ヨコハマ・パラトリエンナーレ2017「不思議の森の大夜会」が開催

パラトリ第2部<発表>「不思議の森の大夜会」パフォーマンスステージの様子(2017年10月9日撮影)
パラトリ第2部<発表>「不思議の森の大夜会」パフォーマンスステージの様子(2017年10月9日撮影)

障害者とアーティスト、市民が協働で作品を創作し、その成果を発表する国際芸術祭「ヨコハマ・パラトリエンナーレ2017(以下、パラトリ)」の第2部<発表>が2017年10月7日(土)~9日(月・祝)の3日間、象の鼻パークと象の鼻テラス (横浜市中区海岸通1) で開催された。「不思議の森の大夜会」とネーミングされたこの発表会では、メインのパフォーマンスステージをはじめ、個性的な作品が展示され、多くの来場者が楽しんでいた。

会場となった象の鼻テラス。「あみあみ」こと、井上唯《whitescaper》で覆われていた(2017年10月8日撮影)

会場となった象の鼻テラスは「あみあみ」こと、井上唯《whitescaper》で覆われていた。市民1万人の参加を目指し、その創作活動はアジア諸国にも広がった(2017年10月8日撮影)
会場となった象の鼻テラスは「あみあみ」こと、井上唯《whitescaper》で覆われていた。市民1万人の参加を目指し、その創作活動はアジア諸国にも広がった(2017年10月8日撮影)

パラトリは、「アートの力で多様な人々の出会いと協働の機会を創出し、誰もが居場所と役割を実感する地域社会を実現する」というビジョンを掲げ、現代アートの国際展「横浜トリエンナーレ」と時期を合わせて2014年に初開催、今回で2回目となる。「sense of oneness とけあうところ」をテーマに、2017年5月のキックオフイベントからスタートし、9月末までの第1部<創作>を経て、第2部<発表>に至った。11月からは、第3部<記録展示>が予定されている。

発表会の会場となった象の鼻パーク、象の鼻テラスは、「アートステージ」「パフォーマンスステージ」「フードステージ&ワンダーマーケット」「コンセプト&ドキュメント」で構成された。メインイベントとなった「パフォーマンスステージ」を紹介する。

 

多彩な空中パフォーマンスに拍手喝采!

象の鼻テラス屋上より会場を撮影。巨大な白い皿に見立てた特設ステージでパフォーマンスが展開(2017年10月9日撮影)
象の鼻テラス屋上より会場を撮影。巨大な白い皿に見立てた特設ステージでパフォーマンスが展開(2017年10月9日撮影)

パフォーマンスステージは、巨大な白い皿に見立てた特設ステージで展開する現代サーカス作品で、一番の見どころは空中パフォーマンス(=エアリアル)。ロンドン・パラ五輪でエアリアルの指導を行ったティナ・カーターさんが直々に監修し、車いすパフォーマーのかんばらけんたさん、聴覚に障害を持つパフォーマー・鹿子澤 拳さん、吉田亜希さん、南雲麻衣さん、森田かずよさんがエアリアルを披露した。

障害の有無に関わらず、さまざまなパフォーマーが空中芸(エアリアル)を披露(2017年10月8日、9日撮影)

障害の有無に関わらず、さまざまなパフォーマーが空中芸(エアリアル)を披露(2017年10月8日、9日撮影)

障害の有無に関わらず、さまざまなパフォーマーが空中芸(エアリアル)を披露(2017年10月8日、9日撮影)

障害の有無に関わらず、さまざまなパフォーマーが空中芸(エアリアル)を披露(2017年10月8日、9日撮影)
障害の有無に関わらず、さまざまなパフォーマーが空中芸(エアリアル)を披露(2017年10月8日、9日撮影)

義足パフォーマー・森田かずよさんとインクルーシブダンスの分野で活躍する定行夏海さんのデュオ「とけあうふたりのパフォーマンス」(2017年10月8日撮影)
義足パフォーマー・森田かずよさんとインクルーシブダンスの分野で活躍する定行夏海さんのデュオ「とけあうふたりのパフォーマンス」(2017年10月8日撮影)

カンボジアのサーカスアーティストたちとのパフォーマンス(2017年10月9日撮影)
カンボジアのサーカスアーティストたちとのパフォーマンス(2017年10月9日撮影)

コミカルな演出で笑いを誘った「給仕たちのパフォーマンス」(2017年10月8日撮影)
コミカルな演出で笑いを誘った「給仕たちのパフォーマンス」(2017年10月8日撮影)

フィナーレには、今回のテーマ「sense of oneness(とけあうところ)」を体感できる瞬間が出現(2017年10月8日撮影)
フィナーレには、今回のテーマ「sense of oneness(とけあうところ)」を体感できる瞬間が出現(2017年10月8日撮影)


皿の上のステージでは、フルコースのようにオムニバス形式でパフォーマーが登場。約30分のステージのフィナーレでは、テーマである「sense of oneness(とけあうところ)」を出演者全員で表現し、にぎやかな雰囲気での終演となった。
 

公募で集まった総勢60名の市民パフォーマーが、障害の有無を超えて、身体をつかった創作表現に挑戦。ウサギたちは「不思議の森」に迷い込んだ来場者を案内するほか、現代サーカス作品の前にダンス劇を披露した(2017年10月8日、9日撮影)

公募で集まった総勢60名の市民パフォーマーが、障害の有無を超えて、身体をつかった創作表現に挑戦。ウサギたちは「不思議の森」に迷い込んだ来場者を案内するほか、現代サーカス作品の前にダンス劇を披露した(2017年10月8日、9日撮影)

公募で集まった総勢60名の市民パフォーマーが、障害の有無を超えて、身体をつかった創作表現に挑戦。ウサギたちは「不思議の森」に迷い込んだ来場者を案内するほか、現代サーカス作品の前にダンス劇を披露した(2017年10月8日、9日撮影)
公募で集まった総勢60名の市民パフォーマーが、障害の有無を超えて、身体をつかった創作表現に挑戦。ウサギたちは「不思議の森」に迷い込んだ来場者を案内するほか、現代サーカス作品の前にダンス劇を披露した。ウサギのボスとして出演したのは演出も担当した熊谷拓明さん(2017年10月8日、9日撮影)


 

「アートステージ」では作品を通して障害の感覚を実感

「アートステージ」では、障害のある方と多様な分野のプロフェッショナルによる現代アート作品が展示された。

ダイアログ・イン・ザ・ダーク×真鍋大度×石橋素×森永邦彦《echo》は、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の檜山晃さんとの対話からヒントを得て、ファッションブランド「ANREALAGE(アンリアレイジ)」の森永さんが、クリエイターのライゾマティクス 真鍋さんと石橋さんとタッグを組んで制作された「見えない世界を表現する服」。

事前に予約した参加者は、物体を感知するセンサーが搭載されたこの服を着ることができ、視覚障害者の方にとっては服が助けになることを実感する機会に、健常者にとっては障害の感覚を理解する機会になっていた。

ダイアログ・イン・ザ・ダーク×真鍋大度×石橋素×森永邦彦《echo》(2017年10月9日撮影)

ダイアログ・イン・ザ・ダーク×真鍋大度×石橋素×森永邦彦《echo》(2017年10月9日撮影)
ダイアログ・イン・ザ・ダーク×真鍋大度×石橋素×森永邦彦《echo》(2017年10月9日撮影)


シーダひのき工房×小林勇輝《New Gender Bending Strawberry》は、パフォーマンスアーティスト・小林勇輝さんが横浜市内の福祉施設「シーダひのき工房」にて制作を行った作品。施設で過ごしながら創作したオブジェクトを展示した。

シーダひのき工房×小林勇輝《New Gender Bending Strawberry》(2017年10月8日撮影)
シーダひのき工房×小林勇輝《New Gender Bending Strawberry》(2017年10月8日撮影)


澤村祐司×MIWA KAKUTA《間(ま)》は、コンテンポラリー・ジュエリーを制作するMIWA KAKUTAさんが盲の箏曲家・澤村祐司さんとの対話を通して、見える・見えないを超えて感覚を共有する彫刻型ジュエリーとそれを用いた体験型パフォーマンス。澤村さんのパフォーマンスが始まると「???」という雰囲気に包まれたが、パフォーマンス後に「目が見えない私は見よう見まねができないので、板に置いたり、身体に巻きつけたり、自分なりにこの作品を使って音を出してみました」と解説すると、皆、ナットクの表情を浮かべた。

澤村祐司×MIWA KAKUTA《間(ま)》(2017年10月9日撮影)
澤村祐司×MIWA KAKUTA《間(ま)》(2017年10月9日撮影)



寺垣蛍×新川修平×藤原ちから《「ない」から始めるプロジェクト》は、重度の障害がある寺垣さんが、 神戸市を拠点に障害者と共にアート(表現)創作活動をしている「片山工房」を設立した新川さんの支援を受けながら制作したアート作品。 劇評家の藤原さんによる作品ができる過程を記した日記も合わせて展示された。

寺垣蛍×新川修平×藤原ちから《「ない」から始めるプロジェクト》(2017年10月9日撮影)
寺垣蛍×新川修平×藤原ちから《「ない」から始めるプロジェクト》(2017年10月9日撮影)


 

横浜市内の福祉施設とフードアーティストがコラボ

パラトリエンナーレの世界を食で表現した屋台「フードステージ」(2017年10月8日撮影)
パラトリエンナーレの世界を食で表現した屋台「フードステージ」(2017年10月8日撮影)

「フードステージ」では、パラトリの世界を表現した屋台が並んだ。フードアーティストと横浜市内の福祉施設がコラボレーションして開発したオリジナルフードを販売。

パフォーマンスステージのストーリーにも登場した、おからを使った「ハッピーザ」。連日完売御礼だったそう(2017年10月8日撮影)
キャプションパフォーマンスステージのストーリーにも登場した、おからを使った「ハッピーザ」。連日完売御礼だったそう(2017年10月8日撮影)

かたるべ会のバンジョークラブ×青木拓磨(ミュージシャン)によるピザの歌のパフォーマンスも披露された。密林東京《パラトリの木》(制作協力 : アート・メープルかれん)の前で(2017年10月9日撮影)
かたるべ会のバンジョークラブ×青木拓磨(ミュージシャン)によるピザの歌のパフォーマンスも披露された。密林東京《パラトリの木》(制作協力 : アート・メープルかれん)の前で(2017年10月9日撮影)

「ワンダーマーケット」では、全国各地の障害者施設で作られた個性豊かな「モノ」を発売。ワークショップも行われた(2017年10月9日撮影)

「ワンダーマーケット」では、全国各地の障害者施設で作られた個性豊かな「モノ」を発売。ワークショップも行われた(2017年10月9日撮影)
「ワンダーマーケット」では、全国各地の障害者施設で作られた個性豊かな「モノ」を発売。ワークショップも行われた(2017年10月9日撮影)
現代芸術活動チーム目【め】によるコンセプトビジュアル・テキスト展示(2017年10月9日撮影)
現代芸術活動チーム目【め】によるコンセプトビジュアル・テキスト展示(2017年10月9日撮影)




総合ディレクターの栗栖良依(くりす よしえ)さんから、第2部<発表>を終えて、次のようなコメントをいただいた。
 

「今回は、野外での夜のイベントであったことに加え、空中芸のような高度な表現も含まれたこともあり、ハードルの高いフェスティバルでした。でもその分、関わるすべての方々がその高いハードルを超えようと、自分のテリトリーを超えて協力しあうことができたので、最後にはテーマである『sense of oneness』どおりの世界が広がりました。

第2部に来ることの出来なかった方はもちろんのこと、第2部に参加した方にも改めてその背景にあったものや活動の振り返りにつながる展示にしたいと思っています。ご来場、お待ちしております」(栗栖さん)
 

第3部<記録展示>は、次の日程での開催が予定されている。

  • 2017年11月8日(水)~11月13日(月) 横浜ラポール(横浜市港北区鳥山町1752)
  • 2017年11月21日(火)~12月11日(月) 象の鼻テラス(横浜市中区海岸通1)
  • 2017年12月22日(金)~12月26日(火) 戸塚区総合庁舎3階区民広間(横浜市戸塚区戸塚町16-17)
  • 2018年1月20日(土)~1月27日(土) 栄公会堂(横浜市栄区桂町279-29)

ぜひ、展示を通して「sense of oneness とけあうところ」を実感していただきたい。

URL:ヨコハマ・パラトリエンナーレ http://www.paratriennale.net/

問い合わせ先:ヨコハマ・パラトリエンナーレ2017事務局 070-5453-7154

※2017年10月8日のレポートは⇒オールアバウト公式ガイドブログ
 

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