財津和夫が大腸がんで休養へ……大腸がんのサインとなる症状とは?

「チューリップ」のボーカル・財津和夫(69)が2日、大腸がんを患っていることを明らかにした。大腸がんの罹患数はがんの中で1番多い。どのような症状が大腸がんを疑うサインとなるのだろうか。医師が解説している。

45周年のメモリアルツアーが中止に…

「心の旅」や「サボテンの花」「虹とスニーカーの頃」など多くのヒット作を出したバンド「TULIP(チューリップ)」のボーカル・財津和夫(69)が2日、大腸がんを患っていることを明らかにした。チューリップはデビュー45周年のメモリアルツアー中だったが、6~7月に予定していた4公演を中止とし、治療に専念するという。
 

参照:財津和夫さんが大腸がん公表 治療専念でツアー公演中止
 

財津は公式ホームページで、5月下旬に腸閉塞の治療のため入院中に受けた精密検査の結果、大腸がん(下行結腸がん)が見つかったとし、「完走できなかった今回のツアーですが、来年にはチューリップの一員として新たなコンサートツアーを開始するつもりです。皆様とお会いできることを楽しみにしています」と復帰を誓っている。
 

「がん罹患数予測」では大腸がんが1番多い

国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターが発表している「2016年のがん統計予測」の「がん罹患数予測」によると、大腸がんが147,200例で、がんの中では1番多い(なお男性は84,700例で、前立腺、胃、肺に次いで4番目に多く、女性は62,500例で、乳房についで2番目に多い)。
 

このデータを見ると、がんの中でも患者数の多い大腸がんは、決して自分から遠い存在ではないことが分かる。財津の場合は腸閉塞によって「大腸がん(下行結腸がん)」が見つかったというが、どのような症状がサインとなり、大腸がんを疑うようにすればよいだろうか。これに関して医師の狭間研至氏がAll Aboutの『大腸がんの症状・がんの進行』『便が細いと要注意!? S状結腸がんの原因・症状・治療法』で解説をしている。

 

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大腸がんは増加傾向……ただ、早期発見できれば完治できる

狭間氏によると、大腸がんは、肺がんとともに、近年急速に増えつつある疾患という。
 

理由は、我々の食事が、高線維、低脂肪の和食から、高脂肪、低線維の洋食にシフトしていった結果とも言われているようだ。一方で、大腸がんは、早期発見できれば、内視鏡手術でお腹を切らずに切除し、完治させることも可能という特徴を持つという。
 

下行結腸とはどこを指す?

なお、財津は「下行結腸」にがんが見つかったとされる。下行結腸とは、どの部分か。
 

我々が食べたものは、胃→十二指腸→空腸→回腸を通って、どろどろの状態(便汁(べんじゅう)とも呼ばれます)で上行結腸に流れ込み、上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸へと続く。この過程で、水分が腸管で吸収されて少しずつ固形化していく。なお、S状結腸はその名の通りアルファベットのS字のように屈曲・蛇行している臓器。

大腸

下行結腸に入ると便としての形ができはじめ、S状結腸ではかなり便らしくなり、その後ろの直腸に溜まってくると便意をもよおすようになる。
 

早期発見のために!大腸がんの初期症状に気付くポイントは?

大腸がんを早期発見するためには、初期症状に素早く気付くことが重要になる。狭間氏は以下のようなポイントを挙げている。
 

■ 下血と血便

下血(肛門からの出血)や血便(便に血液が付着)は、通常の状態では見られない症状。硬い便をしたあとの肛門の傷(裂肛)や、痔(外痔核、内痔核)、良性の大腸ポリープなどでも、このような症状は見られるが、大腸がんの初期症状としても見られる。
 

「もちろん、大腸がんによって下血や血便が見られる状態でも、自覚症状はほとんどありません。“痛くもかゆくもないから”ということで放置せずに、痔かどうかのチェックも含めて、一度、お近くの医療機関(内科)を受診してください」(狭間氏)
 

■ 繰り返す下痢と便秘

下痢と便秘は一般的に見られる症状で、食あたりや風邪のほか、ストレスでも起こるもの。しかし、これらを繰り返す場合には、大腸がんのチェックをしておく方が良い。また、便が細くなってきた場合も要注意という。
 

検査では何をする?

検査ではまず便潜血の検査を行う。便の一部を専用のキットを用いて採取するだけという体に負担のない検査になる。
 

大腸がんが進行すると……

大腸がんの進行に伴って見られる症状には、局所の進展によるものと、他の臓器への転移によるものに分けることができるという。
 

■ 局所の進展による症状

大腸がんの場合、病状の進行に伴って腫瘍が大きくなり、大腸の通過障害(食べたものが大腸を通過できない)という状態が起こる。特徴的な症状は、

  • 便秘
  • 腹部の膨満
  • 腹痛
     

さらに進行すると、

  • 完全閉塞
  • 大腸がんの細胞が腹膜全体に広がる(がん性腹膜炎)による嘔吐や激しい腹痛
  • 腸閉塞(イレウス)

といった症状を引き起こす。
 

■ 他臓器への転移による症状

大腸がんは、血液の流れから肝臓、肺、脳に転移しやすい。

  • <肝臓へ転移した場合>
    転移巣が小さければほとんど症状は出ないが、部位や進行の度合いによっては、黄疸が認められることがある
  • <肺へ転移した場合>
    胸水が溜まることによる呼吸困難が起こる
  • <脳へ転移した場合>
    頭痛や嘔気のほかに、転移した部位に応じた神経学的な症状が認められる
     

また、がんに共通のこととして、以下の症状も注意が必要だ。

  • 特に要因なく体重が減少する
  • 帯状疱疹(ヘルペス)を発症する

こうした症状が見られた場合は、何らかの悪性疾患の存在が疑われるので、万一このような兆候が出た場合には医療機関を受診したい。
 

「治癒率をあげるためには、早期発見・早期治療が大切です。早期発見のためには、初期症状に注意すると共に、やはり、年に1回の定期的な健康診断を受けられることをおすすめします。近年は、がん検診・PET検査も充実しています」
 

【関連リンク】

大腸がんの症状・がんの進行

便が細いと要注意!? S状結腸がんの原因・症状・治療法

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