「チームのキーマンはひとりではない」

サッカー日本代表の西野朗監督は、「チームのキーマンはひとりではない」と話す。アルゼンチンのリオネル・メッシ、ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドのような世界的なスーパースターが、日本代表にはいない。ひとりが輝くために残り10人が頑張るのではなく、チーム全体で勝利をつかむのが日本のスタンスであり、その意味では23人のメンバー全員がキーマンと言うことができる。


とはいえ、戦略的に重要な役割を担う選手はいる。
 

守備では長谷部誠と吉田麻也がカギ

西野監督は3バックと4バックの併用を明言しており、3バックでは長谷部誠がカギを握る。
 

今回が3大会連続のW杯出場となるこの34歳は、ボランチと呼ばれる中盤の守備的なポジションを定位置とする。ただ、所属するフランクフルト(ドイツ)では、3バックの中央で守備を統率するセンターバックで起用されてきた。クラブでの実績を評価され、代表でも同じ役割を与えられているのだ。
 

吉田
吉田麻也(写真:JFA/アフロ)

システムが4バックになると、長谷部は本来のボランチへポジションを上げる。守備をまとめるのは吉田麻也の仕事だ。
 

イングランドのサウサンプトンに在籍する彼は、チーム最長身の189センチの高さを生かしながら、相手の攻撃を跳ね返していく。守りの時間が長くなる想定に立つと、4バックでもセンターバックが戦術的なキーマンになる。
 

日本代表の隠れたキーパーソンは大島僚太

どちらのシステムでも注目されるのは、25歳の大島僚太だろう。16年のリオ五輪に出場した川崎フロンターレ所属のボランチで、5月30日のガーナ戦でも鋭いタテパスで攻撃のスイッチを入れていた。
 

本田圭佑や香川真司らの経験者ほどにはスポットライトを浴びないが、大島の出来はチームの結果を左右する。背番号18を着ける彼こそは、ロシアW杯の隠れたキーパーソンと言っていい。
 

FWのファーストチョイスは大迫勇也

勝つためには得点をあげなければならないから、FW陣の働きぶりも勝点奪取には不可欠だ。3バックでも4バックでも、西野監督のファーストチョイスは大迫勇也である。
 

4年前のブラジルW杯で無得点に終わった悔しさを原動力に、大迫はドイツ・ブンデスリーガのクラブで自らを磨いてきた。身体能力の高いディフェンダーとの競り合いでもボールを失わず、攻撃の起点と成り得ることはこれまでのテストマッチで証明してきた。この28歳に求められるのはストライカーの存在価値──得点を決めることである。
 

武藤嘉紀はラッキーボーイになれる!?

武藤と大島
武藤嘉紀(左)と大島僚太(写真:JFA/アフロ)

西野監督は3バックと4バックの併用だけでなく、1トップと2トップの使い分けも視野に入れる。ストライカータイプを2人同時に起用する2トップでは、武藤嘉紀の存在がクローズアップされてくる。
 

フォワードには岡崎慎司もいる。32歳の岡崎は今回が3度目のW杯で、経験と実績では3人のフォワードでナンバー1だ。しかし、ここ最近の実績では大迫が岡崎を上回り、コンディションでは武藤も岡崎の先を行く。現時点では武藤が、フォワードの序列で2番手につける。
 

2トップのひとりでスタメン出場するにせよ、途中交代で起用されるにせよ、武藤はロシアW杯のピッチに立つだろう。そして、W杯を勝ち上がっていくチームには、ラッキーボーイ的な存在がいるものだ。背番号13を背負う25歳が勢いをもたらすことで、日本の可能性は広がっていく。