めて考える

Jリーグのシーズンについても、考えるべきではないだろうか。


欧州各国リーグが夏開幕で春終了なのに対して、日本は春開幕の冬終了だ。代表チームの強化を司る技術委員長も務めた西野監督によれば、「9、10、11月は強化にならないぐらいの状況」だという。欧州でプレーする選手がシーズン開幕から数カ月なのに対して、Jリーグは佳境へ突入していくタイミングで、コンディションにズレが生じることが大きな理由だ。同様の傾向は、3月のテストマッチでも見られる。


Jリーグが12月から2月をシーズンオフにするのは、雪に覆われる地域をホームタウンとするクラブがあるからだ。欧州のシーズンに歩調を合わせるのは簡単ではない。しかし、サッカー協会に選手の拘束力がない年齢別の代表チームでは、欧州がシーズンオフの時期だと選手を招集できないケースもある。「その時期は選手を休ませたい」と、クラブ側から招集にストップがかかることがあるのだ。10代後半や20代前半から海外でプレーする選手が増えているだけに、これは看過できない問題である。
 

年齢別代表と日本代表の強化に「一貫性」が必要

年齢別代表と日本代表の強化に、さらなる一貫性を持たせていくことも必要だ。具体的には年齢別代表の監督やコーチの選び方に、はっきりとした基準を設けるべきだろう。そのうえで、可能性のある選手は早い段階から高いレベルのチームへ引き上げる連携を構築したい。日本代表に層の薄いポジションがあれば、20歳以下や23歳以下のチームの選手をトライアル的に招集してもいいかもしれない。


国内のサッカーピラミッドの頂点にあるのが、日本代表というチームである。だとすれば、その土台となる国内リーグの整備や選手の育成なども、W杯で結果を残すためには欠かせない。現状では変えられないものについても、すでに議論を重ねてきた課題についても、今回のW杯をきっかけにもう一度見つめ直していきたい。


日本サッカーには、まだまだやるべきこと、できることがあると思うのだ。


(※1)6試合のうち決まっているのは2試合で、北中米カリブ海地区のパナマとコスタリカ。7月10日現在の情報。