レインボーラインが悲願達成!第157回天皇賞(春)レポート

4月29日(日)に行われた第157回天皇賞(春)。G1勝ち馬が主ヴァグランしかいないという空前絶後の大混戦という下馬評でしたが、結果は2番人気のレインボーラインが内を突いて抜け出し、悲願のG1初制覇を成し遂げました。その様子を改めて紹介します。

10度目の挑戦で悲願のG1制覇

ゴールデンウィークを迎えた日本列島。競馬界にとって最初のイベントごととなったのは、4月29日(日)に行われた第157回天皇賞(春)でした。
 

昨年のこのレースの勝ち馬、キタサンブラックをはじめ、毎年、このレースには数多くのスターホースが集まりますが、今年は17頭のエントリーがあったものの、G1ホースはシュヴァルグランのみという少々寂しいメンバー構成に。しかし、主役不在で難解なレースになったこともあってか、ファンは新たなスターホース誕生を期待していました。
 

そんな中でこのレースを制したのは2番人気に支持されていたレインボーライン。菊花賞2着をはじめ、G1では複数回善戦していた実力馬ですが、なかなかそのタイトルには届かずにいました。今回が10回目の挑戦となりましたが、内を突いて見事に抜け出し、念願のG1タイトルを手にしました。ゴール後に歩様が乱れ、騎手が下馬するというアクシデントもありましたが、いかにこのレースが激戦だったかを物語ります。
 

見どころたっぷりだった今年の天皇賞(春)、その様子をレポートしていきます。
 

昨年とまるで違う流れの中、各馬の反応は……?

今年の天皇賞(春)を語る上で欠かせないのが、道中のペースでした。というのも、キタサンブラックが勝利した昨年は3分12秒5というレコードタイムが記録されましたが、今年は先行馬にキタサンブラックほどの実力馬がいないため、流れが落ち着くのでは?と考えられていました。
 

昨年同様に先陣を切ったのは伏兵・ヤマカツライデンでした。昨年はキタサンブラックを意識しすぎるがあまりに飛ばし過ぎていましたが、今年はペースを落とした逃げを見せてかなりゆったりとした流れに。この流れに反応するかのように日経賞を制して勢いに乗るガンコ、昨年の2着馬にして今年の1番人気馬、シュヴァルグランが好位に付けていました。
 

昨年と比べるとあまりに緩やかな流れになったこともあり、どこでどの馬が動くかがポイントとなりましたが、レースが動いたのは2周目の向こう正面。サトノクロニクルがスローペースに耐えかねて動き出すと、後方にいた他の馬たちも一斉に動き出してレースの流れが次第に速くなっていきました。しかし、3200mという長丁場のレース。ここで動いた馬たちは逃げ馬たちを潰しに行くのが精いっぱいで、自身が勝利を掴むことはありませんでした。
 

脚の故障と引き換えに掴んだG1タイトル

レースが動いた中でも冷静だったのが、シュヴァルグラン。今年から追われる立場となったこの馬は、4コーナーを回ってすぐに先頭に立ち、後続の追撃を迎え撃つという横綱競馬を見せます。このシュヴァルグランを目掛けてクリンチャーらが迫ってきましたが、スタミナ面で勝るシュヴァルグランが先頭のまま。このまま2個目のG1タイトルを手中に収めるかと思われた時にやってきたのが、他の馬たちよりもワンテンポ仕掛けをずらしていたレインボーラインでした。
 

2周目の向こう正面で皆が動いたときにも動かず、4角での位置取りは17頭中11番手。先行馬が有利な流れの中でこの位置取りは致命的にも映りましたが、岩田康誠騎手は焦ることなくスパートをかけると、残り300m地点で進路をインコースへとシフト。これが功を奏してグイグイと伸びたレインボーラインは、最後の最後でシュヴァルグランをクビ差捕えてゴールを迎えました。10度目のG1挑戦にしてようやく悲願のタイトルを勝ち得た瞬間でした。
 

しかし、この勝利と引き換えにレインボーラインは右前肢に故障。ゴール直前に身体がガクンと下がるような形になり、歩様がおかしくなってしまいました。騎手もこの状態に気付き、ゴール後すぐに下馬。表彰式に勝ち馬が現れないという異例の事態になってしまいました。
 

レースから2時間後、レインボーラインは右前肢にハ行という故障を発症したことが発表されました。休養は余儀なくされましたが、比較的軽度の故障のため、完治すればまたターフをにぎわせることになるでしょう。G1ホースとなったレインボーラインの雄姿を心待ちにしておきましょう。

  

◆2018年天皇賞(春)全着順

着順  枠番  馬番  馬名 性齢  斤量  騎手 タイム/着差  人気  調教師
1 6 12 レインボーライン  牡5 58 岩田康誠 3:16.2 2 浅見秀一
2 6 11 シュヴァルグラン 牡6 58 H.ボウマン クビ 1 友道康夫
3 4 8 クリンチャー 牡4 58 三浦皇成 1/2 4 宮本博
4 1 1 ミッキーロケット 牡5 58 和田竜二 クビ 9 音無秀孝
5 1 2 チェスナットコート 牡4 58 蛯名正義 3/4 7 矢作芳人
6 8 15 トーセンバジル 牡6 58 M.デムーロ  1 1/2 8 藤原英昭
7 8 16 スマートレイアー 牝8 56 四位洋文 1/2 12 大久保龍志 
8 7 14 アルバート 牡7 58 C.ルメール ハナ 6 堀宣行
9 2 3 シホウ 牡7 58 浜中俊 2 1/2 14 笹田和秀
10 3 5 ヤマカツライデン 牡6 58 松山弘平 1/2 11 池添兼雄
11 7 13 トウシンモンステラ 牡8 58 国分恭介 クビ 17 村山明
12 5 10 サトノクロニクル 牡4 58 川田将雅 3/4 5 池江泰寿
13 5 9 ソールインパクト 牡6 58 福永祐一 3 13 戸田博文
14 3 6 ガンコ 牡5 58 藤岡佑介 1/2 3 松元茂樹
15 4 7 ピンポン 牡8 58 宮崎北斗 1/2 16 粕谷昌央
16 2 4 カレンミロティック  セ10  58 池添謙一 1 1/2 10 平田修
17 8 17 トミケンスラーヴァ 牡8 58 秋山真一郎 大差 15 竹内正洋

Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

注目の連載

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    東海道新幹線の「個室」が100系以来、四半世紀ぶりに復活! 「どこに設けられる?」JR東海に聞いた

  • 「婚活」の落とし穴

    「男らしさ」がしんどい若者たち。「女性より稼いで当然」「デートもリードすべき」と言われても

  • ここがヘンだよ、ニッポン企業

    危機管理のプロが警告! 中学受験で“御三家”を目指す親子が知っておくべき「学歴エリートの落とし穴」

  • 世界を知れば日本が見える

    深刻な少子化に苦しむ「中国」と対照的に、今こそ「一人っ子政策を導入すべき」といわれる2つの国とは