全国で落雷被害が相次ぐ…
大阪府内では23日、落雷によって停電が発生したり、京阪本線の運転を一時見合わせたりといった影響が出ました。
19日には東京都世田谷区の公園で落雷があり9人が搬送され、花火大会が中止となったり、22日には愛知県一宮市では、落雷が原因とみられる火災が発生したりするなど、落雷の被害が続いています。
24日からは北日本と北陸で注意を
気象庁は23日、前線を伴った低気圧が、24日から25日にかけて、北日本に接近し、北日本と北陸地方の大気の状態が非常に不安定となる見込みだと発表。このため、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫、さらには落雷や竜巻などの激しい突風に注意が必要だと呼び掛けています。
落雷は1年中発生するものではありますが、日本では6~8月にピークを迎え、日本海側では冬でも注意が必要です。どのような場所が危険で、どのようにして身を守ればよいのでしょうか。これに関して、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんがAll Aboutの『カミナリに関する誤った常識に注意。危険回避方法』で解説をしています。
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雷が落ちやすい場所はどこ?
高い建物、山の頂上、稜線などに雷が落ちるのはよく知られていますが、何もない広い場所(校庭、ゴルフ場、畑、砂浜、海上)に人がいる場合、雷の直撃を受けて亡くなってしまう事故が数多く報告されていることは意外に知られていないと和田さんは述べています。
屋外にいた時に注意すべきこと
屋外にいて、雷が鳴り始め、空が光っている場合は以下のような行動をとることが大切です。
- すぐに建物内や車の中に避難すること
- 近くに退避場所がなくても樹木やテント、ビーチパラソル、屋根付きのベンチなどの下に雨宿りのつもりで入らない
※樹木などに雷が落ちて「側撃雷(そくげきらい)」という現象が発生周囲の人体に電撃が飛んで被害に遭う可能性がある - 樹木やテント、ビーチパラソル、屋根付きのベンチから十分な距離を置くことが重要
※4m以上の高い樹木などだと、側撃雷が届かないとされる4mを超える場所から、見上げて45度の範囲内は「保護範囲」。30m以上の鉄塔などの建築物は保護範囲が30mの距離 - 建物内に入ることができない場合には庇(ひさし)などに留まらない(側撃雷を受ける危険がある)
- 地面に伏せて、腹這いになって地面に伏せたり、手をついたりしてはいけない(近くに落ちた雷は地面を伝わって周囲に広がるため。地面と接している面積が大きいと感電の可能性が高くなる)
- 屋内や車の中にすぐに避難できない場合には、両足をつけてしゃがんで、体を丸め、耳の穴を指でふさぐ(体内に電流を流れる可能性が低くなる「雷しゃがみ」と呼ばれる姿勢)
- ストックや傘などを上にかざすことは大変危険
- 貴金属や時計などを外すとよいという話もあるが、あまり意味はないので、とにかく避難をすることが優先
建物にいても落雷の被害に遭う場合も…
建物に入ってからも注意が必要だといい、和田さんは以下の点には注意して行動が必要だとしています。
- 雷が建物を直撃した場合に備えて、壁や天井、柱などから1m以上は離れる
- 外部にアンテナなどで接続されているテレビや無線機などからは2mの距離を空ける
これは、避雷針がない山小屋で壁にもたれかかっていて、雷の直撃を受けてしまって亡くなった例があるからだといいます。
「もし自宅でカミナリから家電を守りたかったら、避雷機能を持った電源タップなどを使用しておきましょう。カミナリの被害から自宅の電気設備を守るためには、家庭用分電盤や、電話線、アンテナそれぞれに避雷器を設置するのが理想です。カミナリが激しい場合にはコンセントなどを抜いておくことも家電を守るためには必要です」(和田さん)
レジャー先やお出かけ中に雷鳴を聞いたら…
そのほかのスポットでも注意が必要です。レジャーやお出かけ中であっても、油断せず、以下の点に注意をしておきたいです。
■登山中の注意点
稜線や山頂付近では雷の事故が多い。危険回避のために登頂を断念する場合、山小屋や避難小屋などの位置を把握しておくこと
■海での注意点
水中にいた人が雷撃を受け失神して溺れた例もある。雷はウェットスーツなどで防御できないので、海上で雷の危険がある場合はすぐに陸上の建物内に避難すること
■都会での注意点
避雷針は、雷を誘導して地面に逃がし、建物への被害を失くすためのものなので、周囲への落雷をゼロにするものではない。安全のためにも、雷の音や光を確認したら一刻も早く避雷針が設置されていると思われる建物内に避難すること
「よく言われる『稲妻の発光と音の間隔があいたら安全』『稲妻の音が遠くになったら安全』という迷信には根拠はありません。天候が完全に回復するまでは落雷の危険は常に残っていると考えてください」
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