ブロンドの女性はモテる
マリリン・モンロー、ブリジット・バルドーなど、今なおファッションアイコンとして愛される大女優たちは、美しいブロンド(金髪)がトレードマークです。イヴァンカ・トランプ、ヒラリー・クリントン、ニコール・キッドマン、レディ・ガガ、パリス・ヒルトンなどもブロンドのイメージが強いですが、地毛はブルネット(褐色)であることが知られています。
なぜ、ブルネットの女性たちは、ブロンドに染めるのでしょうか?髪の色に関する調査研究をご紹介しましょう。
1人の女性が、毎日違う色のウィッグ(ブロンド、ブルネット、赤毛)をつけてナイトクラブに通い、その女性に声をかける男性を数えたところ、ブロンドのときは60名、ブルネットのときは42名、赤毛のときは18名でした。
この数字が示すように、ブルネットや赤毛よりも、ブロンドの方がモテるのですが、映画『キューティ・ブロンド』に描かれたように、ブロンドの女性は知的ではないというステレオタイプなイメージもあります。そのため、職業人として有能に見られたいと考えるブロンド女性の中には、髪を濃い色に染める人もいます。たとえば、映画『ピース・メーカー』で、原子力科学者を演じたニコール・キッドマンは、ブルネットに染めています。
映画の登場人物とはいえ、髪の色は私たちが思っている以上に、その人の人生にさまざまな影響を与えていると考えられます。
トレンドヘアカラーは「ミレニアルピンク」
その一方で、カラーリングやウィッグなどで、簡単に髪の色を変えられるようになり、ファッションやメイクと同じように、ヘアカラーのトレンドも注目されるようになってきました。記事「「セレブも夢中になる新トレンドヘアカラーは「ミレニアルピンク」!」によると、海外セレブの間では「ピンク」が流行の兆しなのだとか。
「ミレニアルピンク」という言葉が示すように、モデルのヘイリー・ボールドウィンやエルザ・ホスク、女優のヒラリー・ダフやエマ・ロバーツなど、ミレニアル世代(一般的に1981〜1996年の間に生まれた人を指す)に見られるトレンドです。
2017年にアメリカ合衆国で公開され、高い評価を得た青春映画『レディ・バード』にも、髪をピンク色に染めた主人公が登場します。クリスティン(自称“レディ・バード”)は、カリフォルニア州サクラメント、閉塞感溢れる片田舎のカトリック系高校に通う17歳の少女。大都会ニューヨークへの大学進学を夢見ています。
髪色のピンクは、クリスティンの夢にふさわしい色ではないようにも思えますが、ブロンドやブルネットと違って、ステレオタイプなイメージは希薄です。本作が全米で5週連続TOP10入りを果たしたのは、観客の多くが、主人公クリスティンに共感したからではないかと言われます。ステレオタイプな生き方から逃れたいという思いを抱く人々は、案外多いのかもしれません。
日本のアニメにもピンクの髪のヒロインが増えています。『ONE PIECE(ワンピース)』のしらほし、『美少女戦士セーラームーン』のちびうさ、『魔法少女まどか☆マギカ』の鹿目まどかなど、ピンク髮のヒロインたちは、恵まれた家庭環境で育ち、途方もない強さを秘めた人物として描かれることが多いようです。
ヘアカラーの「ミレニアルピンク」が大きなトレンドになるとは考えにくいですが、ミレニアル世代にとって、ピンクのヘアカラーはそれほど奇抜な色ではなく、むしろ好ましいイメージを抱く人が増えてきているのは間違いないでしょう。
【参考】
Nicolas Guéguen, Color and women hitchhikers' attractiveness: Gentlemen drivers prefer red Color Research & Application 37(1):76-78 · February 2012
https://www.researchgate.net/publication/272572626_Color_and_women_hitchhikers%27_attractiveness_Gentlemen_drivers_prefer_red
【作品情報】
レディ・バード
6月1日(金)より、TOHOシネマズシャンテ他にて全国ロードショー
http://ladybird-movie.jp