6月になり、世間ではサッカーワールドカップに向けて盛り上がりを見せていますが、陸上界も6月に重要な大会があります。
アジアジュニア選手権、各地区高校総体(インターハイ予選)、日本選手権。そして、大学生にとっては、「秋の大舞台」をかけた戦いが始まります。
その「秋の大舞台」とは全日本大学駅伝のこと。11月4日に三重県~愛知県で行われる、第50回全日本大学駅伝競走(全日本大学駅伝)の選考会が6月10日から、全国各地で開催されます。
全日本大学駅伝に出場できるのは全国の地区選考会(北海道・東北・関東・北信越・東海・関西・中国四国・九州)を突破した大学、さらに前回大会優勝の神奈川大学をはじめとするシード6校、関東学連より推薦を受けた早稲田大学が出場することが決まっており、選抜2チーム(日本学連選抜、東海学連選抜)を含む全27チームが参加し、「大学駅伝日本一」を決める駅伝大会として行われます。
注目は「北海道」?地区選考会の概要
各地区選考会の日程、詳細は以下の通りです。※地区選考会の要項が発表されていない地区は、昨年の大会要項を参照
◆北海道地区(8月18日開催)
<概要>
- 選考会から大学対抗の駅伝を行う「駅伝方式」
- 本大会への出場枠は「1」
<ポイント>
有力高校生の多くは関東地区の大学へ進学する傾向がありますが、今年は北海道地区の大学へも多くの有力選手が進学しています。その結果、北海道インカレにおいて、1500mで上位4人(うち1年生が2人)が大会新記録を樹立するなど、地区全体の層が厚くなった印象。
選考会は前回優勝の北海道大学、星槎道都大学、留学生を擁する札幌学院大学などに注目です。
◆東北地区(9月24日開催)
<概要>
- 1チーム8人が出場。15kmと10kmのレースに4人ずつ出走し、合計タイムを競う
- 本大会への出場枠は「1」
<ポイント>
選考会では全国で最も長距離を走る東北地区。5連覇中の東北大学に対し、前回選考会2位の東北学院大学が挑む展開になりそうです。
◆関東地区(6月30日開催)
<概要>
- 10000mのレースを4組実施。各校8人が出走し、合計タイムを競う
- 本大会への出場枠は「8」
<ポイント>
出場枠8は全国最多ですが、最激戦区と言われる関東地区。昨年の選考会は神奈川大学が1位通過、本番でも優勝を果たしており、今年も注目が集まります。
◆北信越地区(7月21日開催)
<概要>
- 10000mのレースを3組実施。各校最大10人が出場でき、上位8人の合計タイムを競う
- 本大会への出場枠は「1」
<ポイント>
日程からして過酷な条件でのレースとなることが予想されます。3連覇を目指す新潟大学に対し、新潟医療福祉大学が北信越インカレで躍進を見せており、接戦が予想されます。
◆東海地区(6月10日開催)
<概要>
- 10000mのレースを4組実施。各校8人が出走でき、合計タイムを競う
- 本大会への出場枠は「2」
<ポイント>
全日本大学駅伝の地元である東海地区。前回本大会において、初出場・皇學館大学が健闘(17位)、多くの陸上ファンを驚かせました。
先日の東海インカレで勢いを見せた愛知工業大学、岐阜経済大学にも注目です。
◆関西地区(6月10日開催)
<概要>
- 10000mのレースを4組実施。各校10人までが出走でき、上位8人の合計タイムを競う
- 本大会への出場枠は「3」
<ポイント>
トラック種目の持ちタイムや関西インカレの結果を見ると、関西学院大学、立命館大学、京都産業大学、関西大学の争いに注目が集まります。上位3校は出雲駅伝(10月開催)の出場権も獲得します。
◆中国四国地区(9月23日開催)
<概要>
- クロカンコース10kmを戦う。各校上位8人の合計タイムで競う
- 本大会への出場枠は「1」
<ポイント>
出場校が最後に決まる中国四国地区。昨年の選考会は広島経済大学が4連覇を達成。当時のメンバーが多く残っており上積みが期待されます。追うのは環太平洋大学。
◆九州地区(6月10日開催)
<概要>
- 10000mのレースを4組実施。各校10人まで出走でき、上位8人の合計タイムを競う
- 本大会への出場枠は「1」
<ポイント>
連覇を狙う第一工業大学はメンバー構成がガラリと変わり、未知数なところがあります。2年ぶりの優勝を狙う日本文理大学は九州インカレで調子をあげていたので、両校の争いは白熱しそうです。
出雲駅伝・箱根駅伝となにが違う?
関東の大学生ランナーにとっては、10月に行われる出雲選抜駅伝競走大会(出雲駅伝)、1月2、3日に行われる東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)とともに学生三大駅伝と呼ばれています。
ではここで、三大駅伝の概要を比較してみましょう。
◆出雲駅伝
- 全国から「選抜された大学」のみが出場できる大会
- 関東地区では予選が行われていません
- 主催は日本学生陸上競技連合
- 全6区間で、1区間あたりの距離は三大駅伝の中で1番短い(5.8~10.2km。総距離45.1km)
- 10月開催
◆全日本大学駅伝
- 前回大会のシード校(上位6位)、各地区選考会を突破した全国の大学が出場可能
- 主催は日本学生陸上競技連合
- 全8区間で、1区間あたりの距離は出雲駅伝より長い(9.5~19.7km、総距離106.8km)
※今回大会から中継所が変更 - 11月開催
◆箱根駅伝
- 過去には関東以外の大学・選手も出場した記録もありますが、予選会も含めて「関東の大学」のみが出場可能な大会。
- 主催は関東学生陸上競技連盟。
- 全10区間で、1区間あたりの距離は三大駅伝で一番長い(20.8~23.1km。総距離217.1km)
- 1月2日、3日開催
どの駅伝もそれぞれ違った特色があります。ただ、年始の「名物行事」として馴染みのある「箱根駅伝」は関東の学校のみが参加できるということもあるので、出雲駅伝や全日本大学駅伝が「大学駅伝の日本一を決める」と称されています。秋に向けた戦いの幕開けに、注目してみてはいかがでしょうか。