サッカー日本代表の西野朗新監督が、4月12日に記者会見に臨んだ。突然の就任となった新指揮官は、どのようなサッカーを目ざすのか。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督のサッカーから、大幅な方向転換をはかるのか。西野新監督のチーム作りの構想に迫る。
 

「日本化したフットボール」を取り戻す

およそ1時間の記者会見で、西野朗新監督はヴァイッド・ハリルホジッチ前監督のサッカーを否定しなかった。タテに速いサッカーも1対1の攻防で戦うデュエルも、「日本サッカーには必要なもの」と位置づけた。
 

そのうえで、「日本化した日本のフットボールはある」とも話した。新監督が目ざすサッカーの核心はこちらで、「技術を生かしたり、規律や組織、結束して戦える強さ、(選手同士が)化学反応をおこして戦える強さ」を、日本のフットボールとして説明した。「グループでのパフォーマンスが日本の良さ」とも語っている。
 

そうした発言から見えてくるのは、「日本人らしさの追求」だろう。前監督のタテに速いサッカーは中長距離のパスを多用したが、それではグループでの良さは引き出せない。ショートパスを使った連動性のある攻撃が、ベースになっていくに違いない。
 

西野朗
新監督には、JFAの技術委員長を務めてきた西野朗氏が就任することに(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

もっとも、4年前のブラジルW杯と同じサッカーに回帰するわけではないだろう。自分たちの良さを発揮すれば勝てるほど、ワールドカップは優しい大会ではない。
 

グループリーグで対戦するコロンビア、セネガル、ポーランドは、ひとりで局面を打開できる傑出した個人を擁する。相手の長所を封じるのは大前提で、そのなかでどのように勝点をつかむのかに集中するべきだ。他でもない西野監督も、「攻撃的な志向を求めていきたいが、それだけではない。ディフェンシブになる時間帯もあるなかで、つねに勝機を求めていく」と話している。
 

メンバーのベースは変わらないが……

メンバー選考については「ベースはこれまでと変わらないと思う。いままで試合に出てきた大きなグループのメンバーをベースに考えたい」と話した。3月の欧州遠征にケガなどで招集されなかった岡崎慎司、香川真司、清武弘嗣、浅野拓磨、井手口陽介といった選手たちも、所属クラブで試合に絡んでくれば選考の対象になることをうかがわせた。
 

ハリルホジッチ前監督からはほとんど聞かれなかった規律、組織、グループといったワードを西野監督が持ち出したことから、ベテランの招集があるかもしれない。日本がグループリーグを突破した02年と10年のチームには、W杯に出場したことがあり、チームの一体感を生み出せる経験者がいたからだ。
 

とりわけ、今回と同じように直前のテストマッチでふるわなかった10年は、ケガでJリーグに出場していなかった川口能活がサプライズで招集された。W杯直前にスタメン落ちした楢﨑正剛や中村俊輔らも含めたベテランたちが、チームを後方支援した。
 

現在のJリーグからベテランを探せば、中村憲剛は理想的な選手である。所属する川崎フロンターレで国内トップクラスのレベルを維持しており、現チームで中核を担う川島永嗣、長友佑都、長谷部誠らとともに10年のW杯に出場した。香川、本田、岡崎らとも旧知の間柄で、かつての川口のような役割を果たすことができる。
 

中盤の複数ポジションを高いレベルでこなせるユーティリティ性も、この37歳の魅力である。ちなみに、昨年8月に発表されたW杯予選の予備登録メンバー100人には、中村の名前がある。
 

日本代表が日本らしさを表現するために、チームへの忠誠心と自己犠牲の精神を持つベテランの存在は欠かせない。そして、日本人の西野監督なら、過去のW杯の成功例と失敗例を参考にすることができるはずだ。