監督交代の裏に分配金あり?

全34試合で争われるJ1リーグは、前半戦の17試合を終了した。首位で折り返したのは鹿島アントラーズだ。昨年の優勝チームだけに驚きではないが、12試合終了時点では7勝5敗の6位に止まっていた。

石井正忠
鹿島は石井正忠監督を解任

ここでクラブは、石井正忠監督を解任する。15年途中からチームを率いてきた石井監督は、同年にリーグカップ、16年にはJ1リーグと天皇杯を制した。昨冬のクラブW杯では、Jリーグ勢過去最高の準優勝にも輝いている。短期間でこれだけ成果を残した監督の解任は、電撃的と報じられた。


素早い決断の背景には、常勝を義務づけられたクラブの流儀があったはずだ。さらに加えて、2017年の成績に基づいた分配金も関係していたかもしれない。


Jリーグは2017年からライブストリーミングサービスの『ダ・ゾーン』と放映権契約を結んだ。これにより、リーグ戦の上位チームには高額の配分金が支給されることになった。17年の優勝チームは総額15・5億円、2位は7億円、3位は3・5億円を、18年から3年に分けて得ることができるのだ(3位の賞金は2年で支給)。さらに、リーグ優勝の賞金が3億円、2位は1億2千万円、3位は6千万円である。鹿島の監督交代は、タイトルへの本気度を表しているかもしれない。
 

プロ野球とJリーグの違いは”降格”

鹿島だけではない。アルビレックス新潟、大宮アルディージャ、サンフレッチェ広島が、すでに指揮官の交代に踏み切っている。

プロ野球に比べると、サッカーはシーズン途中の監督交代が頻繁だ。理由は入れ替えの有無にある。

J1の下位3チームはJ2へ降格するが、その影響はクラブの年間予算を直撃する。Jリーグから支給される均等配分金が異なるのだ。J1は3億5千万円でJ2は1億5千万円だから、2億円もの開きがある。J2のクラブは、3位まで賞金が支給されるリーグカップにも出場できない。もっと言えば、J1よりもJ2は宣伝効果が低いとの理由で、スポンサーが減ってしまう危惧がある。

プロ野球のチームは親会社の責任で予算を確保できるが、Jリーグは大企業の支援を受けないクラブが少なくない。J2降格は予算規模の縮小につながりかねず、主力選手の移籍要因にもなってしまう。それこそは、監督交代が頻繁な理由である。
 

監督交代のメリットとデメリット

もちろん、シーズン中の監督交代にはメリットとデメリットがある。
監督が代われば戦い方も変わり、選手起用にも変化が生じる。横一線からのポジション争いとなり、チームが活性化するのはメリットだろう。


一方のデメリットは、時間の無さである。

Jリーグ各クラブは、シーズン開幕前に6週間前後の準備期間を設ける。チームのスタイルを固めるにはそれぐらいの時間が必要なのだが、シーズン中に就任した監督はゲームを消化しながら自らのサッカーを浸透させていかなければならない。

このため、鹿島と大宮はヘッドコーチを昇格させた。内部昇格ならゼロからの再スタートではなく、短期間でチームの建て直せる期待がある。7月3日に監督の退任を発表した広島も、ヘッドコーチが暫定的に指揮を執りながら新監督の選定を進めている。
 

新戦力の獲得も注目!Jリーグの登録期間とは?

ポドルスキ
“ポルディ”ことルーカス・ポドルスキ

巻き返しを図る具体策には、新戦力の獲得もある。Jリーグの選手登録には期間があり、17年は1月6日から3月31日が第1登録期間、7月21日から8月18日が第2登録期間となっている。


第2登録期間の話題を集めているのは、ヴィッセル神戸に入団した元ドイツ代表の“ポルディ”ことルーカス・ポドルスキだ。3度のW杯に出場した32歳のアタッカーは、7月6日に来日した。ただ、選手登録を経て試合に出場できるのは7月21日以降となり、デビューは最短で29日のリーグ戦となる。

ハーフナー・マイク
ヴィッセルはハーフナー・マイクも獲得した

ヴィッセルはポドルスキーだけでなく、ハーフナー・マイクも獲得した。元Jリーガーでオランダ人の父を持つ彼は、日本生まれの日本人選手だ。12年1月から今夏までオランダ、スペイン、フィンランドのクラブを渡り歩いてきた。

194センチの長身を誇るこの30歳は、日本代表に招集されたこともあるストライカーだ。ポルディとのコンビはこの夏最大の話題で、Jリーグ屈指の破壊力を持つと言っていい。J1リーグの後半戦の主役は、神戸が務めるかもしれない。
 

夏場を制す者がリーグを制す

その他の補強では、下位チームの動きが目立つ。


前半戦を残留圏ギリギリの15位で折り返した札幌は、昨年までジュビロ磐田に在籍したイングランド人FWのジェイを獲得した。J2降格ゾーンの16位に沈む大宮は、ブラジル人Wマルセロ・トスカーノを迎え入れた。同17位の広島は、6月までガンバ大阪に所属していたDF丹羽大輝とFWパトリックをセットで呼び寄せた。また、最下位の18位に喘ぐ新潟は、J2の群馬でプレー経験のあるブラジル人FWドウグラン・タンキに浮上を託す。


上位チームでは、前半戦を3位で折り返した柏レイソルが韓国人MFキム・ボギョンをメンバーに加えた。セレッソ大阪や大分トリニータでプレーした27歳は、14年のブラジルW杯にも出場した実力派だ。


4位のガンバも韓国人FWを獲得した。186センチの長身FWファン・ウィジョだ。韓国代表にも招集されており、即戦力としての期待がかかる。


シーズン開幕当初の興奮がすでに去っている一方で、リーグ戦のゴールがまだ見えていない夏場の戦いは、1勝の重みが薄れがちだ。しかし、7月、8月をしっかりと乗り切ったチームに、勝利の女神は微笑みかける。後半戦を勢い良く駆け抜けるチームがどこなのかに、注目していきたい。