米国パントン社が選んだ2018年秋冬トレンドカラー
米国パントン社から、2018年秋冬トレンドカラー情報が発表されました。2018年2月8日に発表されたニューヨーク編は注目すべき10色と定番の5色、2月15日に発表されたロンドン編はニューヨーク編に2色を加えた12色と定番の5色で構成されています。
ところで、パントンのトレンドカラーはどのように選ばれるのでしょうか?
ニューヨーク、ロンドンでは、毎年2月と9月にファッションウィークが開催され、半年後に実シーズンを迎える秋冬、春夏ファッションが発表されます。パントン・カラー・インスティチュートは、ニューヨーク、ロンドンのファッションウィークで披露された新作ファッションから注目すべき色を抽出し、さらにデザインのあらゆる領域で用いられる色を厳選します。
季節を越える意欲的なカラーパレット
2018年秋冬のトレンドカラーは、実りの秋を連想させる深みのある色、ウール素材によく見られる伝統的な色合いに、意表を突くような大胆な色を加え、古典主義と創造的な表現を組み合わせた意欲的なカラーパレットとなっています。
この12色は、次の3つのタイプに分類することができます。
■伝統的な色:秋らしい深みのある色、落ち着いた色
- レッドペア(赤く熟した西洋梨の色)1段目左端
- セイロンイエロー(スパイスのようなイエロー)1段目右端
※西欧の人々にとって、インド洋に浮かぶスリランカ(セイロン)はエキゾチックで風味豊かなスパイスを連想させます。 - マティーニオリーブ(ドライマティーニに入れるグリーンオリーブの実の色)2段目左端
- ラセットオレンジ(落ち葉のオレンジ色)2段目左から2つめ
- メロウローズ(グレイッシュなローズピンク)3段目左端
※英国の伝統的なローズ色は、人々を魅了するニュアンスを秘めています。 - ケツァールグリーン(深みのある青緑)3段目右から2つめ
※中南米に生息する尾の長い大型のキヌバネドリの羽色
■インパクトのある色:鮮やかな色
- ヴァリアントポピー(ポピーの花の赤)1段目左から2つめ
- ネブラスカブルー(夕暮れの星空の青)1段目右から2つめ
- ライムライト(ぴりっと刺激的な黄緑)3段目左から2つめ
- ピンクピーコック(ドラマティックな明るいピンク)3段目右端
■創造的なニュアンスのある色:パープル系
- ウルトラバイオレット(鮮やかな青紫)2段目右から2つめ
- クロッカスペタル(明るい紫)2段目右端
※観賞用に栽培されるクロッカスは、どこか洗練された印象があります。
「パントン・カラー・オブ・ザ・イヤー2018」に選ばれたウルトラバイオレットに加え、2018年秋冬トレンドカラーに、早春に咲くクロッカスの花の色が選ばれています。
このようなカラーパレットになった背景には、「シーバイナウ(see buy now)=見てすぐに買える」というファッションのトレンドがあります。秋冬ファッションとして発表したものが、春夏ファッションに取り入れられる時代だからこそ、季節を越えて楽しめるトレンドカラーが求められています。
定番色の新しい役割
脱・モノトーンのトレンドによって、定番色の存在感は薄れてきていますが、その一方で、トレンドカラーを日常的に楽しむために、定番色はこれまで以上に重要な要素となると考えられます。
2018年秋冬の定番色として、パントンは次の5色を選びました。4段目左から順に。
- サルガッソシー(無限に広がる海のブルー)
- トーフ(豆腐のようなホワイト)
- アーモンドバフ(控えめな明るいキャメル色)
- クワイエットグレー(飽きのこない柔らかいグレー)
- ミーアキャット(こんがり焼けたトーストのようなブラウン)
従来の秋冬トレンドカラーに比べると、全体的に明るい色が選ばれています。定番色は色が主張しない反面、素材、ファブリックやニットなどによって、さまざまな表情を見せてくれます。インパクトのあるトレンドカラーの使い方に迷ったときは、さまざまな素材やアイテムの定番色と組み合わせてみましょう。春から夏へ、夏から秋へと、それぞれの季節に合った着こなしを楽しめるでしょう。
参考
PANTONE FASHION COLOR TREND REPORT NY Fashion Week Fall/Winter 2018
PANTONE FASHION COLOR TREND REPORT London Fashion Week Autumn/Winter 2018