JISの安全色が改正!「ユニバーサルデザインカラー」って何?

4月20日、JIS安全色(JIS Z 9103)が改正されました。日本全体で320万人とも、500万人ともいわれる色弱者に配慮した、カラーユニバーサルデザインの考え方をご紹介します。

JIS安全色(JIS Z 9103)とは?

進入禁止は赤、一方通行は青、非常口のサインは緑……というように、私たちの日常生活は、色や標識によって守られています。このような色や標識は、遠くからでも容易に「禁止」「安全」などの指示内容が一目で認識できるように、JIS Z 9103(図記号-安全色及び安全標識-安全色の色度座標の範囲及び測定方法)が規定されています。
 

色彩の意味は次のとおり。

  • 赤:防火、停止、禁止、高度の危険
  • 黄赤:危険、航空・船舶の保安施設
  • 黄:注意
  • 緑:安全、衛生、進行
  • 青:用心
  • 赤紫:放射能
  • 白:通路、整頓
  • 黒:標識、警標などの文字、記号、矢印の色に用いるほか、黄赤、黄などを引立たせる補助色としても用いられる

 

人によって見える色が違う?

JIS安全色は、一般色覚者にとっては識別しやすいのですが、色弱者にとっては、識別が難しい配色があることがわかってきました。一般色覚者は、目の網膜に可視光線をとらえる細胞が3種類あります。その細胞の種類が少ない人、細胞が機能不全を起こしている人は、識別できる色が少ないため、色弱者と呼ばれます。
 

色覚障害は遺伝するため、先天的な色弱者は、日本人男性の約20人に1人、女性の約500人に1人、日本全体では320万人以上いるとされます。さらに、病気や事故など、後天的に色覚に変化をきたしたケースも加えると約500万人いるといわれています。
 

また、先天的な色弱者は、人種によって出現割合が異なり、アフリカ系の男性は2〜4%程度、欧米系の男性は8〜10%程度といわれます。
 

カラーユニバーサルデザインとは?

色弱者は大きく4つのタイプに分類されます。ある色覚型の人にとって見分けやすい色の組み合わせが、他の色覚型の人にとっては見分けにくいことがあるなど、色の感じ方は色覚型によって異なります。
 

このような中で、さまざまな色覚を持つ人々の安全を確保し、利便性の向上をはかるために取り入れられているのが、「ユニバーサルデザインカラー」です。これは、色の組み合わせに対する認識性調査によって選定され、「誰もが識別できる色」とされています。
 

4月20日に発表されたJIS安全色の改正では、このユニバーサルデザインカラーが取り入れられています。先に述べたように人種によって色覚障害の出現率が異なるのですが、2020年の東京五輪などが控えており、今後も訪日外国人が増えることが見込まれていることなどを踏まえ、改正されました。

2018年4月20日に改正されたJIS安全色
2018年4月20日に改正されたJIS安全色(出典:経済産業省

改正は図のとおりで、ポイントは次のとおり。

  • 赤:黒と誤認しやすかったため、色相を黄み寄りに、明度を上げた
  • 黄赤:赤が黄赤側に寄ったため、色相を黄みに寄せて、明度を上げた
  • 黄:色相を黄緑に寄せて、明度を上げた
  • 緑:灰色と誤認したり、青を見分けにくかったりしたため、色相を黄みに寄せて、明度を上げた
  • 青:黒や赤紫との見分けが難しかったため、明度を上げた
  • 赤紫:緑や灰色との見分けが難しかったため、色相を青みに寄せ、彩度を下げた

 

資料づくりにも役立つユニバーサルデザインカラー

ユニバーサルデザインカラーは、グラフやプレゼン資料を作成する際にも役立ちます。たとえば、協調したい箇所を赤にするときは、オレンジみの明るい赤にすると、色弱者にもわかりやすい資料になります。青を使うときも、明るめの青にした方が、黒との見分けがしやすくなります。緑は黄緑に寄せると、色弱者にも色みが感じられるようになります。色みや明るさをほんの少し調整するだけで、より多くの人にとってわかりやすい資料になるでしょう。ぜひ工夫してみてください。
 

【参考】

日本工業規格(JIS)を制定・改正しました(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180420006/20180420006.html
JIS安全色 ( JIS Z 9103 ) 改正内容の紹介
URL:http://safetycolor.jp/shokai/

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