温暖化でドイツ・ワインに使うブドウの品種に変化が
ドイツ・ワインに注目が集まっている
ワインというと、どうしてもフランスやイタリア産のものを思い浮かべてしまうもの。
その理由としては、単に輸入量の多さだけでなく、ワインを飲むシーンがある外食レストランというと、カジュアルなビストロやトラットリアなどを含むフランス料理やイタリア料理が圧倒的に多いというのがあります。
でも、実は今、ドイツ・ワインが世界的に注目されているのをご存じでしょうか?
ドイツ・ワインの現状について、ワイン輸入コンサルタント・ドイツワインインスティチュート・日本アドバイザーの松村由美子さんにお話を伺いました。
「ドイツ・ワインは甘いというイメージが根強いようですが、実は辛口が3分の2以上に増え、すでに世界中に支持されています。理由は、消費者のニーズもさることながら、実は地球温暖化の影響です。ドイツ国内は、40年前に比べて気温が1.4度上がっています。それによって、暖かい気候を好むブドウ品種の品質向上が可能になったのです。
オレンジ色が辛口、黄色が中辛口の比率。甘口と比率が逆転していることが分かる。? German Wine Institute
ドイツ・ワインというと白ワインで知られてきましたが、特に赤ワインに使うシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)の世界的な評価が上がり、栽培面積も増えました。また、同じくピノ3兄弟であり白ワインに使うグラウブルグンダー(ピノ・グリ)とヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)の増加も注目されています。後者の2品種はドイツで伝統的に作られてきた白ワインの品種リースリングに比べて果実の酸がマイルドで、食中酒として人気・作付面積とも大幅に増えているトレンド品種です」
なるほど。でも、いくらドイツ・ワインに辛口が増えたとしても、長年世界中に支持されてきたフランスやイタリアではなく、あえてドイツ・ワインが注目されている理由をさらに尋ねてみると、こんな答えが返ってきました。
ピリ辛料理や和食との相性もぴったり
「ドイツはフランスよりも北にあるので冷涼です。それによって、より綺麗で繊細な酸を持つワインができます。フランスやイタリアに比べて、よりエレガントな印象を与えています。ですから、夏に赤を飲むなら、冷涼さがあり伸びやかな味わいのドイツのブルグンダー(ピノ)がお薦めなんです。ピノ・ノワールがお好きな人も季節によって産地を変えてみる、なんてお洒落じゃありませんか?」
さらに、松村さんからはこんな提案も。
「家庭料理ならピリ辛料理でほてった口中をキリッと冷やしたドイツ・ワインでクールダウン、なんていうのも素敵です。アジア料理や中華にもアロマ豊かなドイツ・ワインは良く合います。和食でしたら、(和食は)酸が穏やかな料理ですから、スダチやゆずなどで酸の要素を補うように、ドイツ・ワインの豊かな酸が活躍してくれると思いますよ」
また、ドイツ・ワイン業界にとっては、35歳以下のみのメンバーで500名が所属するという若手生産者グループ「ジェネレーション・リースリング」の活躍も追い風になっているようです。
若手の生産者も増えている
若手ならではの柔軟性で、国際感覚をワイン造りに発揮し、ラベルのセンスもモダンでスタイリッシュになっています。
さらに、国民性を反映してか、ここ10年でオーガニックの作付面積は3倍以上に増えているというのも興味深いところ。しかしその事実を広く宣伝していないのは、オーガニック基準がドイツ国民にとって自明のことだからだそう。
この夏は、地球温暖化を逆手に取り、これまでのイメージを一新し、若返りも図りつつあるドイツ・ワインに注目してみませんか?
夏にぴったりのワインを見つけるなら
グルメサイト「食べログ」では7月28日まで「ドイツワインフェア」を開催中。中でも、西新橋の「カーヴドリラックス」や芦屋市の「ワインガーデン・リブゴーシュ」は、立地もよくお気に入りの1本が見つかれそう。
また、外食派なら、「フランツィスカーナーバー&グリル 六本木ヒルズ」や「G.G. 2015 フォン ルベル」などで、この夏にピッタリな1杯を楽しんでみては?