ミッキーロケットが悲願達成!第59回宝塚記念レポート

6月24日(日)、競馬界の上半期を締めくくるG1、宝塚記念が開催されました。スターホースたちの争いを制したのは7番人気の伏兵・ミッキーロケット。鞍上の和田竜二騎手は17年ぶりの中央G1制覇となりました。そんな春のグランプリを振り返ります。

関ジャニ∞来場で大盛り上がりを見せた阪神競馬場

優勝したミッキーロケット(写真:伊藤 康夫/アフロ)

春のドリームレースと呼ばれて久しい宝塚記念。G1レース2勝を誇るサトノダイヤモンドをはじめ、連覇のかかるサトノクラウンなどの日本のスターホースをはじめ、香港からG1レースを3勝した大物・ワーザーがやってくるという豪華な一戦でしたが、実は戦前、大いに注目を集めたのは実は馬ではありませんでした。
 

平成最後の宝塚記念を盛り上げるためか、JRAは宝塚記念では異例となる国歌斉唱をのイベントを開催。その国歌を歌うスペシャルゲストとして来場したのが関ジャニ∞のメンバー、横山裕、村上信五、錦戸亮。ジャニーズの人気グループのメンバーが揃って来場するという競馬場では珍しいイベントが開催されたことで、レース当日の阪神競馬場には多くの来場客が殺到。開門待ちは3000名を超え、徹夜組も200名以上を数えるなど多くの人々が詰めかけました。その結果、入場人員は6万5800人と前年比122.4%を記録するという大盛況でした。
 

では、天皇賞(春)4着などの実績を持ちながらなかなか勝ち切れずにいたミッキーロケットが、悲願のG1制覇を果たしました。そして鞍上の和田竜二騎手はこの勝利がなんと17年ぶりとなる中央G1制覇。感極まってか、ゴール直後にはゴーグル越しに目を覆うシーンも見られました。
 

ドラマ溢れるレースとなった今年の宝塚記念、その様子を振り返ってみましょう。
 

馬場状態の変化を見逃さなかった和田竜二

宝塚記念と言えば、毎年のように語られるのが馬場状態。6月の梅雨時に行われるレースということでどうしても空の状態が気になってしまうもの。実際に過去2年の宝塚記念は稍重馬場で行われており、今年の馬場も前日23日に降った大雨の影響が当日になっても残っており、稍重でのレースとなりました。
 

2年前の菊花賞、有馬記念を制したサトノダイヤモンドや昨年のこのレースの勝ち馬サトノクラウン、昨年の菊花賞馬のキセキ、そしてドバイターフで世界の名だたる強豪を抑えたヴィブロスなどそうそうたる馬たちがエントリーしていましたが、この中でミッキークラウンは7番人気。前走で天皇賞(春)4着に入るなどの実績を収めていますが、勝ち切れないレース振りが災いして、最後に勝ったのは1年以上前の日経新春杯。そうした点が人気を落とす要因になってしまいました。
 

レースは伏兵・サイモンラムセスが逃げ、それをタツゴウゲキが追いかけるという展開に。1000mの通過ラップは59秒4という速い流れでレースが進むと、中団に控えた人気馬たちは徐々に進出を開始。1番人気に支持されたサトノダイヤモンドに至っては3コーナー過ぎから外目を突いて上がってくるという往年のレース運びを見せて大観衆のボルテージは最高潮に達しました。
 

しかし、サトノダイヤモンドの犯した唯一のミスがこのコース取り。実はこの日の阪神の芝コースは雨で湿った状態でしたが、内側から乾きだしていて走りやすい状態になっていました。勢いに乗った状態で、走りにくい外目を突いたサトノダイヤモンドは直線で一旦、先頭に立ちましたが、そこから伸び脚を欠いてしまいました。
 

最後の直線に入る際、最もいいコース取りを見せたのが4角で2番手までに押し上げていたミッキーロケット。鞍上の和田竜二は乾いた内側のコースを狙ってインを走り、サトノダイヤモンドを捕らえて先頭に立つと後はグングンと伸びて、香港からやってきたワーザーの追撃をクビ差凌いでゴール。念願のG1制覇を成し遂げました。
 

17年ぶりのG1制覇の裏にあった、かつてのパートナーとの絆

ミッキーロケットのG1制覇をアシストした鞍上の和田竜二はこれが17年ぶりの中央G1制覇。それに感極まったのか、レース後から目頭を押さえるシーンが見られましたが、それにはこんなわけがありました。
 

和田竜二が最後に中央G1を制したパートナーはテイエムオペラオー。和田竜二にとっては初めてのG1制覇を成し遂げた相棒であり、この馬とのコンビで2000年には年間無敗の8連勝、G1タイトルは合計で7つという歴代最多タイの勝ち星を挙げるという大活躍を収めました。
 

そんな最良のパートナーだったテイエムオペラオーは今年の5月17日に22歳でこの世を去りました。和田竜二としてはこのレースに賭ける想いが大きかったようで、レース後にファン向けに語った勝利騎手インタビューでは「この一戦にかける思いでした。(最後は)オペラオーが背中を押してくれたと思います」と語り、ミッキーロケットとの勝利の余韻に浸りました。
 

新たなパートナーと迎える秋競馬。和田竜二とミッキーロケットは今後、どれだけビッグタイトルを積み上げていくのか…注目していきましょう。
 

◆2018年宝塚記念全着順

着順  枠番  馬番  馬名 性齢  斤量  騎手 タイム/着差  人気  調教師
1 2 4 ミッキーロケット  牡5 58 和田竜二  2:11.6 7 音無秀孝
2 7 13 ワーザー セ7 58 H.ボウマン クビ 10 J.ムーア
3 1 2 ノーブルマーズ 牡5 58 高倉稜 3 12 宮本博
4 5 10 ヴィブロス 牝5 56 福永祐一 クビ 3 友道康夫
5 4 8 ダンビュライト 牡4 58 武豊 1 1/4 5 音無秀孝
6 2 3 サトノダイヤモンド 牡5 58 C.ルメール 1/2 1 池江泰寿
7 1 1 ステファノス 牡7 58 岩田康誠 ハナ 11 藤原英昭
8 8 16 キセキ 牡4 58 M.デムーロ クビ 2 角居勝彦
9 4 7 パフォーマプロミス 牡6 58 戸崎圭太 3/4 4 藤原英昭
10 7 14 スマートレイアー 牝8 56 松山弘平 アタマ 13 大久保龍志 
11 3 5 ストロングタイタン 牡5 58 川田将雅 1 8 池江泰寿
12 5 9 サトノクラウン 牡6 58 石橋脩 クビ 6 堀宣行
13 3 6 アルバート 牡7 58 藤岡康太 3 1/2 15 堀宣行
14 8 15 ゼーヴィント 牡5 58 池添謙一 7 9 木村哲也
15 6 12 タツゴウゲキ 牡6 58 秋山真一郎 クビ 16 鮫島一歩
16 6 11 サイモンラムセス 牡8 58 小牧太 7 14 梅田智之
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