W杯予選敗退国に大慌て!日本代表のテストは成果があったのか?

ロシアW杯の出場決定後初となる日本代表のテストマッチが、10月6日と10日に行われた。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はこれまで出場機会の少なかった選手を起用し、チームの底上げをはかろうとしたが、結果はシビアなものとなった。

ポジションの序列を見直すはずが…成果が見つけにくい2連戦

成果は見つけにくかった。10月6日にニュージーランドと、10日にハイチとのテストマッチを行なった日本代表である。
 

チームを率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、今回の2試合を「テスト」と位置づけた。長谷部誠、本田圭佑、岡崎慎司らの実績と経験を持つ選手の招集を見送り、これまで出場機会の少なかった選手をスタメンに抜擢した。来年6月開幕のロシアW杯へ向けて、各ポジションの序列を見直していく機会と言うことができた。
 

NZ戦は勝利。しかし香川のポジションも確約されていない

ニュージーランド戦は2-1で勝利した。ハリルホジッチ監督はW杯アジア最終予選で使ってきた4-3-3ではなく、4-2-3-1のシステムでスタートした。4試合ぶりの出場となる香川真司を、彼本来のトップ下のポジションで起用することが念頭にあったはずだ。
 

背番号10を着ける28歳も、自分の立場は分かっている。守備に強い選手を中盤に置く4-3-3では、香川がスタメンから外れる可能性もある。ポジションは確約されていない。
 

それだけに、ゲームの序盤から意欲的にプレーした。ポストを叩くシュートもあったが、得点をあげることはできなかった。
 

左ウイングで武藤が見せた可能性

武藤
武藤嘉紀(写真:Shutter stock)

むしろ興味深いプレーを見せたのは、約2年ぶりに先発した武藤嘉紀だった。
 

3トップの左ウイングで起用された彼は、最前線中央の大迫勇也をサポートしつつ、自らも積極的にゴールへ向かった。原口元気、乾貴士、宇佐美貴史といったドリブラータイプが競争を繰り広げてきた左ウイングに、ストライカータイプの武藤が新しい選択肢をもたらした。
 

W杯予選敗退のハイチに追い詰められ…

続くハイチ戦は、ニュージーランド戦からガラリとメンバーを入れ替えた。アジア予選突破を決めた9月のオーストラリア戦に出場していたのは、左サイドバックの長友佑都とセンターバックの昌子源、攻撃陣に乾貴士、浅野拓磨というフレッシュな陣容である。
 

序盤は攻勢を仕掛けた。
 

ニュージーランド戦で2-1の勝利につながる決勝ヘッドをマークした倉田秋が、7分に先制ヘッドをマークする。17分には代表戦出場3試合目のFW杉本健勇が、鮮やかな連携から追加点を蹴り込む。
 

ところが、北中米カリブ海地区のW杯予選で敗退が決まっているハイチに、逆転を許してしまうのである。即興のメンバー構成だけに、チームとして機能することに難しさがあったのは間違いない。それにしても、ハイチのスピードとパワーに翻弄された守備陣は印象が悪い。後半追加タイムのゴールでどうにか3-3の引き分けに持ち込んだものの、敗戦に等しいゲームだった。
 

ハイチ戦で気になったのはこの2選手

ハイチ戦
筆者がハイチ戦で気になったのは遠藤航(後列左から3人目)と小林祐希(後列右1人目)。

テストの観点からハイチ戦を振り返ると、二人の選手に触れるべきだろう。遠藤航と小林祐希だ。
 

4-3-3のシステムでアンカーと呼ばれる中盤の底に入った遠藤は、ワンタッチでテンポよくボールをさばいた。持ち味とするタテパスで、攻撃のスイッチも入れた。
 

オランダのヘーレンフェーンでプレーする小林は、遠藤よりひとつ前の右インサイドハーフで56分までプレーした。このポジションの選手には3トップを生かしつつ、自らもゴールへ向かっていく動きが要求されるが、この日の小林は杉本や右ウイングの浅野拓磨はもちろん、右サイドバックの酒井高徳の攻撃参加も引き出した。思い切ったサイドチェンジで、攻撃にダイナミックさももたらした。
 

結果が出ていないだけに、彼らの評価も別れるところはある。ここから先はハリルホジッチ監督の判断だが、11月の欧州遠征のメンバーにふたりが選ばれても、決して驚きではない。

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