2018年1月スタートドラマも後半戦に入ったころ。物語が進むにつれ感想や評価がさまざまに広がっていくところにも、ドラマのおもしろさが感じられます。豪華なキャストのクールな演技で注目の『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系、木曜21時~)も佳境に入ります。
強気のベクトルはクールだけど、時々面倒
身辺警護の任務を遂行するプロの物語ですから、誇り高きメンバーがビシッと働く姿を追うことになり、自ずと強気な登場人物たちばかりだという印象は否めません。木村拓哉演じる民間のボディーガード・島崎章に対する江口洋介演じる警視庁の落合や、斎藤工演じる同僚の高梨、そしてちょっと色合いは違いますが、田中泰明演じる多感な年ごろの息子・瞬も強気なもの言いで、「あぁ、また嫌味なことを言われちゃう……」と思いながらも、その「面倒な」やり取りが物語を盛り上げます。
しかし、宇梶剛士演じる警視庁の氷川も含め、強気メンバーの心の奥底がなかなか見えてきません。たとえば『相棒』の伊丹刑事は、嫌味ながらもトホホも見せる愛されキャラ。『ストロベリーナイト』の武田鉄矢演じる勝俣刑事には、裏側には圧倒的な刑事力が秘められていました。
第6話を終え、なんとなく雲行きが変化しているものの、それぞれの人物はまだ掘り下げられないまま。それぞれの人物への好奇心が、なんだかめんどくさいなあ……に変化してしまう前に、新しい流れを見たいところです。島崎章の元妻を演じる山口智子の登場で物語は一気に加速するはず、面倒な強気ベクトルも変動しそうです。
ヒューマンドラマとしての色合いを増す『BG~身辺警護人~』
職業名を言いきったシンプルなタイトルを冠にするドラマには、スペシャリストの活躍を想像してしまいがち。武器を持たない民間のボディーガードを描いた本作にも、その苦悩や葛藤が鮮やかに浮かびあります。
しかし、『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』や『SP 警視庁警備部警護課第四係』のようなエキサイティングなアクション、『緊急取調室』のようなジリジリした心理戦、『アンフェア』のように全員怪しいハラハラの展開などを期待している視聴者には、物足りなさがあるかもしません。
これらの作品は共通して事件そのものを描き、謎解きの度合いが濃厚でした。一方『BG』が描くのは、身辺警護対象者自身あるいは家族の問題。第6話もそれは同じで、事件性すらありませんでした。謎解き要素よりも、人間ドラマ、ヒューマンドラマとしてとらえるほうが正解なのかもしれません。先述した「面倒なやり取り」も、人間ドラマだからこそのやり取りと言えそうです。複合的な伏線の数々、二転三転する謎など、ハラハラドキドキ慣れしている視聴者もたしかに多いと思いますが、視聴率は決して悪いわけではないので「こういうドラマもまたおもしろい」ととらえる視聴者も多いことに注目するべきでしょう。
嫌味なもの言いと強気な雰囲気のなか、その空気をうまくかわすのが菜々緒演じる島崎章の同僚・菅沼まゆと、同じく間宮祥太朗演じる沢口正太郎。ここも楽しんでほしいところ。落合にモノ言う厚生労働大臣・立原愛子(石田ゆり子)や、今後、グッと前に出てきそうな能ある爪を隠し続ける島崎の上司・村田五郎(上川達也)にも期待したいと思います。