富士フイルムが黒白フイルム生産終了、もう黒白フィルムは入手困難?

富士フイルムが黒白フィルムの生産を終了したことを発表。モノクロフフィルムとも呼ばれ根強い愛好家もいる。黒白フィルムがいまでも少なからず支持されている理由と今後の入手方法などを探ってみた。

富士フイルム
富士フイルム製の黒白フィルム。2018年で生産終了が発表された。

富士フイルムが黒白フィルムの生産を終了したことを発表した。国内での販売は2018年10月の出荷分までになる。デジタルカメラが普及した現在、黒白フィルム(モノクロフィルム)を使う人がいるのかと思われるかもしれないが、今でもあえて黒白フィルムを愛好する写真家は案外存在する。
 

いまでも黒白フィルムが支持されている理由

なぜ便利なデジタルカメラがあるのに黒白フィルムを使うのかと言えば、フィルムの現像が自分で行いやすいなど様々な理由があると思うが、大きな要因のひとつには「写真プリントの仕上がりがデジタルカメラで撮ったものとは異なること」がある。
 

デジタル写真の画像は、四角いドットによって構成されている。デジタルカメラが出始めの頃は、撮影画像数もあまり高くなく、少し画像を拡大すると四角いドットが見てとれた。現在は、高画素数で撮影できるので極端に拡大しない限り、画像の輪郭にドットの形が現れることも少なくなった。
 

デジタル写真と違って、フィルム写真は丸い粒子によって構成されている。ネガフィルムを顕微鏡などで拡大すると丸い粒子が集まって像を構成しているのがよく見える。
 

画像を構成する四角いドットと丸い粒子の違いが、それぞれプリントにしたときに見た目の違いを生む。ただ、その違いとは、「フィルムからプリントにした写真は柔らかみが感じられる」などという主観によるものが大きく、誰もがはっきりわかる違いになって現れているものではない。しかし、プリントの質感や画質にこだわる写真家にとってはこの違いは表現の差としてとらえていて、いまでもフィルムを選択する愛好家は根強く存在している。
 

今後の黒白フィルムの入手方法

富士フイルムが黒白フィルムの生産を中止したことは、国内のユーザーからすれば痛手だが、富士フイルム以外にも黒白フィルムを生産しているメーカーは少なくない。
 

国内では、「オリエンタル」というブランドの黒白フィルムがある。また「オリエンタル」を生産しているサイバーグラフィックス社は、イギリスの「イルフォード」「ケントメア」というブランドの黒白フィルムの輸入販売も行っている。
 

その他にも、「コダック」が複数種類の黒白フィルムを生産しているし、「ローライ」のフィルムも入手ができる。
 

このように国内外メーカーの黒白フィルムがまだ生産されているので、富士が生産を中止したということで直ちにフイルムの入手がまったくなくなるということにはしばらくはならないようだ。しかし、黒白フイルムのユーザーの大幅な減少はどこの国においても同じこと。どのメーカーもいつ生産中止を発表してもおかしくはない状況なのは変わりはない。
 

絶滅危惧種とも言える黒白フィルムだが、使い続けるユーザーがいる限りは、どこかのメーカーが作り続けてくれることを望みたい。

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