なぜヤマハMTシリーズの「カラーデザイン」は評価されたの?

第20回「オートカラーアウォード2017」でグランプリを受賞したヤマハのバイク「MT-10/MT-09/MT-07」。鮮やかなアシッドイエローでタイヤに視線を引きつける、クールでインパクトの強いデザインは、ファッション性だけでなく機能性に高く評価されました。

自動二輪車(オートバイ)が初のグランプリを受賞

第20回「オートカラーアウォード2017」のグランプリを受賞したヤマハ「MT-10/MT-09/MT-07」
第20回「オートカラーアウォード2017」のグランプリを受賞したヤマハ「MT-10/MT-09/MT-07」

1998年にはじまった「オートカラーアウォード」は、2017年で第20回を迎えました。第20回「オートカラーアウォード2017」のグランプリはヤマハ発動機の自動二輪車(オートバイ)「MT-10/MT-09/MT-07」。自動二輪車がグランプリを受賞したのは今回が初めてです。
 

本制度は自動車のカラーデザインとして始まりました。しかし、自動車をとりまく環境は激変しています。そのため、2014年には自動車の将来的な未来を見据え、賞の対象を「車両」と広くとらえなおし、自動二輪車もノミネートに加わるようになりました。
 

「MTシリーズ」のカラーデザインは非常識!?

ヤマハ発動機の安田将啓氏、片平憲男氏によるプレゼンテーションの様子。「オートカラーアウォード2017」応募車両15組の中で、「MT-10/MT-09/MT-07」のプレゼンテーションは最後に行われました
ヤマハ発動機の安田将啓氏、片平憲男氏によるプレゼンテーションの様子。「オートカラーアウォード2017」応募車両15組の中で、「MT-10/MT-09/MT-07」のプレゼンテーションは最後に行われました

ヤマハ「MT-10/MT-09/MT-07」のプレゼンテーションのテーマは、「受け入れられる非常識 “Night Flou”」。マーケットを意識しすぎず、デザイナーが自らの意志でその常識をくつがえしたカラーデザイン「ブルーイッシュグレーソリッド4」のユニークな世界観が紹介されました。
 

タイヤのブラックと対比させることで、より鮮やかに見えるアシッドイエロー。タンクのソリッドグレーはチープに見える可能性がありますが、新しく自由な発想を生かすために、装飾的な要素を排除しシリアスさを表現する塗装色として「ブルーイッシュグレーソリッド4」は開発されました。
 

バイクのデザインは、タンク部分が目を引くものが多く、タイヤに注目させるという発想はインパクトがありました。見る人に警戒を促すイエローは、ファッション性だけでなく、機能性という点においても理にかなっています。
 

さらに、これまで見たことのない新しいセンスを感じさせるクールでインパクトの強いデザインを、ヤマハのバイクの中でもトップセラーを誇る「MTシリーズ」に採用したことが高く評価されました。
 

自動二輪車(オートバイ)の国内市場

日本自動車工業会によると、自動二輪車の国内新車年間出荷台数は、1980年の約237万台から2016年の約34万台まで、約8割減少しています。特に原動機付き自転車は少子高齢化の影響で減少。
 

また、排ガス規制が徐々に強化されているほか、車両の滑りを防ぐABSの装備が18年から義務付けられるなど安全機能の充実も求められるなど、規制対応で開発費は上昇傾向にあります。
 

現在、国内の二輪車所有者のうち「リターンライダー」と呼ばれる40代以上が約8割を占めています。
 

自動二輪車の最大市場はインド

世界市場に目を向けると、自動二輪車の需要は、2010年以降、5000万台を超える水準を維持しています。需要の大半をアジア諸国が占めており、特にインドは2016年に中国を追い抜き、世界全体の3分の1以上を占める世界最大の市場に拡大しています。
 

インド、中国などにも自動二輪車を製造するメーカーがありますが、世界をリードしているのは、ヤマハ、ホンダ、スズキ、カワサキといった日本のバイクメーカーです。
 

アジア諸国の都市では、日本のバイクが当たり前のように走っています。しかし、日本国内で見るバイクに比べると、派手な印象を受けるのではないでしょうか。
 

世界の地域で異なるカラーデザインの常識

ヤマハ発動機の安田将啓氏、片平憲男氏は、鮮やかなイエローのネクタイでプレゼンを行いました
ヤマハ発動機の安田将啓氏、片平憲男氏は、鮮やかなイエローのネクタイでプレゼンを行いました

色のイメージや象徴は、先天的なものと後天的なものに大別されます。生理的反応と結びついたイメージには普遍性がありますが、後天的なもの、すなわち、文化を共有する人々の間で育まれたイメージや象徴は、国や地域、民族や時代などで異なります。
 

日本市場で常識的に受け入れられてきたカラーデザインが、海外で好意的に受け入れられるとは限りません。時には非常識に映ることもあります。
 

ヤマハ「MT-10/MT-09/MT-07」の鮮烈なカラーデザインは、世界市場で試行錯誤してきたことの成果と言えるのではないでしょうか。
 

【取材協力】
一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)
URL:https://www.jafca.org/

【参考】
一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)
URL:http://www.jama.or.jp/

自動車産業ポータルMarkLines(マークラインズ)
URL:https://www.marklines.com/portal_top_ja.html

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