中村獅童さんも治療中の「肺腺がん」とは
女優の野際陽子さんが13日、肺腺がんのため死去したことが分かりました。81歳でした。
野際さんは2014年に早期の肺がんをわずらっていましたが、再発を乗り越えて仕事に復帰。現在放送中のテレビ朝日系のドラマ「やすらぎの郷」にも出演していましたが、5月末に体調を崩し、入院していたといいます。
肺腺がんというと、歌舞伎俳優の中村獅童さんが健康診断で見つかり、治療を受けているというニュースが記憶に新しいのではないのでしょうか。
参照:中村獅童が初期の肺腺がんで治療へ 早期発見のために必要なことは?
肺腺がんとはどのようなものなのでしょうか。注意すべき症状などはあるのでしょうか。
肺腺がんは、女性の肺がん全体の70%以上を占める
国立がん研究センターがん情報サービスによると、肺腺がんは、肺がんのひとつで、肺の腺組織とよばれる上皮組織から発生するがん。男性の肺がん全体の40%、女性の肺がん全体の70%以上を占めているといいます。
同センターは肺がんのリスク要因として、喫煙習慣を一つに挙げており、医師の狭間研至氏もAll Aboutで同様に述べています。もちろんそれだけではないですが、予防をしたいと思うのであれば、タバコとの付き合い方も考えるべきかもしれません。
参照:肺がんの治療法・予防法
肺がんの初期症状?注意したい咳や痰がある
肺がんの初期症状には咳や痰があります。これに関しても狭間氏はAll Aboutの『その咳、痰。本当に風邪ですか?』で解説をしています。
狭間氏によると、風邪が長引いているときに、咳や痰が出ることはありますが、注意すべき咳や痰があるといいます。
■血が痰に混ざる
通常は血が痰に混じることはありません。肺がんなどだと、痰に血が混じりやすくなります。もちろん、咳が続いたときなどに稀に混じることはありますが、とくに痰のなかにすっと線を引いたような赤い筋があるときなどは要注意
■長引く咳
咳は通常は炎症の軽快、感染の改善によって治まっていきますが、もし、通常の気道感染症治療によってほとんど改善が見られない咳であれば、結核や肺がんの可能性もあります。
「頻度としては肺がんよりも通常の呼吸器感染症(いわゆる長引く風邪)のことが圧倒的に多いので心配しすぎることはありません。しかし、少しでも気になられたのなら、思い立ったが吉日。明日にでも、まずは内科の受診をして医師の診察をお受けになることをおすすめします」(狭間氏)
健康診断で早期発見を!
中村獅童さんは、健康診断で早期発見することが叶いました。健康診断の重要性については狭間氏がAll Aboutの『健康診断で肺に影があると言われたら…再検査?病気?』で述べています。
狭間によると、健康診断の目的は、「がん」などの病気を早期に発見し、治療を行うことで、病気への治療成績を向上させること。たとえば、胸部レントゲン写真の場合も、肺がんや縦隔腫瘍などの胸部の悪性疾患を早く見つけることを目的にしています。
「肺がんにしても縦隔腫瘍にしても、いわゆる『できもの』があると、通常は写らないような影が、胸部レントゲン写真には写ります。このような影が観察されたとき、検診を行う医師は『要精検』、すなわち、もう少し詳しく検査してくださいというコメントを出します」(狭間氏)
つまり、健康診断の目的から考えると、少しでも気になるような影があれば、「疑わしきは罰する」というのが基本的なスタンスで、「再検査」となるのだといいます。
「影がある?」再検査の指示をうけたら
再検査となっても、影になる要因は様々なので、「肺がん」と診断されるケースは少ないそうです。「すぐに再検査を」と言う場合には、できるだけ速やかにその指示に従うことが大事ですが、基本は「疑わしきは罰する」というスタンスであることを思い出し、淡々と検査を進めるべきだと狭間氏は説明しています。
一方で避けるべきは「健康診断で異常を言われているが、がんや大きな病気が見つかると怖いので、検査は受けていない」という状態です。
「早期発見・早期治療が、がんの治療の基本です。あまり、心配しすぎることなく、検査を進めていくことが、あなたの大切な体を守る第一歩になることを、心に留めておいていただけたら、と思います」(狭間氏)
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