大塚ってどんな街?
JR山手線の大塚駅というとどんなイメージをお持ちですか。メガターミナルの池袋と、おばあちゃんの原宿・巣鴨駅に挟まれ影が薄く、観光スポットやランドマークも見当たらない大塚。JR東日本発表の乗車人員ランキングでも、山手線全29駅中24位と下から数えたほうが早く、「山手線最後のフロンティア」と言われているとかいないとか。人生の大半東京に住み、東京案内人を生業にしている私でも、どんな街かイマイチ説明が難しいエリアです。
しかし2018年5月9日、大塚駅北口にこれまでなかったタイプの新施設が複数同時に誕生。この街を初体験する訪問者たちに優しい、古き良き街・大塚とゲストをつなぐ新スポットが一挙にオープンしました。
『星野リゾート OMO5』など新スポットが開業
まずは『星野リゾート OMO5 東京大塚』が開業。星のや、リゾナーレ、界など、人気の宿泊施設を運営する星野リゾートの4つ目のブランドOMOが、都内で唯一、大塚に誕生しました。OMOは都市にありながらビジネスホテルでなく、ホテルから徒歩圏内のエリアを大いに楽しむ仕掛け満載の「都市観光ホテル」。ゲストのリクエストに応えて2時間1000円でディープな大塚へ案内してくれる「ご近所専隊 OMOレンジャー」が常駐していて、ご近所のおじちゃんおばちゃんがどんどん会話に入ってくる居酒屋や、フレンチカンカンのショーを間近で見せてくれるお店、とんかつ屋なのに生姜焼きが驚くほど美味しい店、アメリカのクラフトビールが豊富に揃うショップなどなど、味わいのある大塚スポットへ連れて行ってくれます。
OMO5のすぐ裏には『東京大塚 のれん街』がオープン。都内唯一の路面電車・都電荒川線がすぐ横を通る場所の空き家を、“風情ある古民家なのにもったいない!”と再生させ、餃子酒場からスナック、寿司屋まで、個性的な店9軒が集まる賑やかな食スポットに生まれ変わらせました。
さらにOMO5の入るビルの1階には、大きな窓の外に都電荒川線や大塚の街並みが広がるオールデイダイニング『eightdays cafe』が。天井が高く、インテリアもスタイリッシュなのですが、路面電車のレトロな発車音がなんともいえない安らぎをもたらし、ずっといたくなるような居心地の良いカフェです。まだ開業前なのに近所のマダムたちが「このカフェには私たちすっごく注目しているのよ」「ちょっとだけ入れないかしら」とスタッフにお茶目に交渉しているのも、大塚らしい風景でした。
大塚に住む人・来る人が心地よい…「ba」プロジェクトもスタート
星野リゾートを招致し、古き良き大塚の魅力をおしゃれにパッケージした新施設の開業を実現させた立役者が、大塚駅北口に本社を構える山口不動産の代表取締役CEO武藤浩司さん39歳です。大塚一帯の地主であった曽祖父をもち、小学校5年生から大学卒業まで大塚で育った武藤さん。若い頃は「家どこ?」と聞かれると「……池袋あたり」などと地元をぼかす発言もしていたそうですが、歳を重ねるにつれ大塚という街を活性化させたいという想いが強まっていったそう。そこで大塚に住む人、来る人が心地よいba(場)を作りたいと「ba」という名のプロジェクトをスタート。「泊まるba」=OMO5、「集うba」=東京大塚のれん街などが誕生したというわけです。
すでに「住まうba」として高級賃貸マンションも大塚駅近くに誕生予定。プロジェクトもまだまだ続くということで、変化の途中にある大塚エリアから目が離せません。