テレビのチカラが衰退していると言われる時代のドラマづくりはシビア。”雰囲気”だけで支持されることはないからです。しかし、2017年はテレビの本気と情熱を感じるドラマが、たくさん生まれました。テレビにできることは、まだまだあるのです!
 

テレビパワー全開の愛されドラマに歓喜する

最終回で25.3%を記録した『ドクターX~外科医・大門未知子〜』(10月-12月/テレビ朝日)は、世代・性別を選ばない痛快さで今年もたくさんのひとに愛されました。米倉涼子演じる動じない主人公の大門未知子、巨塔に群れる大の大人の尽きない忖度と茶目っ気、時事ネタあり医療現場のリアリティありで、水戸黄門的お決まりの展開のなかに凝縮された緩急は、何度観てもあきません。誰もが「いたしません」「わたし、失敗しないので」と口にする盛り上がりに、テレビのパワーを痛感しました。
 

池井戸潤原作の『陸王』(10月-12月/TBS)も豪華キャストの熱いドラマ。マラソンシーンに拳を握り、「がんばれ!茂木」と応援してしまいます。大勢のエキストラによる躍動感あふれる場面には、テレビの情熱も映っていました。
 

クールが際立つ刑事ドラマ タフに戦う刑事たち

CRISIS 公安機動捜査隊特捜班
『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』はBlu-ray&DVDが発売されている(C)2017 カンテレ(KADOKAWAプレスリリースより)

正義のためなら手段を選ばない、タイトな刑事ドラマも描き方はさまざま。アクションドラマの限界を常に更新する金城一紀脚本のCRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(4月-6月/カンテレ)、第8話では730秒ノンストップのアクションシーンを長回しで撮影、圧巻の迫力はテレビ史に残るスケール感で視聴者を驚かせました。物語は爆破ニュースの速報と同時に終了、「どういうこと?」だけが残る結末は衝撃でした。


探偵ドラマのような自由度と脱力感がクセになる『刑事ゆがみ』(10月-12月/フジテレビ)。セピア色の男の哀愁を浅野忠信が細やかに表現、人間味あふれる刑事・弓神(ゆがみ)をユーモアたっぷりに好演しました。
 

カムバック テレビの時代! 昭和時代のオンパレード

笑顔にあふれた『ひよっこ』(4月-9月/NHK)、倉本聰のオリジナルの『やすらぎの郷』(4月-9月/テレビ朝日)、伝説の番組再現が楽しい『植木等とのぼせんもん』(9月-10月/NHK)と『トットちゃん!』(10月-12月/テレビ朝日)、今年はなつかしのヒットパレードが聴こえてきそうなドラマが目白押し。テレビに胸が躍る昭和の華やぎは、その時代を知っているひとにも知らないひとにも、新鮮に映りました。東京オリンピックに向かって昭和のドラマは増えそうですが、決して懐古主義ではない明るさと新しさに注目です。
 

「おじさんたち」の活躍が、社会を明るく照らしてくれる

三匹のおっさん
“三匹のおっさん”2018年1月2日(火)夜9時から新春ドラマ特別企画として放送予定。首都圏約50の商店街と連携して、 商店街の福引で番組特製ノベルティのお酒があたるキャンペーンも実施するようだ(画像はテレビ東京プレスリリースより)

『三匹のおっさん3〜正義の味方、みたび!!~』(1月-3月/テレビ東京)、『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』(1月-3月/テレビ東京)、『緊急取調室』(4月-6月/テレビ朝日)、『孤独のグルメ』(4月-7月/テレビ東京)、『ドクターX~外科医 大門未知子〜』、おじさん度で勝負する、おじさんに胸を張る、そんなドラマが2017年をカラッと明るく照らしました。遠藤憲一、松重豊、小日向文世、大杉漣、でんでん、光石研……、イケメンブームの一方で完全無欠とは程遠いおじさんたちが、息を切らして全力疾走、おじさんたちを応援したり、おじさんたちに笑いと勇気をもらったり、味わい深い作品も数多くヒットしました。
 

嘘と謎と秘密、ミステリアスなドラマに魅せられる

嘘と謎と秘密を散りばめたミステリアスなドラマも豊作。草彅剛主演の哀しい復讐劇『嘘の戦争』(1月-3月/カンテレ)は、激しさをまとった嘘に翻弄される人生を劇画チックに魅せました。松たか子、松田龍平、高橋一生、満島ひかり、今を時めく俳優陣が集った『カルテット』(1月-3月/TBS)は、人間の深いところをえぐり出す濁りと、再生する人間の澄んだ強さを、坂元裕二が丹念に紡いだ名作、切なさと美しさがにじむ嘘に心が泣きました。
 

『愛したって、秘密はある。』(7月-9月/日本テレビ)は、登場人物全員が怪しく映る嘘と秘密の物語、ネット時代の視聴者探偵たちが謎解きで、にぎやかに沸きました。
 

そのほか、チャーミングな主人公を日本中が見守ったハートフルなコメディ『過保護のカホコ』(7月-9月/日本テレビ)や、フェロードクターたちの10年が力強く感じられた『コード・ブルー-コードヘリ緊急救命-(7月-9月/フジテレビ)も2017年を彩りました。『おかしな刑事』のスピンオフ『おかしな弁護士』(8月/テレビ朝日)や『信濃のコロンボ』のスピンオフ『警視庁岡部班』(11月/TBS)など、2時間ドラマも新しい面白さを模索、広がりを見せています。


さらにネットドラマが躍進するだろう2018年、現場の本気度はさらに増し、テレビだからこその可能性と面白さから、目が離せなくなりそうです。