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歌手の玉置浩二が憩室炎で休養することがわかった(写真:MANTAN/アフロ=2013年9月22日撮影)

歌手の玉置浩二(57)が憩室炎のため緊急入院し、約1カ月間の休養に入った。所属事務所によると、4月下旬より突然の高熱と腹痛に見舞われ医療機関を受診。以前から患っていた大腸憩室に細菌性の炎症を起こしていることが判明したと、スポニチなどが報じている。5月に予定されていた公演は中止となった。

大腸憩室症・大腸憩室炎は、日本でも徐々に増えている病気で、時に虫垂炎、いわゆる盲腸と間違えられることもある、腹痛を起こす病気。日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医の染谷貴志氏が原因や治療法についてAll Aboutで以下のように解説している。
 

大腸憩室とは

憩室とは、腸管の内壁の一部が外側に向かって袋状にとびだしたもの。内視鏡でみると、くぼみのようになっている。憩室の数はさまざまで、頻度は年齢とともに増加するが、大腸検査を行うと10人に1人くらいの頻度で見つかる。大腸憩室が複数存在する場合、「大腸憩室症」と呼ぶ。
 

大腸憩室炎とは

大腸憩室の合併症として炎症が起きたものを、「大腸憩室炎」といい、20~50歳では右側大腸の憩室炎が多く、高齢者ではS状結腸における憩室炎が多くなる。
 

大腸憩室症・大腸憩室炎の原因

大腸憩室症は以前は欧米人に多く、日本人にはあまりみられなかったが、最近は増加。特に都市部の人に多く、食事の欧米化、とりわけ食物線維の摂取量の減少と密接な関係にあると考えられている。日本人の場合、憩室は盲腸や上行結腸など、大腸の右側に多くできやすく、欧米人では大腸の左側に多いという傾向があったが、食事の欧米化や高齢化に伴い、日本でも大腸左側の憩室が増えている。

憩室には、腸壁そのものがとび出す「真性憩室」と、腸壁の筋層のすきまから腸粘膜がとび出す「仮性憩室」の2種類あり、大腸憩室症の場合にはほとんどが後者の仮性憩室。腸管の内圧の上昇に伴い、大腸壁の筋肉層の弱い部分(たとえば血管など)が腸壁を貫き、筋層が弱くなっている部分から粘膜が脱出して憩室が生じると考えられている。では、どうして大腸の内圧が上昇するのか。ここに、食生活が関わってくる。食生活の欧米化により肉食が増え、食物線維の摂取量が減少したため、便秘や腸管のれん縮が強くなり、結果として内圧が上昇すると考えられている。もうひとつ、憩室ができる原因として、加齢による腸管壁の脆弱化があげられる。老化によって腸管の膜も弱くなるということだ。
 

大腸憩室症・大腸憩室炎の症状

多くは無症状だが、時に下痢、軟便、便秘などの便通異常、腹部膨満感、腹痛などの腸運動異常に基づく症状、つまり「過敏性腸症候群」に似た症状が起こる。

合併症として大腸憩室炎が発症すると、その部位に限局した強い腹痛が生じる。また下痢、発熱、血便などを伴うことも。憩室炎は、憩室内に便がたまって起こるとされるが、進行すると腸に穴があく穿孔、穿孔性腹膜炎、狭窄による腸閉塞などを生じることがある。時に右側の上行結腸に起きた憩室炎の場合は、急性虫垂炎に似た症状のこともあり、実際、憩室炎と虫垂炎の判断がつかないまま、手術することもある。

これまで大腸内視鏡検査や注腸検査で大腸に憩室があるといわれた方は、腹痛や下血で病院を受診した際には、大腸憩室があると、さらにわかればどこの部位にあったかを医師に伝えるように。
 

大腸憩室症・大腸憩室炎の検査・診断

多くの場合は、注腸検査、大腸内視鏡検査、胃バリウム検査後の造影剤遺残などにより偶然発見されることが多く、発見頻度は10%前後で加齢とともに増加。憩室炎を起こしているときは、腹部CT検査や超音波検査で憩室の存在や憩室炎を診断できることもあるが、下部消化管の検査は治療によって症状がなくなってから、注腸造影検査や大腸内視鏡検査を行って診断を確定する。
 

大腸憩室症・大腸憩室炎の治療法

大腸憩室症は放置して特に問題となる病気ではない。たとえ憩室がたくさんできていても、症状がなければ治療は必要ない。合併症である憩室炎を起こした場合でも、通常は安静、抗生剤投与などの内科的治療で改善する。また、大腸憩室からの出血も、多くは間欠的な出血で7~8割が自然に止血する。もし出血量が多い場合や、出血をくり返す場合には、大腸内視鏡による止血処置を行うことも。また穿孔、腹膜炎、狭窄などを起こした場合や大出血で止血困難な場合は外科的治療が必要となる。

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