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開票率が0%にも関わらず「当確」とできるのはなぜか(写真:AP/アフロ)

公職選挙法改正により、選挙権年齢が高校生を含む18歳以上に引き下げられてから初めての国政選挙である第24回参議院議員選挙(参院選2016)の投開票が10日、全国で実施。

開票速報番組などを見て候補者の当落を確認する人も多いと思うが、ほとんど開票されていない段階で「当選確実」が出る候補者もいれば、深夜に当選確実となる候補者もいて、不思議に思ったことはないだろうか。

これらはどのような仕組みで「当選確実」と判断し、報じられているのだろうか。この「当確」の仕組みについて、ファイナンシャル・プランナーで社会ニュースに詳しい伊藤亮太氏がAll Aboutで以下のように解説している。

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事前調査と出口調査で投票結果を予測する

伊藤氏によると、出口調査や事前の調査をもとに当選確実は出されているのだという。

まず、選挙開催が決まると、メディア各社は一斉に事前調査に乗り出す。通常、無作為に抽出した電話番号などをもとに誰に投票するか、どの政党に投票するかといった質問を行い、事前の投票予測をまとめるという。

また、いくつかの選挙事務所を訪問し、どれぐらいの票を取りそうかといった内容を取材し、メディア記者ならではの予測を行うのだという。この他、過去の実績や候補者の知名度、組織票などをもとに、議席数や当選予測を行うのだと、伊藤氏は説明する。

こうして事前の予測がまとめられ、ある程度の議席数や誰が当選しそうかといった内容がメディアにて公表される。「ただし、これはあくまで事前の予想。アンケートや質問を回答してくれた人が実際に投票に行くかはわかりませんし、選挙事務所の予測が外れる可能性だってあります」と伊藤氏は述べる。また、選挙当日の天候や無党派層の行動などが影響し、ふたを開けてみたらまったく異なる結果となることも否定はできないという。

そのため、事前予測だけではなく、選挙当日の出口調査を加えながら、実際の投票結果を予測していくことになるのだと、伊藤氏は説明する。
 

選挙の当選確実を導くために「統計学」が利用されている

伊藤氏によると、出口調査から投票結果を予測し、選挙の当選確実を出すためには、統計学が利用されているという。

出口調査では、実際に投票した候補者や政党名を聞き、集計していく。どれぐらいの人数を聞けばよいかは、候補者の数や候補者の人気度、接戦地域かどうかといった観点で異なってくるが、96人に聞けば誤差10%以内で、384人に聞けば誤差5%以内でその候補者の得票率の予想される範囲を95%の信頼度で求めることができるのだという。95%の信頼度とは、100人いたら95人は予想された範囲内の回答を行っているという意味を示すという。

統計学では95%以上の信頼度があれば、おおよそ当てはまるといわれるが、選挙の場合には速報が外れればメディアの信頼はがた落ちとなるため、「回答を得られる人数を多くすることで信頼度を高めている」と伊藤氏は説明する。

また、信頼区間(得票率の予想される範囲)について、伊藤氏は以下のように説明する。例えば候補者がAさん、Bさんの2人だったとして、無作為に選んだ有権者50人に出口調査したところ、Aさんに投票したと回答した人が35人(70%)だったとする。予想される得票率は95%の信頼度で57.3%~82.7%となる。この予想される得票率の範囲内に実際の得票率が入っている可能性が95%といえるのだ。たった50人にしか聞いていないが、予想される得票率の下限が50%を超えているため、Aさんが当選するだろうと割り出すことができるという。

接戦の場合には、この回答者を多くしていくことで予想される得票率の範囲を狭めていき、当選確実を出せるかどうかを見極めていくという。

ただし、統計によるデータ分析時には注意点があるという。「おそらくメディア各社は注意しながら行っていると思われるが」と伊藤氏は前置きした上で、年齢や男女など偏りがないように無作為に、全体の投票者の行動と同じになるような比率で抽出する必要があるという。例えば、男性ばかりとか、若年者ばかりに出口調査を行うと、実際の投票結果を見誤る可能性があると伊藤氏は説明する。

伊藤氏は「メディア各社の出口調査が実際には何人に聞いているのか、実際にどのように当選確実を出しているかなどは公表されていない」としながらも、一つの選挙区で数百人~数千人程度の回答から当選確実を出しているかもしれないと予想し、「信頼度は結構高いといってよい」と結論付ける。


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