スワーヴリチャードがが強い4歳世代の中心に!
4月1日、阪神競馬場で第62回大阪杯が開催されました。昨年からG1に昇格し、初代王者のキタサンブラックは後にG1で3勝を積み重ねただけに、このレースを制すればその年の芝の中距離路線を牽引すると目されます。今年は1番人気に支持されたスワーヴリチャードが制し、悲願のG1初制覇を達成。さらに2着にはペルシアンナイト、3着はアルアインがそれぞれ入って上位3頭を4歳馬が占めるという、まさに世代交代を感じさせる一戦でした。
新たな息吹を感じさせた2018年の大阪杯、その激戦を振り返ってみましょう。
キタサンブラックに勝った2頭に、最強4歳世代が挑む!
昨年の有馬記念を最後にキタサンブラックが現役を去ったことで、今年の古馬中距離路線は絶対王者が空位になっている状態でした。暫定トップと目されていたのはシュヴァルグランとサトノダイヤモンド。ともにキタサンブラックを破ったことのある歴戦の古馬たちでしたが、今年の大阪杯で主役候補として目されたのは「4歳馬」でした。
というのも、今年の4歳世代は競馬ファンの間では最強世代と称され、年明けから行われた芝1800m以上の重賞レースで4歳馬は12戦7勝(3月25日時点)という好成績をマーク。これは過去3世代で最多となるものでした。
中でも注目を集めたのはスワーヴリチャード。皐月賞を制したアルアインやマイルCSで古馬を粉砕したペルシアンナイトらを差し置いてG1未勝利のこの馬が1番人気に推される辺り、ファンの期待値が高かったことが窺えます。
スローペースを見切った、ミルコ・デムーロの大勝負!
そんなスワーヴリチャードは大阪杯を迎えるまでの成績は9戦4勝、前走の金鯱賞ではサトノダイヤモンドを破った実力馬ですが、その好走のほとんどが左回りコースでのもの。右回りのコースではコーナーワークがぎこちなくなることでも知られ、実際に右回りコースで行われた皐月賞は6着、有馬記念は4着に敗れています。大阪杯が行われる阪神競馬場は苦手の右回りコースなので、どう克服するかがカギとなっていました。
迎えたレース、出走各馬が好スタートを決める中でスワーヴリチャードは出遅れ、1コーナーを回る時点では何と最後方から2番手の位置に。大阪杯が行われる阪神の内回りコースは先行馬が有利とされているだけにこれは大きなビハインドとなってしまいました。
伏兵のヤマカツライデンが逃げ、その後ろをダンビュライトらが付けるという様子で馬群が固まり、前半の1000mの通過タイムは1分1秒1とG1レースらしからぬスローペースに。こうなると後方にいた馬はますます不利になりますが……その時に馬群から上がってきたのが、後方2番手にいたスワーヴリチャードでした。
スローな流れを読んだ鞍上のミルコ・デムーロは1000mを通過した辺りから手綱をしごき、スワーヴリチャードを徐々に前に行かせ、「マクリ」と呼ばれる戦法を取りました。すると3コーナーの時点でスワーヴリチャードは先頭のヤマカツライデンに並び、最後の直線に入りました。
キャリアを通じて初めて4コーナーで先頭に立ったスワーヴリチャードですが、脚色は衰えるどころかむしろ勢いを増すばかり。シュヴァルグランやサトノダイヤモンドが伸びあぐねるのを尻目に突き抜けていきました。結局、スワーヴリチャードは2着に入ったペルシアンナイトに3/4馬身差をつけて1着。念願のG1制覇を果たしました。3着にもアルアインが入ったことでなんと1~3着を4歳馬が独占しました。
一方、4歳勢に立ちはだかるはずだったサトノダイヤモンドは7着、シュヴァルグランは13着とそれぞれ見せ場のない大敗を喫してしまいました。今年の大阪杯はスワーヴリチャードの強さとともに、明け4歳世代の実力を証明した一戦だったと言えるでしょう。
◆2018年大阪杯全着順
着順 | 枠番 | 馬番 | 馬名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム/着差 | 人気 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | 15 | スワーヴリチャード | 牡4 | 57 | M.デムーロ | 1:58.2 | 1 | 庄野靖志 |
2 | 3 | 5 | ペルシアンナイト | 牡4 | 57 | 福永祐一 | 3/4 | 6 | 池江泰寿 |
3 | 4 | 8 | アルアイン | 牡4 | 57 | 川田将雅 | 1/2 | 2 | 池江泰寿 |
4 | 2 | 3 | ヤマカツエース | 牡6 | 57 | 池添謙一 | 1 1/2 | 10 | 池添兼雄 |
5 | 1 | 1 | ミッキースワロー | 牡4 | 57 | 横山典弘 | クビ | 5 | 菊沢隆徳 |
6 | 7 | 14 | ダンビュライト | 牡4 | 57 | 浜中俊 | 3/4 | 8 | 音無秀孝 |
7 | 1 | 2 | サトノダイヤモンド | 牡5 | 57 | 戸崎圭太 | 2 1/2 | 3 | 池江泰寿 |
8 | 5 | 9 | トリオンフ | セ4 | 57 | 田辺裕信 | クビ | 7 | 須貝尚介 |
9 | 3 | 6 | スマートレイアー | 牝8 | 55 | 四位洋文 | クビ | 11 | 大久保龍志 |
10 | 8 | 16 | メートルダール | 牡5 | 57 | 松山弘平 | ハナ | 14 | 戸田博文 |
11 | 6 | 12 | ヤマカツライデン | 牡6 | 57 | 酒井学 | 1 1/4 | 15 | 池添兼雄 |
12 | 6 | 11 | ウインブライト | 牡4 | 57 | 松岡正海 | 1 1/4 | 9 | 畠山吉宏 |
13 | 2 | 4 | シュヴァルグラン | 牡6 | 57 | 三浦皇成 | ハナ | 4 | 友道康夫 |
14 | 7 | 13 | マサハヤドリーム | 牡6 | 57 | 北村友一 | 2 | 16 | 今野貞一 |
15 | 5 | 10 | サトノノブレス | 牡8 | 57 | 幸英明 | 1/2 | 13 | 池江泰寿 |
16 | 4 | 7 | ゴールドアクター | 牡7 | 57 | 吉田隼人 | 大差 | 12 | 中川公成 |