闘牛士はなぜ赤い布を振り回すのか?

闘牛士が赤い布を振り回すのは、赤い色を見た雄牛が興奮するから……よく知られた俗説ですが、牛は赤という色を知りません。牛は青と緑は感知しますが、ほかの色はすべて濃淡の差こそあれ灰色に見えています。牛の気を引くために使用する布は赤い色である必要はないのです。
 

赤い色の布を使うという慣例が今も続いているのは、いくつか理由があると考えられます。まず、赤い色の布は、命を奪われる哀れな雄牛の血の色を目立たなくします。次に、赤い色は観客の注意を引きつけ、心拍数や呼吸数を上げます。興奮色と呼ばれる赤は、闘牛という競技を盛り上げるシンボルカラーのようなものと言えるでしょう。
 

動物が見ている色の世界

猫やウサギ、ネズミは牛と同じように青と緑を、犬は青と黄色を感知し、ほかの色はすべて灰色の見えています。
 

なぜこのような違いが生じるのでしょうか?

ヒトと他の動物の色覚比較(Klaus Shmitt)
ヒトと他の動物の色覚比較(Klaus Shmitt)

多くの人は目の中に「赤・緑・青」の3色に反応する色センサーを持っていますが、牛や猫は「青・緑」、犬は「青・黄」の2色に反応する色センサーで世界を認識していると言われています。そのため、牛や猫は赤と黄、犬は赤と緑を識別していないと考えられます。

赤外線を利用した風景写真(Przemyslaw Kruk)
赤外線を利用した風景写真(Przemyslaw Kruk)


また、人には見えない光線が見える動物もいます。太陽光に含まれるさまざまな波長の光線のうち、人の目が感知するのは「可視光線」ですが、コウモリは赤外線を、昆虫や鳥は紫外線を見ることができると言われています。さらに多くの鳥は4種の色センサーを持っているため、人よりもはるかに多くの色を見ているのかもしれません。
 

人の色覚多様性

このように、地球上の動物は、人と同じ色の世界を見ているわけではありません。しかし、「人」であっても、色の見え方には個人差があります。多くの人は3種のセンサーで色を識別していると考えられていますが、それぞれのセンサーの働き方は多様です。近年の研究では、人の色覚のタイプは5種類存在するとも言われています。
 

さまざまな色の世界を体験できる展覧会

東京工芸大学・厚木キャンパス内に設置された、色の国際科学芸術研究センター「カラボギャラリー」では、子どもから大人までが「色」の科学的芸術的な面白さや奥深さを体験できる展示を行っています。
 

第2回企画展『色覚を考える展」Thinking about Color Vision』では、人やその他の動物たちがどのような「色の世界」を生きているのかを考えます。 本展では、動物の色覚を体験できるVR作品や、赤外線・紫外線を利用したアート作品、そして人の色覚の多様性とその仕組みについて理解を深めるための作品を展示します。
 

さまざまな色の世界を体験するまたとない機会です。この世界の豊かさに気づかせてくれるのではないでしょうか。
 

【展覧会情報】
■展覧会名:第2回企画展「色覚を考える展」Thinking about Color Vision
■期間:2018年4月7日(土)〜8月31日(金)
■会場:東京工芸大学 厚木キャンパス 12号館2階 カラボギャラリー
■開館時間:火曜日~土曜日 10:00~17:00
■休館日:月曜日、日曜日、祝日
※大学のイベント等により、不定期に開館・閉館する場合があります。詳しくは公式ホームページをご覧ください。
■URL::https://www.color.t-kougei.ac.jp/gallery/