フランクフルトモーターショー2017で発表
フォルクスワーゲン(VW)が「フランクフルトモーターショー2017」で、新型EVの「I.D.(アイ.ディ.)CROZZⅡ(クロスツー)」を発表した。同時に、「フォルクスワーゲン」ブランドとして、2025年までに23モデルのピュアEVを発売すると発表している。さらに、2030年までに全300モデルを電動化するという。その背景にあるのは、ガソリンエンジン車規制への対応があるが、果たして実現できるのだろうか。
VWのEVシフトの裏には中国市場も!?
フランスや英国、ドイツなどの欧州だけでなく、一部報道では中国も「ガソリン、ディーゼルエンジン車規制」を検討しているという。
ピュアEVには、航続可能距離やコスト、発電所不足、バッテリーのリサイクルといった問題が山積している。2030年〜2040年と各国で規制開始(検討)時期が異なることからも実現が容易なことではないことが想像できる。
もちろん、「電動化」には、ピュアEVだけでなく、通常ハイブリッドやプラグインハイブリッドも含まれている。この点は見逃せないポイントだ。
「EVシフト」というと、ピュアEV(バッテリーEV)に切り替わると思われがちだが、HV(ハイブリッドやプラグインハイブリッド)が含まれるということはメーカーにとっても当然のこと。ハイブリッドやプラグインハイブリッドは、充電切れ(電欠)の心配がなく、大型車にも向くからだ。
とはいえ、いわゆる「ディーゼルゲート」により、電動化の流れを加速させた感のあるフォルクスワーゲンでは、アウディなどグループを含めて2025年までに50モデル以上のEVを投入するとしているからその本気度がうかがえる。
そこには、お膝元の欧州だけでなく、フォルクスワーゲン・グループを支えるマーケットである中国が電動化車両(とくにピュアEV)に進んでいるという事情も大きいのだろう。
「安くて走れる」ピュアEVが登場するのはいつか!?
このEVに大型車も含まれているのかはもちろん分からないが、大型車、高級車でピュアEV化すると高価格化するのは、少なくても現時点では避けられない。
テスラの例からも分かるように、航続可能距離やパワーも追求するなら高額なEVにならざるを得ないのだ(それでもテスラは赤字だが)。ハイブリッドやプラグインハイブリッド車並の価格で買えて、かつ同じくらいの航続可能距離が実現できれば、真の「EVシフト」が進む時代になるだろう。
ただし、その頃にはハイブリッドやプラグインハイブリッドも相対的に価格が下がっているはずで、ピュアEVの将来像を描くのはそう簡単ではない気がする。