北朝鮮が弾道ミサイルを発射…排他的経済水域(EEZ)とは?

4日午前、北朝鮮が北西部の平安北道から日本海に向け、弾道ミサイルを発射し、日本海の排他的経済水域(EEZ)内に着水しました。排他的経済水域とは何なのでしょうか?領海との違いや、Jアラートが鳴る基準などを開設しました。

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4日午前、北朝鮮が北西部の平安北道から日本海に向け、弾道ミサイルを発射し、日本海の排他的経済水域(EEZ)内に着水しました。韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は4日午前9時40分ごろに発射しており、約40分間飛翔したようです。ミサイル発射は、今年に入って10回目です。なお、北朝鮮は午後3時30分から「特別重大報道」を発表するとしています。
 

このニュースで、「排他的経済水域」という言葉が登場しますが、どのような場所なのでしょうか。
 

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領海とは

排他的経済水域を理解する前に、まず「領海」というものの定義を理解しておくと分かりやすくなるかもしれません。
 

海上保安庁によると、領海は基線(海岸の低潮線、湾口もしくは湾内等に引かれる直線)からその外側12海里(約22km)の線までの海域を「領海」と言います。領空は、国家の領土・領海の上空空域を指し、国家が領域権を有している空間のこと。領空の高度限界は大気圏内というのが通説だといいます。
 

領海に近いものに「接続水域」というものがあります。接続水域とは、領海の外側24海里(約44km)までを接続水域と呼びます。これは、領土・領海の通関上、財政上、出入国管理上(密輸入や密入国)、衛生上(伝染病等)の法令違反防止や違反処罰のために必要な規制をとることが認められた水域のことです。
 

排他的経済水域(EEZ)とは

今回、弾道ミサイルが着水した排他的経済水域(EEZ)は領海などとは違うものです。排他的経済水域(EEZ)は、領海の外側に、領海の基線から200海里を超えない範囲内で設定が認められています。

排他的経済水域
排他的経済水域(画像:All About『排他的経済水域とは?基礎知識をおさらい』)

この水域では、沿岸国は、天然資源など「経済的」なことに対して、「主権的行為」をとることができます。つまり、以下のようなことが可能なようです。
 

  • 海中の水産資源や海底の天然資源の探査、開発、保存、管理できる(よその国の人が勝手に取っていくことはできません)
  • 人工島などの施設など構築物を作り利用することができる(ただしこれらは領土にはなりません)
  • 海流や風を利用した発電などを行える
  • 海洋環境の保護及び保全、海洋の科学的調査などに関する管轄権を持てる

 

公海と排他的経済水域の違いは?

似ている言葉に「公海」があります。公海とは「どこの国のものでもない海域」のことで、何世紀にもわたって国際慣習法で「公海自由の原則」、つまり自由に航行・漁業などを行っていいというルールのもとにありました。
 

公海について、現在では国連海洋法条約によってその原則が明文化されており、公海に主権を主張することができないことも明文化されました(第87、89条)。一方で、公海だから誰が何をやってもいいというものではなく、公海の平和的利用(第88条)、奴隷運送の禁止(第99条)、海賊行為の抑止(第100条)などが定められています。
 

排他的経済水域は領海にも公海にも似ていることから議論が分かれているようですが、領海でも公海でもないという認識で考えておくことが良いかもしれません。
 

参照:排他的経済水域とは?基礎知識をおさらい
 

Jアラートが鳴らない?どういう時に緊急情報は伝達される?

なお、政府は北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本に飛来する場合、政府としては、24時間いつでも全国瞬時警報システム (Jアラート)を使用し、緊急情報を伝達することを明かしています。
 

4日はJアラートが鳴りませんでしたが、これは政府がすでにJアラートを使う基準について明らかにしており、それによると、Jアラートは日本の領土・領海に落下する可能性または領土・領海を通過する可能性がある場合に使用するとしています。つまり、日本の領土・領海に落下する可能性や、領土・領海を通過する可能性がないと判断した場合は、Jアラートは使用しないということです。
 

一方で、日本の排他的経済水域(EEZ)内にミサイルが落下する可能性がある場合は、Jアラートは使用しないことになっていますが、 船舶、航空機に対して迅速に警報を発するとしています。
 

Jアラートが使用されるとどうなる?

政府の発表によると、Jアラートが使用されると、市町村の防災行政無線などが自動的に起動し、屋外スピーカーなどから警報が流れるほか、携帯電話にエリアメール・ 緊急速報メールが配信されるといいます。
 

弾道ミサイルが日本に飛来する可能性があると判断され、情報が伝達された場合、屋外にいる場合は、近くの頑丈な建物や地下(地下街や地下駅舎などの地下施設)に避難するよう政府は述べています。 その後、弾道ミサイルが日本の領土・領海に落下する可能性があると判断され、直ちに避難するようにといった続報があった場合は、以下のような行動をとるようにと政府は示しています。

  • 屋外にいたら⇒近くの頑丈な建物や地下に避難する。近くに適当な建物などがない場合は、物陰に身を隠すか地面に伏せ頭部を守る。
  • 屋内にいたら⇒できるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動する


【関連リンク】

 排他的経済水域とは?基礎知識をおさらい

北朝鮮がミサイル発射 「防空識別圏」や「領空」とは何か

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