恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」 第13回

小田急線、複々線化工事完了でダイヤ改正へ!どれくらい便利になる?

計画以来、半世紀。少しずつ工事が進んでいた小田急線の複々線化(道路で言うと4車線工事)が、最後まで難航していた梅ヶ丘~下北沢~代々木上原間の工事完了に伴い完成する。これからどのような変化があるのだろうか?

小田急線、複々線化工事完了でダイヤ改正

小田急
小田急の通勤時の混雑は首都圏有数だ


計画以来、半世紀。少しずつ工事が進んでいた小田急線の複々線化(道路で言うと4車線工事)が、最後まで難航していた梅ヶ丘~下北沢~代々木上原間の工事完了に伴い完成する。これまでも、梅ヶ丘~和泉多摩川間は複々線によりスピードアップや電車増発はなされてきたが、下北沢付近の工事未完成がボトルネックとなって、抜本的な改善とはなっていなかった。
 

今回の工事完了(和泉多摩川~登戸も複々線化工事完成)で、小田急線は新宿発着、代々木上原から東京メトロ千代田線乗り入れの2つのルートが完全に機能するようになり、電車大増発、スピードアップが大幅に可能となった。このほど、2018年3月のダイヤ改正の概要が発表されたので、来春からどれほど便利になるのか見ておきたい。
 

電車大増発に、直通電車増加、さらには時間短縮も

複々線の完成に伴い、とくに朝のラッシュ時の増発が可能になったことで、混雑率の緩和が期待される。試算によると、ラッシュピーク時の200%近い混雑率が150%程度に緩和されるという。また、下北沢付近の工事未完成もあって、低速運転を余儀なくされていた状態が解消され、スピードアップが実現。町田~新宿間で最大12分の短縮となる。
 

電車の増発が可能になったので、これまで直通電車が多いとは言えず、乗り換えを余儀なくされていた多摩線、江ノ島線からの利便性が大幅に向上する。すなわち、各線からの都心への直通電車が大幅に増加し、乗車駅から都心の目的地まで座ったまま通勤できる可能性が増大する。地下鉄千代田線との直通運転も増加、通勤急行、通勤準急、快速急行など多様な列車種別を設けることで利用者のニーズに応えられるようになる。
 

特急ロマンスカーも一層魅力的に

小田急ロマンスカーの代表「白いロマンスカー」VSE
小田急ロマンスカーの代表「白いロマンスカー」VSE、「スーパーはこね」などに使われる


小田急というと、日常的に利用していない人にとっては、箱根への行楽に乗るロマンスカーが身近な存在かもしれない。ロマンスカーも複々線化工事完成で恩恵を受け、一層魅力的となる。
 

まずは、新宿発のロマンスカー。実は、沿線の宅地化が進み、通勤客が増加し、通勤電車が飽和状態になるにつれて年々スピードダウンしてきた歴史があった。今回のダイヤ改正で、新宿から小田原まで、町田にも停車しないノンストップの最速列車「スーパーはこね」が、土休日は倍増の一日4本となり、そのうち3本は、小田原までの所要時間が1時間を切って59分。待望の50分台実現である。
 

北千住や大手町からのアクセスも便利に

東京メトロ千代田線に乗り入れる「青いロマンスカー」MSE
東京メトロ千代田線に乗り入れる「青いロマンスカー」MSE


都内の東部地区に住んでいる者にとっては、満員電車に揺られて新宿までたどりつくのは意外に大変である。そんなときに、千代田線乗り入れのロマンスカー「メトロはこね号」の存在は有難く、一定の利用者がいる。今回のダイヤ改正で、メトロはこね号が、土休日限定ではあるけれど、1往復増発され、一日3往復体制になった。北千住や大手町からロマンスカーに乗って箱根へ行けるのは便利この上ない。箱根湯本発も1本は17時50分発となり、箱根での滞在時間が増え、利用しやすくなる。
 

多方面に活躍するMSE
多方面に活躍するMSE


このメトロはこね号は、「青いロマンスカー」ことMSEによる運行で、これまで10両編成のうち後部4両は小田原止まりで切り離され、6両のみが箱根湯本まで直通していた。これを改め、後部4両を相模大野で切離し、片瀬江の島行きとすることで、「メトロえのしま号」が新設されることなった。土休日朝の2本と、帰りは夕方の1本のみではあるが、新たな行楽特急として注目したい。
 

ほかには、通勤特急のさらなる充実もあり、小田急線の2018年3月のダイヤ改正は注目の的である。

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