アーモンドアイが2冠達成!第79回オークスレポート

5月20日(日)に開催された第79回オークス。牝馬クラシック2冠目で大いに注目を集めましたが、結果は1番人気に支持されたアーモンドアイが直線で突き抜けて勝利。牝馬2冠を達成しました。その様子をレポートします。

馬は2冠、鞍上は連覇達成の名レースをプレイバック

オークス後のアーモンドアイ
レース後に大歓声にこたえるルメール騎手とアーモンドアイ(筆者撮影)

快晴で迎えた5月20日(日)の東京競馬場。牝馬クラシックレース第2戦目となるオークスが開催されました。牝馬クラシックの中でも特に重要視される一戦でしたが、今年は断然の1番人気に支持されたアーモンドアイが直線で豪快に突き抜けて勝利。2着リリーノーブルに2馬身もの差を付けて2冠を達成しました。
 

そして鞍上のクリストフ・ルメール騎手は前年にこのレースをソウルスターリングで制し、オークス2連覇を達成。比較的牝馬との相性がいいルメール騎手の面目躍如といったレースになりました。そんな今年のオークスを改めて振り返ってみましょう。
 

追われる立場になった桜の女王に囁かれた一抹の不安

パドックでのアーモンドアイ
序盤の周回では落ち着いていたものの、次第に落ち着きがなくなり厩務員が必至で抑え込む(筆者撮影)

今年のオークスの主役となったのは桜花賞で無敗の2歳女王、ラッキーライラックを並ぶ間もなく差し切ったアーモンドアイでした。世代最強と目されていた馬をいとも簡単に破ったことで、アーモンドアイはそれまでの追う立場から、追われる立場へと変化を遂げていました。
 

単勝オッズ1.7倍という断然人気に支持されたように、多くの競馬ファンはアーモンドアイの二冠達成を支持していましたが、一方で死角もいくつかありました。それは血統による距離適性の短さです。
 

アーモンドアイの父は、短距離王として名を馳せたロードカナロア。現役時代はスプリントのG1レースで5勝を挙げた一方、勝ったレースの最長距離はというと安田記念の1600m。オークスが開催される2400mはおろか、1800m戦にすら出走したことがありませんでした。
 

そんな父の血統を受け継いだ馬たちは、軒並み短距離志向の強い馬ばかり。勝ち星の大半は父と同じ短距離戦に集中し、オークス1週間前にあたる5月13日の時点では2000mを超えると[1・2・3・22]という状態でした。
 

実際にアーモンドアイもマイルまですさまじい切れ味を見せていた一方、短距離馬に多い胴体が詰まった馬体で、とてもではないですが長距離戦をこなせそうな体つきには見えませんでした。しかも、この日のパドックでは時間の経過とともにテンションが上がってしまい、返し馬ではカリカリとした走りで、誰が見てもイラついているのがわかるという最悪の事態に。もともと桜花賞までの4戦すべてで出遅れていただけに、ここでも出遅れるのではないかと不安視されてレースを迎えることになりました。
 

圧倒的な末脚で“マイルまでの馬”というイメージを払拭

ルメール騎手を背にするアーモンドアイ
ルメール騎手がまたがり、少し落ち着いた様子を見せたアーモンドアイ(筆者撮影)

しかし、アーモンドアイに対するそうした不安は、杞憂に終わりました。懸念されたスタートはいつになく好発を決めて、逆にルメール騎手が抑えるほどでした。桜花賞よりも早めに動いていたラッキーライラックのすぐ後ろに付ける形でレースを進め、虎視眈々と抜け出すタイミングを狙っていました。
 

逃げたサヤカチャンが飛ばしたことで、1000mの通過ラップは59秒6というハイペース。スタミナが問われる流れになりましたが、アーモンドアイは余裕の状態で、直線に入ると先に仕掛けたラッキーライラック、リリーノーブルをあっさりと交わして100m前ではもう先頭に。あとはただ引き離すだけで、2馬身差を付ける快勝。勝ち時計の2分23秒8はオークス史上2番目という好タイム。破格の強さを見せて牝馬2冠を達成し、マイルまでの馬というイメージを払拭しました。
 

名実ともに牝馬の頂点に立ったアーモンドアイ。そのかわいらしい瞳の奥には秋に行われる最後の1冠、秋華賞がもう見えていることでしょう。ひと夏を越えてどんな成長を見せるか……これからの名牝の活躍に目が離せません。

◆2018年オークス全着順

着順 枠番 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 タイム/着差 人気 調教師
1 7 13 アーモンドアイ 牝3 55 C.ルメール 2:23.8 1 国枝栄
2 1 1 リリーノーブル 牝3 55 川田将雅 2 4 藤岡健一
3 1 2 ラッキーライラック 牝3 55 石橋脩 1 3/4 2 松永幹夫
4 5 10 レッドサクヤ 牝3 55 福永祐一 1 3/4 11 藤原英昭
5 2 3 マウレア 牝3 55 武豊 1/2 6 手塚貴久
6 4 8 サトノワルキューレ 牝3 55 M.デムーロ 1 3/4 3 角居勝彦
7 6 11 パイオニアバイオ 牝3 55 北村宏司 クビ 9 牧光二
8 7 15 ウスベニノキミ 牝3 55 三浦皇成 1/2 12 鈴木孝志
9 3 6 オールフォーラヴ 牝3 55 和田竜二 1 5 中内田充正
10 8 17 ロサグラウカ 牝3 55 戸崎圭太 1/2 8 尾関知人
11 7 14 マルガイランドネ 牝3 55 内田博幸 1 1/2 10 角居勝彦
12 5 9 シスターフラッグ 牝3 55 岩田康誠 1 1/2 16 西村真幸
13 3 5 カンタービレ 牝3 55 田辺裕信 クビ 7 角居勝彦
14 4 7 トーホウアルテミス 牝3 55 松若風馬 1 1/2 13 谷潔
15 8 16 ウインラナキラ 牝3 55 大野拓弥 1 1/4 17 宮徹
16 6 12 サヤカチャン 牝3 55 松岡正海 1 1/2 14 田所秀孝
17 8 18 オハナ 牝3 55 藤岡康太 1 1/2 15 堀宣行
取消 2 4 トーセンブレス 牝3 55 柴田善臣 - - 加藤征弘
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

注目の連載

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    静岡の名所をぐるり。東海道新幹線と在来線で巡る、「富士山」絶景ビュースポットの旅

  • ヒナタカの雑食系映画論

    祝・岡田将生&高畑充希結婚! ドラマ『1122 いいふうふ』5つの魅力から「この2人なら大丈夫」と思えた理由

  • アラサーが考える恋愛とお金

    「友人はマイホーム。私は家賃8万円の狭い1K」仕事でも“板挟み”、友達の幸せを喜べないアラサーの闇

  • AIに負けない子の育て方

    「お得校」の中身に変化! 入り口偏差値と大学合格実績を比べるのはもう古い【最新中学受験事情】