2017年、最も魅力的な車のカラーデザインは?
「オートカラーアウォード」とは、日本流行色協会(JAFCA)が主催する、車両のカラーデザインの顕彰制度。形との調和を含む内外装の美しさだけでなく、企画力も評価の対象となります。「今年最も魅力的な車のカラーデザインは?」をテーマに、毎年「グランプリ」を選びます。
審査基準は次の8項目。
- 市場に影響を与えたか
- 車両のカラーデザインとして企画/発想が優れているか
- デザインの企画/発想が他業種の手本となりえるか
- 従来にない色域に挑戦して成果をあげているか
- 新しい技術を効果的に採用しているか
- インテリアカラーがエクステリアカラーに調和しているか
- インテリアカラーが美しいか
- エクステリアカラーが美しいか
グランプリは自動二輪車、乗用車のカラーデザインは?
1998年にはじまった「オートカラーアウォード」は、2017年で第20回を迎えました。第19回までのグランプリは乗用車でしたが、第20回「オートカラーアウォード2017」では、自動二輪車(オートバイ)が初めてグランプリを受賞しました。
一方、乗用車で最も高い評価を受けたのは、トヨタ自動車のプレミアムブランド、レクサスのフラッグシップモデル「LEXUS LS」でした。
乗用車のカラーデザイン、とりわけ、エクステリアカラーは、80年代、スーパーホワイトに象徴される顔料の進化があり、90年代、メタリックやマイカなどの光輝材によって「色と質感の表現」が多様化しました。21世紀に入ると、ハイブリットや電気自動車が注目され、エコを表現するカラーが多彩に登場しました。そして、2010年代、塗装工程の技術革新により、エクステリアカラーへのこだわりがさらに深化しています。
こだわりのカラーを極めた「LEXUS(レクサス)」
完全受注生産のレクサスは、他の自動車メーカーと一線を画する究極のオーダーメイド自動車です。お客様はエクステリアカラーやインテリアカラーのバリエーションの中から、好みのものを組み合わせてフルオーダーすることができます。レクサスは、2010年代の乗用車のカラーデザインにおける、1つの到達点だと言えるでしょう。
「オートカラーアウォード2017」では、「LEXUSの世界 匠-Craftsman ship」というテーマでプレゼンテーションが行われました。カラーデザインのアピールしたい点として、次の3つの世界観が紹介されました。
<普遍>TIMELESS:形を超えた経験を積み重ねる『普遍』的な世界観
<究極>SUPERIOR:純度を鋭敏なまでに高める『究極』の世界観
<官能>EMOTIONAL:光の共鳴が醸し出す『官能』的な世界観
前述の世界観を表わすカラーデザインの色名は次のとおり。
■エクステリア
- ソニッククウォーツ
- マンガンラスター
- ソニックアゲート
■インテリア
- クリムゾン&ブラック
- ホワイト
- キャメル
※2,3は本車両の専用色、1はレクサスブランドにて流用
乗用車のエクステリアカラーは、日本市場に限らず世界的に、無彩色(ホワイト、シルバー、ブラック)の人気が高く、生産台数の7割以上を占めます。有彩色は3割に満たないものの、時代の価値観やブランドのこだわりが映し出されます。
その一方で、自動車のデザインは自動車ありきではなく、移動体技術としての自動車へと変わろうとしています。レッド系のソニックアゲートは、<官能>というテーマを連想させる色ですが、情熱やパワー、変革や勇気を内に秘めた熱い色でもあります。自動車の過去と未来をつなぎ、新たな何かを創出しようとするレクサスブランドの哲学を示唆しているように感じられます。
【取材協力】
一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)
URL:https://www.jafca.org/